市川渚×Apple iPhone 16 Pro 撮り下ろし&インプレッション feat.坂川陽香&徳永羚海(AKB48)

iPhone13から搭載され、写真の見え方をさまざまな印象に調整できる「フォトグラフスタイル」機能を利用することで、プリセットされたフィルターの中から好みを選ぶだけではなく、自由度の高い写真調整が可能となった。そして、2024年9月20日に発売となった「Apple iPhone 16」シリーズでは、さらなる進化を遂げた「フォトグラフスタイル」を搭載。これまで、SNS用や日常使いに利用されることがほとんどだったスマートフォンのカメラ機能だが、この次世代フォトグラフスタイルの登場で、その活躍の場にどんな変化が起こるのか。前モデルからカメラ性能を大きく刷新して登場したiPhone 16 Proを用い、フォトグラファー・市川 渚が、徳永羚海・坂川陽香(AKB48)を撮り下ろし。その使用感を伺った。

市川氏が今回用いたのはiPhone 16 Pro。16 Proのカメラ性能で注目したい点は、なんといっても大幅な向上を遂げた画素数だ。標準時の画素数4,800万は据え置きだが、15 Proでは超広角時が1,200万画素に落ちていたところ、16 Proでは4,800万画素を維持。何かと重宝する超広角時に画素数が低下しないのは大きな強みとなった。そのほか、動画では4K撮影はもちろん、1秒あたり120枚というフレームレートでスローモーション映像を鮮明に映し出すことも可能。写真やビデオの高速キャプチャーも可能にしているため、データコントロールの面でも非常に扱いやすくなっている。

この点について、開発部門 シニアプロダクトマネージャーであるJeremy Hendricks氏も以下のように語る。
「この機種の登場によって、iPhoneで実現できるクリエイティビティはかつてない形で進化しています。具体的な機能を言うと、静止画では48メガピクセルの超軽量カメラを搭載、動画では4Kクオリティの撮影はもちろん、1秒あたり120枚というフレームレートでスローモーション映像を鮮明に映し出すことを可能にしました。また、写真やビデオの高速キャプチャーも可能にしているため、データコントロールの面でも非常に扱いやすくなっています。
そして、さらなるカスタマイズ化を可能にする次世代の「フォトグラフスタイル」では、写真の演算機能が大きく進化しており、スマートHDR 5によって被写体に合わせた写真表現が可能となりました。撮影した写真の色・ハイライト・シャドウを編集ソフトを使わずとも幅広く調整ができ、しかもリアルタイムに行われるというのが最大の特徴です。これは、今まで画一的なアプローチしかできなかったフィルター機能に対して、次世代フォトグラフスタイルが全く異なる点だと言えます。
また、次世代フォトグラフスタイルは、被写体のスキントーンへの理解度が非常に高くなっているのですが、これにより2つの利点が生まれました。1つは、被写体ごとにパーソナライズしたスキントーンの調整が可能となったこと。もう1つは、写真全体の雰囲気を選ぶ際、より多くの選択肢から考えることが可能になったということ。これらの編集機能は、iPhoneやカメラの扱いに慣れていない方でも容易に操作できるように、ユーザーインターフェースが設計されています。これらのプリセットされたスタイルを使いながら、色やトーンを自由に同時調整できるのが新しいコントロールパッドです。そして、コントロールパッドの下にある強度スライダーによって、個別の色に関する強度を調整することもできます。経験豊かなレタッチャーであっても、トーンや色味のバランスをとった形で調整を掛けていくのは難しいことですが、それが直感的な操作だけで可能になっているのです。日本のフォトグラファーには、ぜひこのコントロールパッドと強度スライダーを使ってみていただきたいですね。トーンとカラーがどんな風に調整できるのか知っていただいた上で写真を撮れば、素晴らしいクオリティになると思います。」

それらを踏まえ、市川氏が今回舞台として選んだのが、東京・下北沢。店舗がひしめき合う路地や雑踏の中でも、被写体となった2人を追いつつ、人目を気にせず気軽に撮影ができるのがスマートフォン撮影の強みだ。16シリーズから本体右面に搭載された「カメラコントロール」は、ワンタッチでカメラアプリを起動したりズーム倍率を変更できたりなど、より直感的な撮影を可能にするポイントの1つ。

特に注目すべき機能は16シリーズから大幅にリニューアルした「フォトグラフスタイル」。16シリーズから大きな進化は、撮影時に選んでおいたスタイルが適用できることだ。仕上がりのイメージに即して撮影ができるので、いわばCapture OneやLightroomなどの編集ソフトを介したような使い方ができるのは非常に魅力的。この機能により「仕事でも格段に使いやすくなった」と市川氏も話す。
新世代のフォトグラフスタイルのポイントは、パーソナライズ化された”美しさ”を表現できるようになったということ。写真処理のプロセスを設定し直すことにより、ハイライト、シャドウ、カラーの設定がより簡単になり、ユーザーが意図したスタイルにマッチするよう、肌や髪、その他のトーンを独立した形でスタイル適用し、調整も行うことができる。

従来モデルでも可能だが、「Live Photos」機能を使い帰宅時の行き交う人々を消すテクニック。「Live Photos」で撮影し、写真アプリから「長時間露光」を選択すると、止まっている被写体以外を消すことができる。広角時に4,800万画素がキープされることで、周辺部までクリアな解像感が得られる。

特に、被写体のスキントーンへの理解度が非常に高くなっており、被写体ごとにパーソナライズしたスキントーンの調整が可能。また写真全体の雰囲気を選ぶ際、より多くの選択肢から考えることが可能となった。この「フォトグラフスタイル」は単純なフィルター機能とは少し違い、効果が全体にかかるのではなく、写真内の特定色域に、“自然に”作用する。スタイルは「標準」「アンバー」「ゴールド」「ローズゴールド」「ニュートラル」「クールローズ」の6種類で、特に肌の色に対してのトーンの再現性が秀逸。

選んだフォトグラフスタイルを軸に、「トーン」・「カラー」・「パレット」の適用量を調整しながらさらに好みの色調やトーンに整えていく。従来では明るさや彩度を変えると途端に不自然な絵になってしまうこともままあったが、肌や全体のトーンが破綻しすぎることもなく、ナチュラルに補正できることに加え、撮影中はもちろん、撮影後の調整も可能で変更したものを元に戻すこともできる。
「例えば、写真の調整について。撮影中はもちろん撮影後の調整も可能で、変更したものを元に戻すこともできます。また、リアルタイムでカラーグレーディングが行えるおかげで、初心者でもプロのような写真を仕上げることができます。さらに、写真全体を調整するだけではなく、見せたいモノや人だけを分離してトーンを調整するといった思い通りのカスタマイズも可能です。(Jeremy氏)」

「今回の写真は全てiPhoneの写真アプリの編集機能のみで仕上げています。基本的にはiPhone 16シリーズで使えるようになった最新世代のフォトグラフスタイルの中の”ドラマティック”をベースにして仕上げました。プレビューを見ながら、コントロールパッド上でトーンとカラーを直感的に調整することができるため、微調整もしやすかったです。」と市川氏。

同様にiPhoneのカメラおよび写真ソフトウェア・エンジニアリング担当副社長のJon McCormack氏も「iPhone16のコンピューテーショナルフォトグラフィの開発において、新世代のフォトグラフスタイルは大きな結果を残しています。それは、ユーザーにとって、パーソナライズ化された”美しさ”を表現できるようになったということです。写真において、”光”というのは大変重要な要素です。ソフトな写真でもハイコントラストな写真でも、撮影時に光をどのようにコントロールするかが大切です。iPhone16では、写真処理のプロセスを設定し直すことにより、ハイライト、シャドウ、カラーの設定が簡単にできるようになりました。これにより、ユーザーが意図したスタイルにマッチするよう、肌や髪、その他のトーンを独立した形でスタイル適用し、調整も行うことができます。新世代のフォトグラフスタイルを開発するにあたり、ゴールとして目指したのが、撮影後でもスタイル変更を可能にするということです。そのために、スタイル適用に関わったデータ全てを保持しなければいけないため、写真データのフォーマットも変更が加えられました。写真のクオリティに加え、こういった手軽さを実感してもらうことで、多くの方に写真撮影を楽しんでいただくことに繋がるのではないかなと思っています」と語ってくれた。

進化を続けるiPhone、クリエイターのアイデア次第でまた新しい表現を生み出す可能性を秘めているのだ。

(プロフィール)
市川 渚 Nagisa Ichikawa
ファッションデザインを学んだのち、海外ラグジュアリーブランドのPRなどを経て、2013年に独立。クリエイティブ・コンサルタントとして国内外の企業/ブランド、サービスのコミュニケーション設計、コンテンツ企画・制作・ディレクションに関わる。またクライアントワークの傍ら、写真、動画、文章などを用いて、自身の視点・視座、興味・関心を反映したパーソナルワークの制作にも力を注いでいる。丁寧なモノづくりと少し先の未来を垣間見れるデジタルプロダクトが好き。X:@nagiko726

坂川陽香 Sakagawa Hiyuka
2006年10月7日生まれ、福井県出身。
X:@Hiyuka_1007 Instagram:@hiyuka_sakagawa.1007

徳永羚海 Tokunaga Remi
2006年10月1日生まれ、鳥取県出身。
X:@48_RemiTokunaga Instagram:@remi_tokunaga1001

記事協力:山田悟史、千葉由知(ribelo visualworks)
撮影協力:下北果実