Blackmagic Design | URSA Mini Pro 4.6K G2|
松宮まなぶ(シネマトグラファー)
三浦 徹(カラリスト)
表現したい絵を的確にカメラワークに落とし込むシネマトグラファー松宮まなぶと、デジタルプロダクションのノウハウを作品に昇華させる三浦 徹。韓国で話題を呼んだドラマ「BLUE BIRTHDAY」の日本リメイク版は2人のタッグによってどのように生み出されたのだろうか。
RAWが可能にする品質と表現の極致
―監督からはどのような要望が?
松宮 20代の女性が高校時代にタイムリープする物語として、過去はアンバー、現在はブルーのトーンにしたいという話がありました。ブルーもネガティヴではなく、自立した女性が引き立つような色に。そこで私たちは、原作とは違ったトーンをフィルターワークとDaVinci Resolveで生み出すことにしました。
三浦 ワントーンのセピアで過去を表現することは多いですが「半分過去で、半分現在」みたいな表現が面白いんじゃないかと思いました。
松宮 徐々に世界が変わってゆくタイムリープを表現するためにフィルターワークでアナログ的に撮影しています。三浦さんにDaVinci Resolveのリモートバージョンという機能を使って、過去のカットのグレーディングを再現してもらったシーンもあります。
三浦 1話分を1日で仕上げるというスケジュールでしたが、そんな時もリモートバージョンのおかげで200もあったカットを処理できましたね。
―日本版は韓国オリジナルと比べて屋内のシーンが多いですね。
松宮 撮影の条件が天候に左右されにくい場所を極力選びました。Rawで撮影すればDaVinci Resolveであとから調整できますので、曇天でもライティングで補えば晴れているのと遜色がありません。DaVinci ResolveとBlackmagicのカメラがあれば、タイトなスケジュールと予算の中でも可能になります。
―普段からBlackmagicのカメラやDaVinci Resolveは使っていますか?
三浦 はい。CMなどでも使っています。URSA Mini Pro G2がGen 5 Color Scienceに対応してからは、グレーディングがしやすくなりました。
松宮 諧調が滑らかになりましたよね。僕が最初にURSA Miniを使ったのはドキュメンタリーの撮影でした。インタビューをしっかり撮りかったので、シネスコのレンズを使えるカメラを探したらほぼURSA Miniだけで。マウントの交換も4.6Kでの撮影も可能になりました。
三浦 DaVinci Resolveのトラッキングは優秀で、動く被写体もほぼオート処理できるので助かりました。ノイズ処理も抜群で、感度をあげてザラザラになったところもクリーンになるんです。
―お2人が作ってみたい作品は?
三浦 35mmのフィルムで撮った質感の作品を仕上げたいですね。
松宮 僕もそうですね。フィルムの粒子感をDaVinci Resolveで足してあげたりは今もよくやっています。
※この記事はコマーシャル・フォト2023年8月号から転載しています。