Blackmagic Design | DaVinci Resolve 18
石山将弘(カラリスト)
2023年2月21日
強く美しい女スパイのノンストップアクション大作『リボルバー・リリー』 のカラリスト、石山将弘。
日本初のカラーグレーディングスタジオARTONE FILMを設立した彼は、日本的な繊細さを活かすカラリストとして、国内外で活躍している。
彼がリリーに添えた鮮やかさとは。
『リボルバー・リリー』東映
石山将弘(カラリスト)
個性が光るカラーグレーディングを
——『リボルバー・リリー』ではカラーリングをどのように構築しましたか。
石山 舞台となる大正時代は西洋から色彩豊かな文化が入ってきた反面、経済的には決して豊かではないので、色味の少ないイメージもあります。監督からは「時代劇だけど服の色など彩度はしっかり出したい」とオーダーがありました。出来上がった色は、幅広い世代に受け入れられるものになったかと思います。
——ドレスに鮮血が飛び散るシーンがありますが、今回のカラーのテーマは?
石井 やはりストーリーが大事なので、グレーディングが目立ちすぎてもダメなんだと思います。普段だと黒に近いような血の色にすることが多いのですが、鮮やかな血にしたいというリクエストがありましたので、発色良く作りました。
——行定監督からのカラーについての要望は?
石井 そこまでフィルムルックには持っていきたくないと言われましたが、フィルムとデジタル両方のいいところを活かすようにしました。クリエイティブなLUT ではハイライトをクリップさせたりしますが、今回はハイライトはしっかりきれいに作りながら、ナチュラルなトーンカーブを意識しました。
——DaVinci Resolve を使い始めたきっかけについて教えてください。
石井 Company 3と仕事をする機会がありました。その時にDaVinci Resolveを使っていた彼らにノウハウを教えてもらいました。日本のカラリストはカメラマンの意向に寄り添うイメージがありますが、Company 3は自ら提案するタイプが多く、ARTONE FILM でも提案しながらカラーを作り上げることを心がけています。
——DaVinci Resolve 18 の便利な機能について教えてください。
石井 カット数が2000弱あったので、全体のトーンを合わせる作業が大変でした。DaVinci Resolve のHDR グレーディング設定でノードにカラースペースとガンマをきちんと設定すれば、撮影のカメラメタデータと同じ明るさに変換することができるので便利でした。
——これからカラリストを目指す今の若い人たちにアドバイスをください。
石井 自分が好きなものを追求した方がいい。時間が限られたプロの現場では、どのようにして良い結果を皆で追求していくのかを考えながら動かなくてはいけないが、お客さんやカメラマンに面白いと思わせるのは、好きなものや、逆に嫌いなものが定まったその人の個性なんだと思います。
※この記事はコマーシャル・フォト2023年12月号から転載しています。
コマーシャル・フォト 2024年10月号
■特集「令和の時代に、フィルムで写真を撮るということ。」
写真家・石田真澄がフィルムを使い、ハウススタジオやフェリー、海辺で自然体の齋藤飛鳥を11Pにわたって撮り下ろした。また、これまで石田が積み重ねてきた仕事の数々から一部を抜粋して紹介する。
また、中森 真、大野隼男、木村和平、竹中祥平、三部正博という5人のフォトグラファーがフィルムを使って撮影した仕事例、作品を紹介。フィルム撮影に関する考え、使用機材やよく利用する現像所などを伺った。
■連載「撮影を楽しむスペシャリストたち」
写真業界には数多くの撮影ジャンルがあり、それぞれの分野で活躍するスペシャリストたちがいる。この連載では、フォトグラファー中野敬久氏が毎回気になるスペシャリストにインタビューを行ない、その分野ならでは魅力や、撮影への向き合い方を聞くことで、“撮影を楽しむ”ためのヒントを探っていく。今回のゲストは新津保建秀氏。
■連載「GLAY CREATIVE COLLECTION 2024- VOL.03」
GLAY 30年間のクリエイティブを網羅した書籍「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」が好評につき連載化!今回紹介するのは9月18日発売の「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 in BELLUNA DOME Blu-ray & DVD」のアートワーク。アートディレクターの吉野晋弥氏、フォトグラファーの岡田祐介・田辺佳子氏に取材した。