8人全員が社会人を兼業するバンド、少年キッズボウイが2025年5月にメジャーデビューし、その楽曲のMV を加藤マニ氏が監督した。“ ヘッドフォンをして音楽を聞きながら街を歩くと、まるで通行人がMV のサブキャスト、自身が物語の主人公であるような感覚を想起させる”。そのような内容の歌詞から、市街地をややゲリラ的に練り歩く映像にしたいと考えたが、実際に撮影するには道路使用許可申請やエキストラを呼ぶ必要があり、規模感が予算的に合わなかったため、公共性を有する広い空間として閉店後のショッピングモールを舞台に選んだ。



撮影時間は3〜4時間と限られていたので、何カットも撮影するというよりはロングテイクで飽きさせない構成に。ビリー・アイリッシュの「ゼアフォー・アイ・アム」をリファレンスにしたという。ただし、きれいな画質で普通に撮影してしまうとショッピングモールのCM のようになってしまうと考え、撮影カメラは中古で購入した2009年製の家庭用ハンディカム、ビクターのGZHD320を選択。これにより茶目っ気のあるドキュメンタリー感が増した。あとになって、ファットボーイ・スリムの『プレイズ・ユー』みたいなものも頭の片隅あったかもしれない、とマニ氏。



「 今回は限りなくミニマムな撮影だったため、撮影担当と音出し担当の2名で進行。カメラも私が回しています。家庭用ハンディカムならではのズームレバーによるズームイン&アウトは意識して行なっています。ノーライトだったので、暗すぎるところはグレーディングで無理やり持ち上げました。“ 単に画質が悪い映像” ではなく、それが狙いであると伝えるために、仕上げに画面にタイムコード風の表示を足してポスプロ的な演出を行ないました」。



実はマニ氏、本楽曲のデモテープ段階からアイデア出しなど楽曲部分にも関わったため、彼らに対してはやや特別な感情もあったという。「 メンバー全員が社会人として働きながら音楽活動をすることを1つのテーマと
しているので、バンドとしてのパフォーマンスが良い意味で“ 仕事になりすぎていない” 感じ。撮影中もそれ以外も常に全員が楽しそうなのが、そのまま映像に表出していたらいいなと思っています」(加藤マニ)。
※この記事はコマーシャルフォト2025年8月号からの転載です

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