照明機材のオーソリティ
「玉ちゃん」こと玉内公一氏と、
担当編集者との掛け合いでお届けする、
ライティングの基礎と実践。
2009年から約3年間にわたって
コマーシャル・フォトで
連載した記事から抜粋して
お届けします。
玉 今回は、立方体や箱モノのライティングの基礎トレーニングです。
編 基礎トレーニング?
玉 商品撮影、テーブルトップ撮影の被写体って、四角い箱形のモノ、多いでしょう。
その基本を理解、トレーニングしておくと、色々な被写体に応用できると思うんです。
編 なるほど、で、その基本とは?
玉 まず立方体を撮る時、ライティングで考えるのは、❶どの面を明るくするか、❷その面の材質、❸各面の明るさのバランス。
今回、材質のことはちょっとおいといて、面の明るさについて考えてみます。
立方体各面の明るさのバランス
トップ(天面)を最も明るくし、各面の差をつけるのが基本。トップ以外の面を明るくした場合も、最も暗い面と中間の明るさの面を作り立体感を出す。
トップf22、左サイドf16、
右サイドf11
トップf16、左サイドf22、
右サイドf11
トップf11、左サイドf22、
右サイドf16
トップf11、左サイドf11、
右サイドf11
玉 ここに用意したのは、標準的な反射率の紙でできた立方体。テーブルなどに置くと、通常、3つの面が見える訳です。
編 普通に斜め俯瞰から撮るとそうなりますよね。
玉 では、どの面を一番明るくするか? この無地の被写体のように、特に強調したい面がない場合、トップ(天面)を明るくするのが、一番自然なんです。
編 それはやはり、太陽が上にあるから?
玉 そうです。そしてサイド面の一つを中間の明るさ、もう一つの面を暗くすると、立体感が出るでしょ。
編 各面の明るさの差は?
玉 上の作例では、最も明るいトップがf22、左サイドがf16、右サイドf11。これはスポット測光の値です。ライティングの勉強としては、この1段差を基本にしてスタートするといいと思う。それで被写体や目的に合わせて、最適な明るさのバランスをつかむトレーニングです。
考え方としてはまず、一番明るくしたい面の明るさを決める。次に暗い面の暗さを決める。そして中間の面の明るさを調整する。作例のようにちょうど一段差のバランスだと、非常に優等生的というか、基本的なライティングですが、たとえば中間の面をもう少し明るくしていくと、ハイキーな印象の写真になるし、逆に暗くしていけば暗めのしっとりした写真になる。さらに明暗の差を強調したいなら、明るい面と、暗い面の差を大きくすればいい。
編 サイド面を一番明るくする場合もあるんですよね。
玉 もちろん。トップを明るくするのはあくまで基本。たとえばサイドに一番見せたい部分、強調したい部分があるなら、そこを明るくします。その場合も他の二つの面の明るさのバランスが重要になる。要は立体に見えることがポイントですから。
トップ(天面)を明るくした作例
サイド(横面)を明るくした作例
玉 このスピーカー作例、上の写真は天面を最も明るくして、各面1段の差をつけたノーマルな撮り方ですが、下の作例はスピーカーコーンの面を強調、いわばイメージカット的な撮り方をしてます。
編 トップを明るくした場合、サイド面は左右どちらを暗くするのがいいんですか?
玉 最初の作例の立方体でこのアングルだと、左右対称だから、どちらでもいいんですけど、たとえば細長い直方体だと、長辺、短辺、どっちを暗くするかで、写真から受ける印象が変わってきます。
下の作例2の板のような被写体の場合、短辺を暗くすると、板の厚みが強調され、長辺を暗くすると、長い板という印象が強くなりせんか?
編 うーん、そう言われてみれば…。
どこを暗くするかで形の印象が変わる
細長い箱形の場合など、長辺、短辺のどちらを暗くするかで、印象が変わってくる。
短辺を暗く
長辺を暗く
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