
Pr=平林真甲 Dir=中村佳代 P=浅田政志 AD=羽生敏博 A-P=松村博 グレーディング=岩野豪洋 ST=加藤田鶴 HM=くどうあき T=曽我部恵一・田中貴・大工原幹雄・久米俊輔(文学座)・武蔵怜央 殺陣師=武蔵怜央 R+MA=林恭睦 ED(編集)=吉田蓮歩 ED(本編集)=平野七穂 ポスプロ=イメージスタジオ109目黒 BM=滝波豊 A-Mg=水上由季 A&R=岩崎朗太


本作は、監督・中村佳代の直感から立ち上がった物語だ。「イントロを聴いた瞬間に、向こうから武士が歩いてきた」という中村監督の第一印象が、3人の武士が密航留学を命じられ、藩を離れ、山越えをしてエゲレス蒸気船を目指す──という大胆なストーリーへと結晶した。幕府の刺客に追われる父を、息子・丈之介が密かに援護するべく後を尾ける。そこで彼は初めて真剣を抜く。しかし4年後には武士がすべて職を失う時代が訪れる。


物語の厚みもさることながら、映像の思い切った構成にも驚かされる。船出ののちに続くのは、武士姿のサニーデイによる演奏シーン。曲尺いっぱいにその姿を映す二部構成だ。監督の中には90年代から彼らに“ 武士姿” のイメージがあり、今回、長年温めてきた発想がようやく形になった。演技は大仰なものではなく、状況説明のみを共有し、細かな感情表現は本人たちに委ねた。その結果、三度差し込まれるソロカットには、微妙に異なる温度の表情が宿る。武士という設定でありながら、過剰な芝居に寄らない自然さが生まれた。


キャメラマンとして映像を支えたのは、写真家・浅田政志。使用機材はBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K にNikon の単焦点レンズを35mm〜200mm まで幅広く使用。冒頭の坂道シーンは、中村監督がイントロで思い描いた“ 武士が歩いてくる” イメージを再現するため、急勾配と背景の抜けに徹底してこだわったロケハンが生んだカットだ。


浅田氏にとっても時代ものの撮影は初挑戦。後半の演唱シーンは「動き回り」「三脚定点」「手持ち定点」の3パターンを撮影し、最終的に「手持ち定点」が採用された。殺陣のシーンは迫力を盛りすぎない“ クールさ” を狙い、画の余白が物語を語る作りとなった。仕上げではモノクロ案もあったが、海辺で捉えた夕景の色が決定打となり、自然光の柔らかさを生かす色調へと舵を切った。

現場では、サニーデイらしい軽やかな空気も流れていた。武士姿でのフィッティングに3人が驚くほど馴染み、「このままライブしてほしい」と監督が叫んだほど(笑)。武士姿のまま車を運転し、コンビニに立ち寄り、おでんを買う──そんな脱力的な瞬間さえ、作品の“ 現在性” を裏打ちしている…のかもしれない。
歌詞・曲調と映像の組み合わせが最初は異様に思うけれど、見返すほどに魅力として立ち上がり、「これ以外ない」と思わせてくる。軽やかさの奥にひそむ切なさと、静かな余韻。その感覚こそが、心に長く残る理由なのだろう。


※この記事はコマーシャルフォト2026年2月号からの転載です

特集「LEDライト最新活用術」&別冊付録「CM・映像 キャメラマン&ライトマンファイル 2026」。
巻頭特集ではフォトグラファー福岡秀敏が俳優・田中麗奈をLEDで撮り下ろし。さらに倭田宏樹、森山将人、川村将貴、須藤絢乃による現場事例や機材検証を通して、LEDライティングの実践的な活用方法を解説。「Aputure LED 4機種 実践検証」ではCOB型、パネル型、スポット型、ストリップ型という異なる光源を用い、静物撮影で検証。光の質や質感表現の違いを比較しながら、LEDライトの特性を具体的に探る。撮影と解説は中村雅也氏が担当した。
【広告特集】King & Prince「STARRING」のクリエイティブ
2025年12月24日発売のKing & Prince 7thアルバム「STARRING」。本企画では、収録曲それぞれを“架空の映画の主題歌”に見立て、1曲につき1本の特報映像を制作するという前例のないプロジェクトを徹底取材。本編は存在しないにもかかわらず、長編映画を想定した設計で10本の特報映像とポスターを制作。さらにレッドカーペットイベントや映画館での上映会まで展開するなど、アルバムの枠を超えた大規模なプロモーションとして構築されている。特報・ポスター制作全体のプロデューサー加藤諒氏をはじめ、3人の映像監督、アートディレクター、フォトグラファーが参加。企画設計の背景と制作プロセスをそれぞれの立場から語る。
【好評連載】
フォトグラファー生存戦略 Vol.36 小暮和音×黒田明臣「退路を断った行動から生まれた転機」
ゼウスのスチルライフマジック 高井哲朗 vol.60 イメージセンサーで描く未来の風景
長山一樹流 違いを生み出すコマーシャル・ポートレイト 第13回 建築とポートレイト
写真を楽しむスペシャリストたち 中野敬久 Vol.12 小髙美穂が考える写真の“今”
GLAY CREATIVE COLLECTION 2024 – VOL.21 TAKURO 4th SOLO ALBUM「May Love Guide Your Way」
Create My Book -自分らしいポートフォリオブックを作る- vol.19「ブツ撮り 記憶を感じさせる写真」金村美玖
ほか