ゼウスのスチルライフマジック Vol.34

シーシャ(水タバコ)の煙はオリエンタルな香り?
Photo&Words: Tetsuro Takai Photo: QI YUHAO

高井哲朗が
スタジオスチルライフ撮影の
アイデアと 愉しみを 伝授
創造主ゼウスのように
光を操って 宇宙を創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界

高田馬場にある戚 羽豪(QI YUHAO/セキ ウゴウ)さんのスタジオで撮影することになった。
被写体は、スタジオの隣の「シーシャカフェ ばんびえん」さんからお借りしたシーシャ。
最近は、若い人を中心に静かなブームだとか。
工芸品のように美しいシーシャをライトアップする。

協力:ばんびえん高田馬場本店 https://vangviengshisha.com/

Photo:戚 羽豪

戚(セキ)くんのスタジオが  高田馬場にできた
白い ホリゾントも 自分で 作ったみたいだ

仕事は アーカイブ系で 複写用の機械 
現像からプリントまで 高そうな機材が 揃っていた

中国から来て 多摩美に入り
大学の授業では 上田義彦さんにも
いろんな 写真世界を 教えてもらったんだ
と 言っていたけど

まだ若いのに スタジオを構えるなんて
なかなか 凄い

そんなスタジオに 遊びに行ったら
隣に シーシャカフェがあった
これは興味深い

なんてことで シーシャ 撮ってみようよ
てなことに なりました

撮影台に シーシャを 大切に乗せて
白い ホリゾントに パソコンから 映像を投影する

ストロボの光と 投影された光を バランスよく整えて
三次元的方法で 二次元の世界に構成する

空間に動きを つけるために スモークマシンで 煙を作っていく
幻想空間を 描くように ホワン とね

高田馬場 なんて素敵な場所なんだ
この辺りは アジアンな店もあって
異空間 別世界 不思議な空気感
このスタジオで シーシャは どんな形で 撮れるかな

ライティングの組み立て             

ライト:❶ XGIMI HORIZON Pro(プロジェクター) ❷ godox M1 Mini Creative LED Light
    ❸ broncolor Striplite 120 Evolution ❹ Aputure LS 60X
カメラ:PHASE ONE IQ4 150/ Schneider Kreuznach 80mm LS f/2.8/1/6秒 f12 ISO200

白ホリを背景にした撮影。
プロジェクター❶で背景に映像を投影する。
小型のパネル形LEDライト❷。
ライトの発色をビビッドなピンクにしてセット全体に照射。
背景の暗部や黒布、シーシャに色を入れる。
縦長のボックスストロボ❸。
照射面をバーンドアで狭め、細いハイライトをシーシャ本体とホースに入れる。
LEDライト❹。
低い位置から、半逆光でシーシャに光を入れて、ホースのシャドー部を起こす。
最後にスモークマシンでシーシャの吸い口に煙を入れて完成。

4K対応、高輝度のホームプロジェクター(❶)を使用。
白ホリ背景全体にモノトーンの静止画を投影している。
スマホサイズのパネル形LEDライト(❷)。
色相と彩度を調整可能。小型ながら高出力。これ1台で背景とセット全体に赤みをのせる。
右サイドからの2灯でシーシャを描写。
ストリップライト(❸)は、バーンドアを閉じてさらに細いスリット光にしている。
SmokeGENIE スモークマシン プロキット(取り扱い:アガイ商事)。
スモーク粒子サイズの調整と豊富なアタッチメントノズルで、上に登る湯気、
下に沈むドライアイス煙といった様々なスモーク表現が可能。
小型ながらスモーク量も多く、今回のような撮影にはうってつけ。
撮影中の戚さん。
スモークマシンを操るのはアガイ商事の千葉さん。
1/6秒の長時間露光でシャッターを切っている。
撮影は高田馬場にある戚さんのスタジオ。
スタジオの白ホリの前にセットを組んで、プロジェクターで背景を作る。

ZEUS’S STILL LIFE MAGIC

Photo:高井哲朗

甘い香りが 体にまとわりつき 柔らかな肌の感触が 冷たい風の中で
とても ここちよく

それは 夢にただよう 蕩けるような 快感
雲の中の 霧のうねり 肌が擦れゆく 粘膜の愉しみ
たっぷりの露 ねっとり甘い蜜

上りつめ 降下する 美しい絨毯
その スピードは 絶頂に達する エクスタシー
飛ぶという 快楽  発射寸前の 快感

アラビアン・ナイトって
毎夜毎夜の秘事の 艶っぽいお話
千夜一夜物語 それが本編

お子様用には アラジンと魔法使い シンドバットの冒険… 
可愛く書いてあるけどね

そもそもが エロ本 なんだよね
アラビアン・ナイト

みんな さ 楽しい秘事 大好きなのよ
王様が 美女 侍らせて 美食を 喰らう

男が羨む物語 パラダイス
そこに 登場するのが 煙燻らす シーシャって イメージなんだな

繊細で 美しい曲線 蒼い 深淵の海
蛇のようなホース アラブの国の 嗜好品
不思議な 夢想品 ロマンチックな 芸術品

シーシャ 見てるとね なんだかね
擦ると 出てきそうだね 魔人が さ 
ボワン とね

と 妄想だらけとなり 背景は 深い青アクリル
浮遊感 出したいから 透明アクリル 下に敷いて
そこに 静かに置く

あとはね 秘密兵器のスモークマシン
沈む煙と 蠢く煙
この 絶妙なコントロールで
官能へ 響くように 世界 描いていくんだ

物だけで構成すると 決まった形になり 
面白くないんだよね

煙のような 偶然性でもって 人間の 心の中のものを くすぐる
自然界の揺らぎが 気持ちを 揺るがすんだな

快感は 想像力と 好奇心で うんと楽しく

スチルライフ それは 脳内の快楽媚薬
Wonderful Dream Story

開け、 ゴマ  呪文を 唱えろ

ライティングの組み立て             



ライト: ❶ Aputure LS 60X ❷ Aputure Amaran PT-4 ❸broncolor Striplite 120 Evolution
カメラ:PHASE ONE IQ150」/ Schneider Kreuznach 150mm LS f/2.8/ 1.6秒 f14 ISO50

ライト❶。
撮影台の後ろから背景にスポットを入れるとともに、透過光でシーシャ下部の透明感を出す。
ライト❷。右サイドからのチューブLED。
レインボウのグラデーション発光で、シーシャの金属部に色を入れる。
ライト❸。左からのストリップライト(ストロボ)。
縦長のボックスライトで、シーシャ全体を描写するメインライトの役割。
ライト❶+❷+❸。ライティングの完成。
なお、最終完成形は、透明アクリルキューブでシーシャを撮影台から
浮かせた上で、スモークを入れている。

ゼウス高井のセットは薄手の乳白アクリルにブルーアクリルを重ねたの透過光撮影台。
慎重にシーシャを配置する。
撮影台の下にLEDライトをセット。
ライト前にはトレペをかぶせて光を拡散。
後ろから背景を透過して、シーシャ下に柔らかなスポットを入れる。
左:ストロボ、右:LED、背景透過:LEDの3灯ライティング。
右のLEDライトはレインボウカラーで発光させている。
前述のSmokeGENIEでスモークを加える。
下に溜まる霧のようなスモークを作るため、スモークマシンの先端アタッチメントを拡散ノズルに変更した。
人物を入れたカット。
ライティングは同じ3灯だが、右のLEDの色は薄赤の単色に調整。
モデル:みやこ

戚 羽豪(QI YUHAO/セキ ウゴウ)
中国 杭州出身。多摩美術大学卒。2020年会社SPARKING ART STUDIO設立。2023年、高田馬場にスタジオを構える。
アート作品のアーカイブ撮影、フィルム現像・データ化、手焼きプリント、デジタルプリントなどの業務の傍ら、B&Wを中心にアート作品を発表。
https://www.sparkingartstudio.com/

高井哲朗
たかい・てつろう/1978年 フリーとして活動開始。1986年(株)高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
www.kenkyujo.co.jp/
x.com/tetsurotakai

コマーシャル・フォト2024年04月号記事より

ゼウスのスチルライフマジック 記事一覧

コマーシャル・フォトで好評連載中の「高井哲朗/ゼウスのスチルライフマジック」がMOOKとしてまとまりました。
化粧品のボトル、ジュエリーから自転車、バイクまでさまざまな「ブツ撮り」に挑戦。

Vol.1
「ゼウスのスチルライフマジック

プロフェッショナルスタジオライティングのアイデアと実践」

Vol.2
「光を操るスタジオ・スチルライフ ライティングのアイデアと実践」


特集「LEDライト最新活用術」&別冊付録「CM・映像 キャメラマン&ライトマンファイル 2026」。

巻頭特集ではフォトグラファー福岡秀敏が俳優・田中麗奈をLEDで撮り下ろし。さらに倭田宏樹、森山将人、川村将貴、須藤絢乃による現場事例や機材検証を通して、LEDライティングの実践的な活用方法を解説。「Aputure LED 4機種 実践検証」ではCOB型、パネル型、スポット型、ストリップ型という異なる光源を用い、静物撮影で検証。光の質や質感表現の違いを比較しながら、LEDライトの特性を具体的に探る。撮影と解説は中村雅也氏が担当した。

【広告特集】King & Prince「STARRING」のクリエイティブ

2025年12月24日発売のKing & Prince 7thアルバム「STARRING」。本企画では、収録曲それぞれを“架空の映画の主題歌”に見立て、1曲につき1本の特報映像を制作するという前例のないプロジェクトを徹底取材。本編は存在しないにもかかわらず、長編映画を想定した設計で10本の特報映像とポスターを制作。さらにレッドカーペットイベントや映画館での上映会まで展開するなど、アルバムの枠を超えた大規模なプロモーションとして構築されている。特報・ポスター制作全体のプロデューサー加藤諒氏をはじめ、3人の映像監督、アートディレクター、フォトグラファーが参加。企画設計の背景と制作プロセスをそれぞれの立場から語る。

【好評連載】
フォトグラファー生存戦略 Vol.36 小暮和音×黒田明臣「退路を断った行動から生まれた転機」
ゼウスのスチルライフマジック 高井哲朗 vol.60 イメージセンサーで描く未来の風景
長山一樹流 違いを生み出すコマーシャル・ポートレイト 第13回 建築とポートレイト
写真を楽しむスペシャリストたち 中野敬久 Vol.12 小髙美穂が考える写真の“今”
GLAY CREATIVE COLLECTION 2024 – VOL.21 TAKURO 4th SOLO ALBUM「May Love Guide Your Way」
Create My Book -自分らしいポートフォリオブックを作る- vol.19「ブツ撮り 記憶を感じさせる写真」金村美玖

ほか