スタジオ内にテントを張って登山用ピッケルを撮る
Photo&Words:Tetsuro Takai Photo:Itsuki Chuko

高井哲朗が
スタジオスチルライフ撮影の
アイデアと 愉しみを 伝授
創造主ゼウスのように
光を操って 宇宙を創造しよう
スチルライフ それは あなたが
神になれる世界
写真家の中古 樹さん。
仕事では都市の建築を撮ることが多いが、登山家でもあり山の写真も多く発表している。今回はそんな中古さんと、登山グッズのスチルライフ撮影。
ゼウスのマンションスタジオにテントを張って登山気分を盛り上げたら、ピッケルをメインに撮ってみよう。

中古くん
山が好きで 日藝にいる時から 撮る写真は 全部 山
美しい山々の写真 神々しい自然
眩しい光を受けて 山肌が輝いていた
でも 山岳写真だけでは 生活できないから
建築事務所に 就職して 建築写真を 撮っていたみたい
建築系写真展で ばったりと会い
最近 どうなの? と 話したら
ちょっと スチルライフに興味あり
なんて 言うから ゼウスのページ 誘ってみた
それで 登山用品 いろいろ持って来てくれたんだけど
どう撮っていいのか わからなさそう
なかなか 決まらない
いつもの 山の写真 風景写真なら
太陽の神さまが 素敵な光を 演出するのを ひたすら待って
美しい瞬間を 撮るのだけど
自分が 光を演出することは 考えてこれなかったので
ずいぶん 迷ってるようだった
だから 言ってやった
スチルライフは 自分が 光を演出するんだ
自分が 神に なるんだ
創造の神 ゼウスに ね
さぁ どんな世界 作るんだろう
ゼウスのスチルマジック
創造する あたらしい世界
ライティングの組み立て

❸ broncolor Picolite+Picobox ❹broncolor Pulso+P70 standard reflector
カメラ:Nikon D850 レンズ:PC-E NIKKOR 24mm f/3.5D ED 1/125秒 f16 ISO64

ピッケルを置いて寄りで撮影。
テント外側からバーライト❶を照射。
ライトをテントに密着させて画面左上に明るい部分をつくる。



テントがライティングボックスの役目をして、内部全体に光が回る。

小型ボックスライトと左上からのスポットはピッケルに直にあてている。

トレペを貼ったリフレクターライトを少し離れた位置に置いてテント内に光を回し、
下のバーライトはテントに密着させて光を回さないようにしている。

右:黒布あり
テント内に光が回り過ぎないように、テント入り口に黒布を垂らしている。
これでマットの凹凸のシャドーが締まり、立体感を出てくる。

スタジオに張ったテントをあえて画角に入れずに、寄りで撮影。
ZEUS’S STILL LIFE MAGIC

ピッケルは 山を歩む者の 手に宿る支え
氷を打つことで 歩みを安定させ
雪の斜面で バランスを保つ
急な山を登るとき
ピッケルは 足元に寄り添い 力を分けてくれる
滑り落ちそうなとき その先端が大地に食い込み 命をつなぎ止める
仲間が困っても ピッケルは救いの手となり
雪や氷の中から 希望を掘り起こす
その全てが 山の中で生きるための 静かな 守り手
ピッケルは 山に 登るための
象徴的な道具
山のイメージ写真は
この ピッケルを 中心にして作ってみた
以前の白金のスタジオに
なぜか ながらく 守神のように神座していた
石神様を 持ち込んで
その岩肌に 食い込むように ピッケルを 組み合わせた
月光に 照らされたように
深い青を LEDライトで照射
赤いシャフト 黒光りするピック
部分部分で ハイライトを入れる
背景には テント
靴を脱ぎ 寝袋に入ろうとする そんな時間
消えかかった 焚き火の煙が 風に流れ
星々が 天に またたく
風が 耳を撫で テントは 温もりで満ちて
空気が 澄み
深く息を 吸い込めば 大地にとけこむような
心の中で 何かが満ちていく
山の息吹と 共鳴し 時間が ゆっくり流れ
夢の中に 頂の風を感じる
“ここにいる”こと
その瞬間に 満ちる静寂
神聖な 山々に抱かれ 眠ることの 素晴らしさ
なんという 幸福感
ライティングの組み立て

❸broncolor Striplite 60 Evolution ❹broncolor Picolite+Picobox ❺amaran 300c
カメラ:Canon EOS R6 レンズ:EF24-105mm F4L IS USM 1/80秒 f8 ISO125




このライトは石とピッケルにはほとんど効いていないが、
石を置いた白い撮影台にバウンスして、テント手前の黄色い寝袋を明るくする。
これで背景のシャドーに溶け込んでいたピッケルの黒い先端の形が見えてくる。

本番はこのライティングの状態で、スモークを入れて撮影。

テントを背景にして石の上に置いたピッケルを撮る。
背景(テントと靴)に2灯、石とピッケルの周囲に3灯の計5灯ライティング。
ちなみに石は軽石で大きさの割に重くない。

テントの奥からトレペを貼ったリフレクターの光を弱く入れて、ランタンの灯りを演出。
靴にはピンスポットをあてた。

左手バーライトはピッケルの柄のハイライト用、背後の小型ボックスライトは撮影台に
バウンスして、テント手前の寝袋を明るくする役割。

SmokeGENIE社の新製品(取り扱いはアガイ商事)。

2枚のラップの間からレンズをのぞかせる。

カメラ前に貼ったラップの手前から、ラップのシワに這わせるようにスモークを入れていく。
高井哲朗
たかい・てつろう/1978年 フリーとして活動開始。1986年(株)高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
www.kenkyujo.co.jp/
x.com/tetsurotakai
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