「Beautiful border -美しき境界線-」
作品コンセプト

それは違いであり、尊重すべき存在としても見えるものだ。
国々でも個人個人でも「自」は確固として存在し、各々尊厳を持つものだと思っている。
水と油の作りだすビジュアルは美しい、これをネガティブな比喩として使うにはあまりにも純粋な美しさを持っている。そしてどんなに無理やりかき混ぜても、やはり自分の姿に戻っていく。
水が油になることも、油が水になることもない。そのままでいればいい、それが一番美しい姿だ。

いい意味での融合はもちろん世の中にはたくさん存在する。
それはそもそも水と油ではなくて、コーヒーとミルクのような関係だったのだろう。
そうやって進化、多様化していく事も素晴らしい。

一方、水と油は確かに混ざらない。
だが人どうしがそのように意識し、反発して生み出してきた哀しい歴史を変えていきたいと思うのだ。

今強く、平和を願う。
そんな想いが世の中に存在するネガティブな意識すら変えていきたいという表現に繋がったのかもしれない。

お互いがそのままの形で、美しい世界を作っていけるように願いを込めて。

南雲暁彦

南雲暁彦
凸版印刷　クリエティブコーディネート企画部
チーフフォトグラファー
1970年神奈川県生まれ。幼少期をブラジル・サンパウロで育つ。世界約300都市以上での撮影実績を持つ。日本広告写真家協会（APA）会員。多摩美術大学、長岡造形大学非常勤講師。