国立国際美術館にて特別展「線表現の可能性」が開催!

ベルナール・フリズ《ガルブ》2003 年 アクリル、樹脂、カンバス 国立国際美術館蔵 Courtesy of the artist

国立国際美術館にて特別展「線表現の可能性」が11月2日から2025年1月26日まで開催される。

古くて新しい線というテーマをもとに、国立国際美術館のコレクションの中から版画・素描を中心に、絵画、彫刻、写真を加えた約150点を選び、現代美術における線表現の多様性を紹介。日頃、意識することの少ない線という存在が、私たちの視覚にどのような作用を及ぼすのか、その興味深い検証の場となる。
油彩画、版画、素描、写真、彫刻など、幅広いジャンルそれぞれにおける線表現の特徴を比較しながら分かりやすく紹介し、線の用い方の絵画における線の役割とその可能性について検証する。

また最後には「2020年代の物故作家」のコーナーを設け、近年亡くなった国内外の作家たちの作品を通して、20世紀から21世紀へとかかる現代美術の歩みを紹介する。

不動茂弥《形影の狭間(7)》1981年頃 アクリル、転写シール、カンバス 国立国際美術館蔵

展示構成

第1章 線の動き、またはその痕跡

線とは、まず一番に、画家たちが用いた筆やペンの動きの痕跡ととらえることができる。
本章では、画家たちが線を引く時の手の動きに注目し、その豊かで多様な線の表情を紹介します。太い線、細い線、力強い線、繊細な線。
画家たちがどのように手を動かし、これら多彩な線を描き出したのかを想像することによって作品制作のプロセスを追体験していく。

出品作家:木村忠太、津高和一、中原浩大、正延正俊、李禹煥、ヴォルフガング・ティルマンス、エミリー・カーメ・ウングワレー、サイ・トゥオンブリ―、ピエロ・マンゾーニ

木村忠太《南仏の六月》1980年 油彩、カンバス 国立国際美術館蔵

第2章 物語る線たち

線画は、かつては完成作のための習作や下絵として描かれ、対象の形を明確に区分するためのデッサンとしての役割を担ってきた。
線は、世の中のあらゆる存在を分節化し、各々を意味の世界へと定着させるための手段。その際、現実にはない輪郭線という存在が絵画の基盤となったのです。この章では、そうした線たちが物語るイメージの世界を見ていく。

出品作家:池田龍雄、池田満寿夫、瑛九、須藤由希子、浜口陽三、不動茂弥、町田久美、南桂子、山本容子、ジョナサン・ボロフスキー

須藤由希子《家と駐車場》2007年 油彩、鉛筆、石膏、カンバス 国立国際美術館蔵

第3章 直線による構成

直線は、人がフリーハンドで描く線とは異なり、数学的、幾何学的な性格を持った特殊な線といえる。
絵画においては、昔から建物の輪郭や遠近法に多く用いられてきましたが、20世紀に入ると、立体主義など新しい抽象絵画の構成要素として頻出するようになった。本章でも、そうした抽象表現を中心とする直線によって構成された作品を紹介する。

出品作家:荒川修作、狗巻賢二、沢井曜子、高柳恵里、辰野登恵子、中村一美、山田正亮、アグネス・マーチン、ゲルハルト・リヒター、ブライス・マーデン、ベルナール・フリズ

中村一美《オレンジ・プレート》1986年 油彩、カンバス 国立国際美術館蔵

第4章 線と立体

二次元上の線は三次元へと展開することによって立体的な構成へと変化していきます。立体作品を手掛ける彫刻家も、しばしば、その制作段階において線によるエスキース(下絵)を描く。
ここでは、三人の彫刻家の平面と立体の仕事を対比的に紹介しながら、もうひとつの線表現の可能性を考える。

出品作家:植松奎二、宮﨑豊治、湯原和夫

宮﨑豊治《Seeing…》1981年 鉛筆、インク、紙 国立国際美術館蔵

開催概要
特別展「線表現の可能性」
会期:2024年11月2日(土)– 2025年1月26日(日)
会場:国立国際美術館 地下3階展示室(〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55)
開館時間:10:00 – 17:00、金曜・土曜は20:00
休館日:月曜日(11月4日、1月13日は開館し、11月5日、1月14日は休館)、年末年始(12月28日~1月4日)
観覧料:一般1,200円(1,000円)大学生700円(600円)

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