
フジフイルム スクエア 写真歴史博物館にて、3月27日よりフジフイルム スクエア 写真歴史博物館 企画写真展 土田ヒロミ写真展「俗神」が開催される。
戦後日本を代表する写真家 土田ヒロミ氏の名を一躍世に知らしめる一作となった「俗神(ぞくしん)」。1968年から1975年にかけて、日本各地の土俗文化を取材した本シリーズから精選したゼラチンシルバープリントによる約30点を紹介する。
発表から50年近い歳月が流れた今日においても「俗神」の世界は新鮮で、見るものに多くを問いかけてくれる。


1971年、第8回太陽賞を受賞した「自閉空間」で写真家として本格的にデビューして以来、多岐にわたるテーマで意欲的な作品を発表し続けている土田氏は、戦後日本を代表する写真家の一人として、国内外で高い評価を得ている。
土田ヒロミの名を一躍世に知らしめる一作となったのが、1968年から1975年にかけて日本各地の土俗文化を取材したシリーズ「俗神」だ。
このシリーズは、「フリーの写真家になることを決めた際、農家を出自とする自分自身を検証するためにまず土俗文化に対峙する必要性を感じた」という土田氏の想いが原点となっています。青森から沖縄まで全国津々浦々を巡り、時代を超えて継承される土俗的なハレの場、なかでも大衆や風物の中にある日本人の土俗的感性を赤裸々にとらえ提示した。
急速な経済成長が土着的なものを容赦なく侵食していく中、土田氏の視点でとらえられた土地と人々が紡ぎあげてきた様々なハレの場の記録は、1972年から隔月で『カメラ毎日』に「絆」として連載され、1974年には、海外で初めて日本の写真家を紹介する大規模な展覧会となったニューヨーク近代美術館での「New Japanese Photography」展にも同シリーズの作品が出品されている。
1976年、デビュー作である「自閉空間」からの作品も加え、写真集『俗神』(オットーズ・ブックス社)として刊行され大きな反響を呼んだ。


本展では、シリーズ「俗神」から精選したゼラチンシルバープリントによる約30点を展示する。大きな転換点の中にいる今という時代だからこそ、「俗神」の世界は、より新鮮に深く見るものに多くを問いかけてくれる。
「写真がはじめてこの世に登場したとき、写すという行為は、非日常的なハレの儀式の執行であり、写される人びとも、無機的な〈被写体〉ではなく、晴れがましい緊張の一瞬に耐えながら、儀式に参加し、積極的に儀式を支えた。土田ヒロミは、人びとがすっかり忘れてしまった、写真の、この原体験に、今一度復帰しようとする。」
(『俗神』(オットーズ・ブックス社、1976年)より、「〈俗神〉によせて、安永寿延」)
展覧会情報
フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 企画写真展
土田ヒロミ写真展「俗神」
開催期間:2025年3月27日(木)~6月30日(月)会期中無休
会場:フジフイルム スクエア 写真歴史博物
〒 107-0052 東京都港区赤坂9-7-3(東京ミッドタウン ミッドタウン・ウェスト1F)

コマーシャル・フォト 2025年7月号
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基礎2 レタッチを始める前に必ず押さえておきたいポイント
人物レタッチ実践/プロダクトレタッチ実践
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