写真展レポート「眼とことば 興村憲彦の写真と早﨑主機の詩」

広告、雑誌で活動するフォトグラファー興村憲彦さんと文筆家 早﨑主機さんによる展覧会「眼とことば興村憲彦の写真と早﨑主機の詩」が11月23日、24日の2日間開催された。(追記:期間延長につき25日も開催され、実際は3日間開催された)

展覧会会場の大田区 蒲田 HUNCHビルは様々な分野のクリエイターが集うアトリエビル。2人はこのHUNCHビルに拠点を構えるアトリエメイトでもあり、この展覧会は大田区オープンアトリエ2024に参加している。

文筆家であり骨董、古書などを扱うアンティークディーラーでもある早﨑さんが自身のコレクションの中から50点ほどセレクトし、興村さんがフィルムで撮影。さらにその写真に早﨑さんが詩を添えるという、詩人と写真家による往復の中で生まれた作品だ。

会場に入って、まず圧倒されたのはその展示方法。

天高のスペースを活かし、写真と詩をプリントした3mほどの印刷物を吊り下げたインスタレーション展示で鑑賞者は12対の写真と詩の世界に引き込まれる。

被写体は18世紀イギリスで作られたショットグラスや江戸時代の焼き物、19世紀の清朝ドレスなどといったアンティークたちだ。

撮影は全て展示会場でもある興村さんのアトリエで行なわれたという。

「アトリエの床に直置きし、窓から差し込む自然光で撮影しています。被写体のアンティークたちは独特な荒々しさや力強さを持っているんですよね。その荒々しさが無骨なコンクリート床ともマッチするんじゃないかなと。
 例えば被写体の1つ、弥生土器は約2,000年ほど海の中で眠っていたものです。床のテクスチャーが海の揺らぎのようにも見えるんですよ」(興村)。

各国、各時代に作られたアンティークたちは写真家の眼を通して新たな存在感を放ち、詩人はその写真から言葉を紡いで詩を添える。2人の共作によって現代の作品へと生まれ変わっていた。

会場で販売されたポストカードBOX。会場に展示された全12点が収録されている。

【プロフィール】
興村憲彦 (おきむら・のりひこ)
写真家・フォトグラファー
大阪府生まれ。2021年、写真集『DRIVE』を刊行。同名の写真展を森岡書店にて開催。2022年、写真展『雪花変幻、Chase』開催。雑誌や広告を主なフィールドとし、ポートレイト、風景、静物などを中心に活動を行う。朝日広告賞グランプリ、NY ADC賞シルバー、d&AD ブロンズ、spikes asia ゴールド受賞。
Webサイト:https://www.okimuranorihiko.com/
Instagram:@norihiko_okimura

早﨑主機(はやさき・しゅき)
アンティークディーラー・文筆家
石川県生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒。株式会社フォルムコーポレーション代表。ギャラリー「かたちのきおく」主宰。国内外の古書・古物を幅広く取り扱うほか、各種媒体で執筆活動を行う。連載「戦前期の詩書を読む」(雑誌『現代詩手帖』2020年 思潮社)、展示会「憑在するかたちのきおく」(東京/愛知2021年)ほか。
Instagram:@katachi_no_kioku

【展覧会タイトル】
「眼とことば興村憲彦の写真と早﨑主機の詩」

【日時】2024年11月23日(土)〜24日(日) 11:00-17:00

【会場】HUNCH 1階

【住所】144-0051 東京都大田区西蒲田7-61-13


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