2023年02月22日
キヤノン EOS Rシステムの中核として開発された「RFレンズシリーズ」。大口径マウント、ショートバックフォーカス、12点の電子接点などが特徴で、そのポテンシャルを活かす、ラインナップが続々と発売されている。そんな「RFレンズシリーズ」の中から、今回は「RF85mm F2 MACRO IS STM」を使用して、スチルライフ撮影を行なった金子親一氏に、その魅力を語ってもらった。
INTERVIEW 金子親一
シャープだがソリッド過ぎないレンズ
──「RF85mm F2 MACRO IS STM」を使用したマクロ撮影ですね。被写体の花がとろけるように流れていて美しいビジュアルです。
金子 85mmの焦点距離を持つマクロレンズということで、花を撮ろうと思いました。単純に花に寄ったカットでは面白くないので、何か自分なりのエッセンスを加えたいと考え、以前から興味のあった回転と長時間露光を使用した撮影アイデアを用いることにしました。
──今回使用した回転台は、面白いギアですね。
金子 フィギュアなどをディスプレイするときに使用する電動回転台なんです。一定の速度で自動回転してくれるので、今回の撮影ではとても役立ちました。カメラと花の位置関係や、花の形状によって、様々な表情を見せるので、それ意外は固定しておきたかったんです。
──カメラと花の中心をあえてずらしたり、花の周りに花びらを散らすなどして、撮影を繰り返していました。
金子 回転と長時間露光というのは、あくまでアイデアであって、実際の撮影の中で、自身の個性を表現するために試行錯誤するライブ感こそが、写真の醍醐味です。
──「RF85mm F2 MACRO IS STM」の描写はいかがでしたか。
金子 とてもシャープな質感なのですが、不思議と硬い印象がないレンズですね。こういった描写をするレンズは、これまで使ってこなかったので、おどろきました。
被写体が花だと分かるように、中心部分のディテールを出しつつ、とろっとした艶やかさを表現するこのビジュアルには、もってこいのレンズでしたね。
1枚目のカットは、シャッタースピードの関係で、f13まで絞りましたが、解像感は申し分ないですね。
──金子さんは、様々な被写体のブツ撮影を行なっていますが、このレンズと相性の良さそうな撮影ジャンルなどはありますか。
金子 化粧品撮影ですね。商品自体はパキッと見せつつ、やわらかい印象を求められることが多いので、ぴったりだと思います。
仕事柄、マクロレンズの使用率が高いのですが、RFレンズシリーズのラインナップには、85mmの他に24mm、100mmと3種類あるんですね。今回はセットの都合上、85mmが最適でしたが、他も試してみたいと思いました。
照明はLED。天面のディフューザーでフラットな光にする。
電動回転台。一定の速度で回転を繰り返す。きちんと水平を出しておく。
回転台の上に背景用のペーパーを敷き、花を乗せる。カメラは真俯瞰。花とカメラの中心を少しずらすのがポイント。
金子親一(かねこ・しんいち)
1961年東京生まれ。1985年フリーランスに。
写真集「UNBALANCE」「TORSO」「NUDIST」
kanekoshinichi.com
RF85mm F2 MACRO IS STM
主なスペック
対応マウント:RFマウント
焦点距離:85mm
明るさ:f2
レンズ構成:11群12枚
寸法:約Φ78.0×90.5mm
質量:約500g
詳細:cweb.canon.jp/eos/rf/lineup/rf85-f2