Blackmagic Special Interview
Blackmagic DaVinci Resolve 17 Special Interview|日向史有(ディレクター)/織山臨太郎(カラリスト)
2023年06月01日
「アイ アム ア コメディアン」
Interview
日向史有(ディレクター)/織山臨太郎(カラリスト)
©DOCUMENTARY JAPAN
制作=ドキュメンタリージャパン Dir=日向史有 TC+Visual Design=織山臨太郎
Pr=石川朋子・植山英美・秦岳・ゲーリー・ビョンソク・カム P=金沢裕司
Production Design=SOMEONE'S GARDEN ED=齋藤淳一
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物語を深めるカラリストの必須ツール
―DaVinci Resolveはいつから使用されてますか?
織山 2016年のNMB48のドキュメンタリー映画からです。4Kでの取り込みは初めてで、すごく重くて時間がかかるのでDaVinci Resolveの変換機能を使ってみようということになりました。
―日本のドキュメンタリーでカラーグレーディングをする人は多いですか?
日向 報道がベースにあるドキュメンタリーにはカラーグレーディングという概念が少なく、触らない人が多いです。
―お2人のドキュメンタリーには印象的な色使いが感じられます。
日向 前作の短編版『東京クルド』をTokyoDocsに出品することになったので、カラーグレーディングをしました。「青」を際立たせただけでこんなに感情的な深みが増すんだと知り、新鮮な経験でした。「テレメンタリー2018」(TV朝日)や「Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム」でも放映されましたが、どちらもDaVinci Resolveを使っています。
最新作「アイ アム ア コメディアン」のカラーリングは?
織山 この作品では村本さんが登壇するクライマックスの舞台シーンから色を決めていきました。作品のテーマカラーは「渋めの赤」。カメラが7台くらいあったのでホワイトバランスや色温度の調整もみんなバラバラで大変でした(笑)。
―その時のカメラの機種は?
日向 きれいにカラーグレーディングができるようにLog収録ができるカメラを使いました。舞台のシーンではSONY FX6を使ってシネマティックに撮影し、ロケでは機動性を考えてPanasonic AG-CX350で撮りました。Logで撮影した映像をカラーグレーディングしてもらうという流れでしたね。
―狙い通りの色を表すためどのようにDaVinci Resolveを使いましたか。
織山 然なS字カーブを再現するために、色補正ツールLUTを作る際に「ロジスティック曲線」を取り入れました。たとえば鼠がものすごく繁殖した島では食料が枯渇していき鼠の個体数がS字を描くように飽和するという統計学の数式です。「アイ アム ア コメディアン」では全体に赤味がかったLUTを作り、劇場のシーンで実際に使いました。
―村本さんご本人の感想は?
日向 韓国のDMZ国際ドキュメンタリー映画祭でワールドプレミア上映をした時の反応がすごくよくて、現地からの感想を聞いて喜んでいたようです。初めて全編を観てくれたのは東京国際映画祭。舞台挨拶の後ですれ違った時、表情で納得してるなってわかりました(笑)。
※この記事はコマーシャル・フォト2023年6月号から転載しています。