はじめに 〜Final Cut Pro 実践講座〜

映像は「編集」してこそ生きてくる。 生命を吹き込むのはあなた自身

斎賀和彦

これから映像制作を始める人のために書かれた書籍「Final Cut Pro 実践講座」。その第1章と第2章を、Shuffle読者のために連載形式で特別公開します。公開にあたって、はじめに、著者・斎賀和彦氏からのメッセージをお届けします。

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映像は「時間軸」の表現だ。主人公が走り、ヒロインが笑い、窓から光が差し込む。ひとつずつの動画が組み合わされることで新たな意味を持ち、絶妙のタイミングで流れ出すBGMがドラマを盛り上げる。そんな映像の醍醐味を司るのが「編集」という行為。カットの使い所、順番、つながりのリズムといった時間軸をあやつり、映像に緊張や歓び、感動を加えていく…動画は編集によって「映像」になるのだと言っても過言ではない。

そして映画において、最終編集のことを「ファイナルカット」と呼ぶ。様々な編集の末、公開される最終版、その象徴的な言葉と同じ呼び方を持つノンリニア編集ソフト、それが「Final Cut Pro」である。

1999年12月に日本語版がリリースされて以来、11 年。いまやノンリニア編集のデファクトスタンダードとなったFinal Cut Proは、MacBook Pro等のノートで駆動するモバイル編集から、ハイエンドな拡張ボードやRAIDと組み合わせたスタジオシステムまで同じソフト、同じ操作感で使える映像制作のマストアイテムである。

その操作はシンプルで、身も蓋もない書き方をすれば、本誌「Final Cut Pro 実践講座」を読まなくてもある程度使えてしまう。だがその一方で、一貫した操作の考え方、作法を理解すると、その何倍も操作性が向上し、機能を使いこなせるようになる。

本誌「Final Cut Pro 実践講座」は映像制作を志す学生、プロダクションの新人、EOS MOVIEを機に映像に乗り出すフォトグラファーの教則本を意識して書いた。Final Cut Proの機能は深く複雑だが、6割の機能をマスターすれば9割の作品は編集できる。そのための機能を厳選し、解説しているのが本誌の基本姿勢である。

ファイナルカットという言葉にはもうひとつ意味がある。このソフトを使って編集したら、もう言い訳やソフトの能力のせいにはできない。自分の映像への感性、技術、思いだけが試されるのだ。映像編集を、本気で、楽しんで欲しいと思う。

※この記事は「Final Cut Pro 実践講座」から抜粋しています。

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写真:Final Cut Pro 実践講座

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斎賀和彦 Kazuhiko Saika

CM企画/演出時代にノンリニア編集勃興期を迎える。現在は駿河台大学メディア情報学部、デジタルハリウッド大学院等で理論と実践の両面から映像を教えながら、写真、映像作品を制作。
ブログ http://mono-logue.air-nifty.com/
ツイッターアカウント http://twitter.com/SAIKA

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