Lマウント フルサイズミラーレスカメラ ライカSL2とライカSL2-S。2019年、2020年の発売後も、多くの写真愛好家のみならずプロフォトグラファーからも人気を集めている。
4,700万画素という高解像度性能を誇るライカSL2と、2,400万画素裏面照射型(BSI)CMOSセンサーを搭載し高感度耐性、動画性能を向上させたライカSL2-S。興村憲彦氏はライカSL2とライカSL2-Sの2台を使い分けながら、仕事でも活用しているという。今回は、高級台湾茶「HEMEL」グラフィック・ムービーと、「JAXA種子島宇宙センター ポスター」の2つの事例を通して、その使用感を語ってもらった。
INTERVIEW 興村憲彦
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- ──今回はライカSLシステムで撮影した2つの広告を紹介しています。
- 興村 普段は媒体によってライカSL2とライカSL-2Sを併用しながら使っています。高級台湾茶HEMELのグラフィックとムービーでもこの2台で撮影しました。
自然光が綺麗に入る場所を狙い、透きとおるお茶やグラスに光が差し込むシーンや、カーテンや木陰が風に揺れる様子、水滴が落ちる水面のシーンで穏やかで豊かな世界を作りました。
フォトグラファーとしては、グラフィックの世界をそのまま映像に持っていけるのは嬉しいですね。柔らかな印象に仕上げたかったので、フォルム時代のMレンズを使用しています。液色の深みやガラスボトルの質感を美しく表現してくれました。
ライカSL2、ライカSL2-Sはアダプターをかませれば、撮影内容に合わせてSLレンズやMレンズを使い分けられるのも魅力です。
僕がライカを選ぶ理由の1つは、レンズのボケアシの美しさ。言葉で表現しづらいですが、アウトフォーカスにむけて、ゆっくりとボケていく描写によってインフォーカス部分のメイン被写体を引き立たせられます。このボケアシの具合が綺麗で、上品に主役を立ててくれる。これはライカならではです。
もちろん、ボケが綺麗に出るレンズはたくさんありますが、単純にボケが出れば良いのではなく、ライカレンズは写真に立体感を出してくれる。それはボケ描写だけでなくコントラスト、F値などいろんな要素があってこその生まれる表現力だと思います。
それはライカの写真哲学や、写真に真摯に向き合う姿勢が、カメラやレンズに反映されているからなのかもしれません。
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- ──種子島のJAXA宇宙センターの撮影でも使っていますね。
- 興村 ライカSL2とライカSL2-SにそれぞれSLレンズ24-90mmと90-280mmをつけて全て手持ちで撮影しています。
施設内の薄暗い環境で撮影しても、高感度性能も素晴らしく、しっかりと捉えてくれました。状況に応じてISO3200〜6400で撮影していますが、とても綺麗です。僕の感覚ではISO12800くらいになると多少ノイズは出るものの気になりませんでした。
黒も潰れず、諧調が綺麗に出ているし、金属の質感やテクスチャーもよく表現してくれている。艶っぽい質感表現は、ライカらしいですよね。
種子島宇宙センター
「READY FOR THE NEXT LAUNCH」
企画制作:電通+電通クリエーティブX CD:関遼 AD:瀧澤章太郎 D:浅岡敬太 Pr:川瀬理絵 Ret:原島良輔 Dir:宗像悠里
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- ──ライカを使いはじめたきっかけは?
- 興村 僕はデジタル過渡期に独立した世代です。アシスタント時代、フィルム撮影を習得したのに、独立後のオファーはデジタル撮影ばかりでした。フィルムに慣れた僕にはしっくりくるデジタルカメラが見つからなかったんです。
デジタルに慣れるために普段持ち歩くカメラとして手に入れたのがライカM9。これが自然に馴染めたんです。その後初代ライカSLを購入し、今では8台のライカを所有しています。
ライカ全般に言えることですが、ニュートラルな色を出してくれるので、撮影後トーンのコントロールもしやすいです。描写力が素晴らしいし、色に深みがあります。
特にライカSL2とライカSL2-Sは、Capture One Pro21でのテザー撮影も可能なので、広告撮影での利用頻度が一気に上がりました。
エディトリアルの取材撮影では、フォトグラファーは現場にお邪魔して撮らせてもらう立場なので、存在感を極力消して、静かにシャッターを切って、いい写真を撮れればいい。静かな空間で大きなシャッター音を出すと、現場の空気が動いてしまい、良い空気感も壊してしまう気がして。
小型でシャッター音も静かで、撮影者の存在を消したまま良質な写真が撮れるライカは、僕のフォトグラファーとしての矜持にもマッチしているのだと思います。
ライカSL2
4,700万画素の高画質を実現する35mmフルサイズCMOSセンサーを採用。広いダイナミックレンジ、RGB各色14bitの色深度、最高ISO感度50000の高感度性能を搭載している。高精細画像処理エンジンには、新たに「LEICA MAESTRO III(ライカ・マエストロ・スリー)」を採用し、撮影機能がより高速化。また、ボディ内手ブレ補正機構によって、手ブレ補正機構がないレンズでも手ぶれを抑制。シネマ4K(C4K)モードでは最大60fps、フルHDモードでは最大180fpsの動画撮影が可能。
詳細はこちらから→https://store.leica-camera.jp/products/detail/1040
ライカSL2-S
2,400万画素の35mmフルサイズ裏面照射型(BSI)CMOSセンサーを搭載。静止画と動画の両方高画質に撮影できる機能を凝縮したフルサイズミラーレス。 最大記録画素数で最大25コマ/秒の高速連写性能を実現。動画機能は60 fps 4:2:2 10bitの動画を独自のL-logで記録可能。 4K動画を10bitで時間の制限なく連続記録でき、最新ファームウェアのインストールで、HDMI経由で外部レコーダーへのシネマ4K 60fpsのRAW動画出力が可能となる。
詳細はこちらから→https://store.leica-camera.jp/products/detail/1376