第6回「Leica Women Foto Project Award」の受賞者を発表!

3月8日の「国際女性デー」に敬意を表して、ライカカメラ社は第6回「Leica Women Foto Project Award」の受賞者を発表した。

今年のテーマは「Unity Through Diversity(多様性を通じた協調)」。

分断の時代においてつながりを持つことの大切さを探求し、女性の視点で表現したフォトエッセイを投稿するようフォトグラファーたちに呼びかけた。

今年の受賞者はプライヤ・スレシュ・カンブリ氏(米国)、ジェニファー・オズボーン氏(カナダ)、コラル・カルバロ氏(メキシコ)、アナ・ノイバウアー氏(英国)だ。
受賞歴を誇るフォトジャーナリストから写真撮影の世界に貢献してきた名高い寄稿者まで、幅広い著名人が審査を担当した。
各地域から選出されたこれらの受賞者には、ライカのカメラ「ライカSL3」、レンズ「バリオ・エルマリートSL 24-70mm f/2.8 ASPH」、そして1万米ドルの賞金が授与された。

「ライカI」誕生100周年を記念する行事の一環として、2026年に開催予定の次回、第7回「Leica Women Foto Project Award 2026」は、ライカカメラの生産拠点であるドイツ・ウェッツラーにて毎年秋に開催されている国際写真コンテスト「ライカ・オスカー・バルナックアワード」(LOBA)に統合される予定だ。

「毎年大勢の応募者があり、その優れたアイデアと賞賛がこのコミュニティの刺激になっています」とライカギャラリー・インターナショナル代表でアートディレクターを務めるカリン・レーン=カウフマン氏は述べている。
「この『Leica Women Foto Project Award』は、最前線で個性的な仕事に携わる非凡な才能の持ち主たちを惹き付けています。受賞者に選ばれたアーティストの一人ひとりが、写真撮影と、それを自分自身のナラティブ(物語・語り口)へ共鳴させる方法について、とてもユニークなアプローチを採用しています。このプロジェクトをLOBAの第3の独立した重要な部門として統合できることを大変嬉しく思います。写真界で活躍する新進気鋭の女性の才能を可視化し、支援するために必要不可欠なものと捉えています」

「Leica Women Foto Project Award」は、コミュニティを多様化する方法に視覚的な物語を通じて脚光を当て、クリエイターたちによる女性のエンパワーメントを強調する役割を果たしている。
視覚的なナラティブの範囲を広げるうえで重要な役割を果たしているこの賞は、Women  PhotographWomen Street Photographers、そしてPhotovilleとの協力の下に助成金を提供している。

第6回「Leica Women Foto Project 」受賞者

プライヤ・スレシュ・カンブリ氏(米国)
Archive as Companion(道連れとしてのアーカイブ)

Muma and Sona © Priya Suresh Kambli

プライヤ・スレシュ・カンブリ氏の作品はとても私的であり、移住者としての体験という文脈に根ざしている。
アルカジ財団が展示したインド特有の手塗りのスタジオ人物写真に着想を得て、自身の家族写真のアーカイブを題材にしてアイデンティティ、想い出、帰属感というテーマの探求を始めた。
プライヤ氏は20年にわたる創作活動を通じて、家族の肖像写真と先祖伝来の遺産を見直し、再創造し、新たな文脈に当てはめることで、祖先のルーツおよび彼女が帰化した国の両方と自身を結びつけるアーカイブを構築している。
彼女は作品を通じて不在と喪失について熟考し、家族の変遷の歴史をたどって、思慮に富んだ冷静なナラティブで家族の人生を記録している。


ジェニファー・オズボーン氏(カナダ)

Fairy Creek(フェアリークリーク)

Fairy Creek © Jennifer Osborne

ジェニファー・オズボーン氏の連作写真は、フェアリークリークの抗議活動のまっただ中へと見る者を誘う。
そこにはバンクーバー島の原生林保護を訴える活動家たちが集まっていた。抗議のために封鎖したバリケード内の生活をオズボーン氏が記録し始めたのは、警察が抗議活動の差止命令を執行する1週間前のことだった。彼女はそこで、執行初期の日々の生々しい瞬間をありのままに捉えた。その後も差止命令の執行後3ヶ月間にわたり抗議活動を記録し続け、活動家たちの勇気と献身を直に目撃した。
多様な背景を持つ活動家たちはテントや車に寝泊まりをしながら、その土地を守るために休むことなく闘う人々の揺るぎない団結と決意に脚光を当て、力強い写真を通じて森林を守るために費やされた各々の瞬間が、その土地のためだけでなく、未来の世代のための闘いでもあったことを明らかにしている。現在は撤去されてしまったバリケードと、彼らが懸命に闘って守ろうとした木々を記録したこの連作は、環境保護のために奮闘することの深遠な意義を如実に示している。

コラル・カルバロ氏(メキシコ)
Blood Summons(血が呼んでいる)

Blood Summons © Koral Carballo

コラル・カルバロ氏のフォトエッセイは写真撮影と口述歴史をミックスしたもので、メキシコのベラクルス州にあるアフリカ系住民とメスティーソ(白人と先住民であるインディオの混血者)のコミュニティにおけるアイデンティティの追究がテーマになっている。
パワフルな写真を通じて複雑な家族のトラウマのルーツを明らかにしており、自分自身の過去とのつながりをじっくり考えるよう見る者を誘う。彼女のプロジェクトである「Blood Summons <La Sangre Llama>」とはメキシコでよく言われることわざで、自分のルーツを知りたいという欲求を意味し、彼女自身がたどった私的な旅と、歴史に残る不当な仕打ちに対するより幅の広い探求の両方を表している。
カルバロ氏がこの作品によって呼びかけているのは関係の修復であり、分断よりもむしろつながりを育むことを目指している。そしてこれらの物語および自分自身の歴史と関わりを持つよう、見る者を誘う。

アナ・ノイバウアー氏(英国)
Ashes from Stone(石から灰へ)

Az © Anna Neubauer
Sarah © Anna Neubauer

アナ・ノイバウアー氏の現在進行中のドキュメンタリー・プロジェクトである「Ashes from Stone」は、美しさや強さやアイデンティティに対する社会的通念を覆す人々を描く力強いフォトエッセイだ。
ノイバウアー氏は印象的なポートレート写真を通じて、多様な文化的・社会経済的背景を持つ人々をエンパワーされた状況で表現することで、社会の隅に追いやられた声を増幅し、女性らしさや強さに対する伝統的な見方を再考するよう見る者に促す。
このプロジェクトは固定概念に異議を唱え、美しさの定義を改め、家族や関係や母性にまつわるナラティブを包含しています。それぞれの写真に私的なナラティブを添えることで、被写体との結びつきを深めて人間性を表現し、共感を育み、多様性に対する理解の進展を促している

コマーシャル・フォト 2025年3月号
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【新連載】
長山一樹流 違いを生むコマーシャル・ポートレイト
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