2010年06月01日
広色域の色再現が可能なデジタルカメラでの撮影が主流の現在でも、印刷物は4色刷りがほとんど。そのためインクジェットプリンタの色域を、すべてカバーできていないのが現状だ。そこでフォトグラファーのケイ・オガタ氏にピクトリコプルーフを使用して、表紙用のビジュアルの印刷仕上りをシミュレーションしてもらった。
P:ケイ・オガタ(No.2) HM:稲垣亮弐(maroonbrand) ST:斉藤伸子 M:左/アドリアナ・右/ヨハン(DONNA)
ピクトリコプルーフ(グロス)DCP3
世界で唯一、印刷用紙をベースに使用しているプルーフ専用インクジェットペーパー。印刷現場で実績があり、信頼性が高い。水性の染料・顔料インク両方に対応。速乾性、耐水性、インク定着に優れ、作業時のトラブルが少なく、作業効率が良い。
商業印刷の世界は、デジタルカメラで撮影することが一般的になっている。またインクジェットプリンタの進化により、カラー、モノクロとも高精細、高色域出力ができるようになった。しかしほとんどの印刷物は、CMYKの4色印刷が主流で、Adobe RGBデータと超光沢紙を使った色域の広い画像を再現することはできない。またモノトーンの画像でも、グラデーションやハイライトへの繋がり、シャドーの落ち方などが、予想と異なる場合がある。色見本に比べ、本刷りの印刷が眠く、フラットに感じた人は少なくないだろう。
しかし印刷本紙であるOKトップコートプラスをベースに使用したピクトリコプルーフと、ピクトリコのWebサイトで公開されている最新プリンタ用ICCプロファイルを使うことで、印刷仕上がりが簡単にシミュレーションできる。
今回はコマーシャル・フォト6月号表紙の撮影を依頼したケイ・オガタさんに、スタジオで撮影後、ピクトリコプルーフを使ってもらった。
初めにノーマルで1枚、プルーフ出力したものを、ヘアメイクやスタイリストとチェック。その後フラットなもの、コントラストを高めたものなど数パターンを仮レタッチして出力。本番レタッチのための方向性を確認していく。編集部も最終仕上がりのイメージが想像でき、安心して撮影を終えることができた。
撮影後、軽くレタッチして現場でピクトリコプルーフに出力
本番撮影中のオガタさん。モデルへの指示が適切で無駄がなくスピーディ。
6月号の作品テーマが「Love & Peace」ということで、平和の象徴である生きたハトを使用。
撮影後、現場で簡単にレタッチ。コントラストや明度の違いで数パターンをピクトリコプルーフに出力。プリンタはエプソン5500PX。
スタイリストの斉藤伸子さん、ヘアメイクの稲垣亮弐さんとプルーフ出力を見ながら打ち合わせ。
Photoshop CS4で色見本を出力する
①
Photoshopの「カラー設定」を画面のように設定する。カラーマネジメントポリシーはすべて「埋め込まれたプロファイルプロファイルを保持」にする。マッチング方法は「知覚的」を選択。
②
「プリントプレビュー」で、「カラーマネジメント」を選択。ピクトリコのWebサイトから予めダウンロードしたプリンタプロファイル(ICCプロファイル)で、「pic3_DCP3Plus_PX-5500」(今回のプリンタの場合)を選択。その他の項目も画面のように設定する。
「印刷設定」の中のプリンタの「カラー調整」項目を選び、必ず「オフ(色補正なし)」にする。この後、ピクトリコプルーフをプリンタにセットして、「プリント」をクリックすれば、出力できる。
印刷会社の色校正紙(右)とプルーフ出力
印刷会社から出された色校正紙(右)と、見本として添付したピクトリコプルーフ(左)。発色、色の傾向はほとんど同じ。
自然光が入る事務所で色をチェックするオガタさん。
僕は今まで写真(画像)を納品する際、ピクトリコプロなどの光沢系ペーパーを色見本として使っていました。理由としては、納品段階で「このクオリティを印刷目標にして欲しい」という思いがあったからです。僕の写真は比較的硬めなので、白色度の高いペーパーに出力することでパリッと見える(笑)。ピクトリコプルーフは印刷用紙をベースに使用しているということで、ベースが少しオフホワイトですね。印刷会社から出してもらった初校紙と比較しましたが、印刷イメージにかなり近いことがわかりました。
今回のような黒バックの前に、黒い衣装を着たモデルを立たせて撮影した場合、衣装の質感、黒バックと衣装の濃度差、奥行感が非常に大切です。印刷に近い仕上がりを事前に確認できるのは安心感に繋がります。
理想を言えば、我々フォトグラファーが印刷会社の現場の方とうまくコミュニケーションがとれると良いのですが、諸事情で難しい現在、プルーフ見本が現場の方への手紙のようなものですね。でも広告クライアントや雑誌編集担当者には光沢紙に出力した最高の仕上がりを納品したい。そこは使い分けたいところです。
KEI OGATA
1977年渡米。アルバート・ワトソンスタジオ助手を経て、1980年フリーランスカメラマンとして独立後、NYを拠点に活動。1990年帰国後、広告・雑誌を中心に活動。
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