Blackmagic Design Special Interview

Blackmagic DaVinci Resolve 18 Special Interview|
亀井俊貴(カラリスト)







しなやかに迫る鮮色のドレープ、身に纏うほどに輝く宝石たちのコントラスト、そして宮沢りえの透明感…。VALENTINOとHarper’s BAZAARのコラボによる映像作品「TRUTH; A RENDEZ VOUS」では見事な色彩を表現したカラリスト亀井俊貴。世界が注目する彼の進化し続けるカラリングとは。

「TRUTH; A RENDEZ VOUS」
Interview 亀井俊貴/カラリスト

©Harper’s BAZAAR ©VALENTINO
Dir=OSRIN(PERIMETRON) Pr=KENTO YOSHIDA(PERIMETRON)
P=TOMOYUKI KAWAKAMI ST=SHOHEI KASHIMA(W)
Hair=HIROKAZU ENDO(OTA OFFICE) Make=TAMAYO YAMAMOTO
T=RIE MIYAZAWA
動画リンクはこちら

進化するカラリストの必須ツール

―VALENTINO2022SSは「クラシックレガシーを鮮やかに再解釈」がテーマでしたが、どのように表現しましたか?

亀井 クラシカルなトーンを基調に、どれだけテクスチュア感を伝えることができるか。色を転がせて派手なほうにもっていくのではなく映っているそのままの質感を活かすことを最も重視しました。

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―撮影担当の川上智之さんとはどのように進めましたか?

亀井 スキントーンにマジェンダを入れているんですが、これは以前から川上さんと話していたことでした。

狙いはフィルムっぽさや肌の質感をより出すことです。川上さんは信頼して作品を預けてくれるので、事前に話したことを僕なりに汲み取って作っていきます。映像や音楽やいろんなものが重なり合って観る人へどう伝わるかが変わってくるので、バランスを見て提案したり話し合いながら作っています。

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―カラーグレーディングにはDaVinci Resolveを使用されているようですが。

亀井 昔から使っているのはDaVinci Resolveだけです。「こうしたい!」と思ったら直感的に実行できるスピード感があるので、重宝しています。自分なりのエフェクトをフィックスノード(編集フローを保存できる裏技)として準備しておけば感覚的に繋いでいけるし、別の人が修正する時にもわかりやすい。「スター・ウォーズ」などで活躍しているカラーリストのウォルター・ヴォルパットさんから教えってもらったフィックスノードを僕も継承しています。DaVinci上で実験しながら日々アップデートしています。バージョン17から入ったHDR(ハイダイナミックレンジ)パレットにはすごく助けられています。色全体を伸縮できるカラーワーパーも赤の輝度を調整したりする時などに多用してます。

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―18からの新機能については?

亀井 自動深度マップはCG部の人にマスクを作ってもらう時間がない時に便利な機能です。他にも美容補正などに重宝するResolveFXなどエフェクト系も充実しています。Blackmagic Cloudはクラウドを使ったプレゼンができるので、海外アーティストと繋ぐなどこれから便利なことが増えていくと思います。

―この先やってみたい挑戦について。

亀井 テクスチュアを強化していきたいです。ライティング、コントラスト、グレイン、ハレーションなど質感にはいろいろありますが、究極の目標はフィルムです。やっぱり質感がすごい。どうやってよりフィルムのテクスチャーに近づけられるのか。デジタルじゃないとできないなにかを探っていきたいです。

※この記事はコマーシャル・フォト2023年3月号から転載しています。