Blackmagic Design Special Interview

2024年5月

カラフルにデザインされたパース上に女優・花瀬琴音とバンドメンバーがダイナミックにコラージュされてゆく。
ポップでセンス溢れるこの映像を手掛けたのは、光を切り取り独特の映像世界を作り出すディレクター林 響太朗。
「常に綺麗なものを届けたい」と言う彼に美しくデザインされた映像作りについて聞いた。

制作=TOHOKUSHINSHA FILM CORPORATION Dir+DP+Editor=Kyotaro Hayashi Assistant Dir=Toshimasa Kumagai・Yuzuha Kashihara Lighting=Naoto Tanoue HM=kika・Ayako Higashikawa ST=Shuhei Kai Pr=Genki Yamaoka

 羊文学の曲はリリックの中に良さがあると思っています。「GO!!!」はポップな印象の曲ですが結構大切なことを歌っている。そういう普遍的なメッセージを感じられる映像にしたいと思いました。

 曲のタイトルや「一斉にgo!」というフレーズから、たくさんの人がいるイメージが浮かびました。パースを気にせず白い背景に人をたくさんコラージュするとかわいくなりそうだし、曲の雰囲気にも合いそうだなと。そういうところからだんだん着想してできあがりました。 「レゴみたいだな」とか「文字が増えたら面白そうだな」とか、MVはそういう”ノリ”も大事だと思っています。

 僕は「美しく世の中の手助けをしたい」と思えるものを極力選ぶようにしています。例えば誰かが生み出した物語や実在する存在があったとして、そのありのままを美しく見せるにはどうすればいいのか。そういうことを画で表現できたらいいなと思っています。今回もアーティスト自体が素敵だったので、彼らの手助けをしたいという想いがありました。

 僕がBlackmagicを選ぶのはグレーディングを早くしたい時やちょっとコッテリとしたトーンにしたい時。今回はコラージュの要素として大小関係なく後で素材を処理できる必要があったので、高解像度で撮影できることもメリットの1つでした。Blackmagic Pocket Cinema Camera 6Kはフルセンサーになりましたし、Blackmagic製品はすべてそうなのですが、優れた画質や性能に対して価格がとても良心的なので、これから動画を始めたいという方も手を出しやすいというのも大きな魅力です。

 EFマウントに変換アダプタをつけてContax Zeissレンズで撮りました。ちょっとオールドっぽいけど、パキッと撮れるんです。

 映像を作ることよりも大事なのは、時間軸でものを考えるということです。それは自分のアイデアをプレゼンするということに近いと思いますし、どんな仕事でも役に立つものなのです。

※この記事はコマーシャル・フォト2024年5月号から転載しています。

コマーシャル・フォト 2025年7月号

【特集】レタッチ表現の探求

写真を美しく仕上げるために欠かせない「レタッチ」。それはビジュアルを整えるだけでなく、一発撮りでは表現しきれないクリエイティブな可能性を引き出す工程でもある。本特集では、博報堂プロダクツ REMBRANDT、フォートンのレタッチャーがビジュアルの企画から参加し、フォトグラファーと共に「ビューティ」「ポートレイト」「スチルライフ」「シズル」の4テーマで作品を制作。撮影から仕上げまでの過程を詳しく紹介する。さらに後半では、フォトグラファーがレタッチを行なうために必要な基本的な考え方とテクニックを、VONS Picturesが実例を通して全18Pで丁寧に解説。レタッチの魅力と可能性を多角的に掘り下げる。

PART1
Beauty  石川清以子 × 亀井麻衣
Portrait  佐藤 翔 × 栗下直樹
Still Life  島村朋子 × 岡田美由紀
Sizzle  辻 徹也 × 羅 浚偉

PART2
フォトグラファーのための人物&プロダクトレタッチ完全実践
講師・解説:VONS Pictures (ヴォンズ・ピクチャーズ)

基礎1 フォトグラファーが知っておくべきレタッチの基本思想
基礎2 レタッチを始める前に必ず押さえておきたいポイント
人物レタッチ実践/プロダクトレタッチ実践

ほか