CP+プロ向け動画セミナー 2016

ドローン空撮時代の幕開け

講師:小林 宗(スタジオアマナ airvision・TSC)

映画やテレビCM、Webムービーなど、さまざまな用途で小型無人機ドローンによる空中撮影が行われている。その現状と課題、可能性について、アマナグループの空撮サービス「airvision」に所属する小林宗氏が詳しく解説した。また本記事の最後には、プロの空撮現場を体験できる「アマナドローン空撮スクール」についてのお知らせもある。

airvisionの取り組み

みなさんこんにちは。私は株式会社アマナが提供する空撮サービスである「airvision」で、ドローンを使った空撮を担当している小林宗と申します。こんなに多くの方々の前でお話をさせていただくのは初めてということもあって少々緊張しているのですが、今日は「ドローン空撮時代の幕開け」と題し、映画やテレビCM、Webムービーなどでのドローン活用事例をはじめ、改正航空法の飛行規制の内容、安全・確実に撮影を行なうためのノウハウ、空撮に適したドローンや搭載カメラの性能など、ドローン空撮にまつわるさまざまな話題を取り上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

img_event_cpplus201602_01.jpg 講師を務めたスタジオアマナの小林宗氏。

まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。もともと車好きで、当初は車をメインとするCG制作会社でデザイナーとして働いておりました。そこではCMやモーターショーの映像を作っていたのですが、それまでCGでやっていたカメラワークなどが、空撮という技術を使うと現実にできるということを知りまして、アマナにairvisionというセクションができるのと同時に参加をさせていただきました。これまでさまざまな作品の空撮に参加してまいりましたが、例えば映画『魔女の宅急便』などは、その代表的作品の一つかと思います。

アマナという会社についてもひと言、説明をさせてください。アマナは、コンテンツの制作や管理、ストックフォトなど、ビジュアルに関する多岐にわたる分野の仕事を担当している会社です。テレビなどでクレジットに名前が出ているのを見たことのある方もいらっしゃるのではないかと思います。airvisionもそのサービスの一つというわけです。

img_event_cpplus201602_02.jpg img_event_cpplus201602_03.jpg アマナグループの組織図とairvisionの位置付け

それではまず、airvisionが、これまでどんな撮影をしてきたのかを簡単にご紹介したいと思います。ごく一部ですが、昨年取り組んだ作品をまとめてきましたので、それを見ていただけたらと思います。

img_event_cpplus201602_04.jpg img_event_cpplus201602_06.jpg img_event_cpplus201602_08.jpg img_event_cpplus201602_10.jpg img_event_cpplus201602_12.jpg
img_event_cpplus201602_05.jpg img_event_cpplus201602_07.jpg img_event_cpplus201602_09.jpg img_event_cpplus201602_11.jpg 2015年のairvisionの昨年の仕事から

中には「これぞ空撮」といったものもあるかと思いますが、一方で「これのどこが空撮なの?」と感じるものもあったのではないかと思います。また、ドローンが撮影する側から撮影される側に回るようなパターンもありました。ドローンの使用例は、実は、いろいろと広がってきています。

『真田丸』の撮影で活用されたドローン

それがよくわかる事例が、現在NHKで放送中の大河ドラマ『真田丸』です。真田丸では、オープニングのタイトルバックでドローンを使ったさまざまな撮影を行なっているんですね。ところでこの中で『真田丸』をご覧になった方もいらっしゃるでしょうか。ありがとうございます。結構いらっしゃるようですね。まだという方は日曜夜の本放送の他にも、土曜の昼には再放送が、さらにはオンデマンドでも見ることができます。ぜひ、一度ご覧いただけたらと思います。

img_event_cpplus201602_13.jpg NHK大河ドラマ『真田丸』オープニングではドローンを使った映像が使われている。

ところで、真田丸のオープニングで「空撮」をしているということに気が付いた方、いらっしゃいますでしょうか。…それほど多くないようですね。映像そのものを流すことはできないのですが、ここでは順を追ってどんな風にドローンを使っているのかを説明していきたいと思います。

まず冒頭に水面を高いところから俯瞰するシーンが出てきます。これは長野県戸隠の鏡池というところで撮影をしました。鏡池というだけあって、水面に風景が映りこむような美しい場所なんです。これをドローンで撮っています。こういったシーンではクレーンを使って撮影することが多いと思うのですが、準備が大変です。それがドローンであれば、大掛かりな設備は必要ありません。ドローン撮影の強みといえるでしょう。

ただし、水面での撮影では風圧で波紋を引き起こしてしまうという難しさがあるので、気を使います。後進する場合は波紋が出てしまいますので前進で撮影をするのが基本でしょう。

img_event_cpplus201602_15.jpg 長野県の戸隠の鏡池。池などの水場の撮影ではドローンの波紋に注意する必要がある。

次に滝の側を上に向けてカメラが動くシーンがあります。ここは長野県の米子大瀑布というところで撮影をしました。ここで苦労したのが、撮影の前の「ここに行く」という行程でした。普段は行けない場所まで車で入らせていただいたのは良かったんですが、前日に大雨が降ったこともあり、途中の道が大変なことになっていたんです。というわけで、みんなで石をどけたりしつつ、なんとかたどり着くことになりました。

実際の現場は木々の深い場所だったんですが、滝を正面にした見晴らしの良い場所を見つけることができ、狙った撮影をすることができました。ただし霧が出やすく、風の強い場所でしたので、ドローンのコントロールは大変でした。

img_event_cpplus201602_17.jpg img_event_cpplus201602_18.jpg 長野県米子大瀑布での撮影シーン。天候の変化に気を使った。

城壁が登場するシーンは、岡山県の備中松山城で撮影をしました。山城ながら天守閣が残っているという、日本でも珍しい場所です。ここで苦労したのもやはり移動でした。ここは現地まで車で上がれない場所だったんですね。仕方ないので石段を15分ほど登りました。汗だくになりましたが、7人ですべての機材を運ぶことができました。クレーンを使っての撮影ではこうはいきません。人力で運べるというのはドローンという機材の大きな特徴だと思います。たとえば山頂での撮影なども可能だというわけです。

img_event_cpplus201602_20.jpg img_event_cpplus201602_21.jpg 岡山県備中松山城では城壁のシーンを撮影したが、そこまでは人力で機材を運び込んだ。

垂直上昇で壁の側をなめるようにしながら15メートルほど登るシーンがあって、その後、城の窓に向かって飛んでいくシーンになります。こういったルートを飛ばすような現場では目印の付いたポールを用意して、それを目安にしてドローンを飛ばすようにしています。どちらもCGのように見えるかもしれませんが実はドローンで撮っているんですね。

なお、撮影時には観光客の方が多くいらっしゃいました。昨年はドローンにまつわる事件がいくつか報道されましたので、風当たりが強いかなと思いましたが、むしろ「これがドローンか」といった感じで、みなさん好奇心満々といった様子だったのが印象的でした。

次に紹介するのは、開く門をカメラがくぐるシーンです。こういったシーンでは通常レールを敷いて、台車にカメラを載せて撮ることが多いのですが、あえてドローンを使ったのは、門の前に橋があったからなんですね。起伏というか、上り下りのある橋でしたので、レールを敷いても振動が大きく発生してうまくいかない。こういうシーンにもドローンが役立つんです。

ただし門が開くタイミングと、ドローンがくぐるタイミングがピッタリ合うか、とても怖かったんですね。ちょっとでもタイミングがずれるとドローンがぶつかってしまいますので。逆再生での撮影も検討したんですが、イメージ通りにいかないということだったので、実際に門を開けて撮影をしています。難易度の高いシーンでした。

img_event_cpplus201602_22.jpg img_event_cpplus201602_23.jpg 長野県松代城の門扉での撮影シーン。こういった撮影で使えるのもドローンのメリットの一つ。

今度は杉林を抜けていくカットですね。ここでは木が生い茂っているためでしょうか、GPSが使えなかったので苦労しました。

ドローンのGPSは、操縦側に不具合があった場合に自動で離陸地点に戻ってくる機能や、風が吹いた時などの不意の外的要因が発生した際にフラフラしないようにその場に止まる機能に活用されているんですね。つまり、GPSが効かないということは安全装置が効かないということなんです。ドローンを木々のそばを通そうとする場合、自分の起こした風にあおられてバランスを崩すといったことが結構あるので、かなり緊張感が高まりました。

img_event_cpplus201602_24.jpg 長野県戸隠神社での撮影。GPS電波が届かず苦労した。

美ヶ原の王ヶ鼻は写真のような雲海が出ることで知られる有名な場所です。ただしここでの撮影もなかなか大変でした。何日か続けて夕方に訪れてみたんですが、雲海どころか、霧でガスってしまってなかなか撮影ができない。困ったな、とホテルの方に相談してみると「雲海が出るのは朝ですよ」と言われてみんなでひっくり返ったということがありました(笑)。というわけで早朝に行ってみると写真のような素晴らしい映像が撮れました。

ただしここは標高の高いところなので、ドローンの操作には気を使いました。空気が薄いので、バランスを崩したりすると立て直すのに苦労するんです。

img_event_cpplus201602_26.jpg img_event_cpplus201602_27.jpg 長野県美ヶ原の王ヶ鼻。雲海を撮影した。

真田丸のオープニングでは、全10カット、6箇所、撮影日数9日間、104フライトの撮影でした。これは一つの作品としては、空撮の多い仕事だったと思います。また、ドローンの空撮以外の特徴、たとえば機材の運搬や設置が楽になる部分などの特徴が出せた撮影だったと思います。

ドローンによる静止画の撮影

次に静止画の撮影事例についてご紹介します。ドローンというと動画というイメージを持っている方もいらっしゃるかと思いますが、たとえば建物の外観を撮影する、といった仕事の依頼をいただくことがあります。工場撮影の事例は、ヘリでの空撮だと俯瞰の度合いが強すぎる、下から撮るとありふれた写真になるといったところからドローンを使いたいといったご依頼でした。また、ビルの空撮などのご依頼をいただくこともあります。都心部では航空法が改正になって、ドローンを飛ばすこと自体が難しくなっているんですが、事例の作品ではちょうど広い駐車場の上で撮影が可能だということで空撮ができました。

img_event_cpplus201602_28.jpg img_event_cpplus201602_29.jpg 静止画の撮影にもドローンが使われるケースが増えている。工場やビルの外観撮影はその中でも多い事例だ。

ドローンに積んでいるカメラですが、シャッタースピードや絞りといった設定は遠隔操作で変えられるようにして飛ばしています。ただ、ズームについては遠隔操作できないこともないのですが、現状ではレンズを変えて再度飛ばす、といったやり方をしていますね。

もう一つ、遠くに街や港が見える山道を走るバスを撮りたいというご依頼で撮影した写真を紹介します。Googleマップを使って場所を探し、実際にドローンを飛ばしてみてさらに良い場所を探る、といった工程を繰り返してから最適な場所を見つけました。

もしドローンを使わずに撮ろうとすると、足場を組んだり、クレーンを使うといったことをしないといけませんので、場所を移動しながら撮るのは事実上無理でしょう。その意味ではこれもドローンの強みを生かした撮影と言えるかと思います。

なおこの時は、バスを長時間同じ場所に停めておくことができないという制約があり、走っているバスとドローンのタイミングを合わせるための工夫が必要となる撮影でもありました。

img_event_cpplus201602_30.jpg 山道を走るバスの静止画。場所を移動しながら撮れるドローンの強みを生かした撮影となった。

航空法の改正でドローン撮影はどうなった?

さてここからは、最近話題であり、気にされている方も多いであろう「航空法の改正」に関して詳しく見ていきたいと思います。昨年の12月10日に航空法が一部改正され、これまでなかった「無人航空機」に関する定義が生まれました。200グラム未満のおもちゃのようなものは除いて、ドローンには規制がかけられることになりました。これによって、もう空撮なんてできないのではないかと理解されている方もいらっしゃると思いますが、ちゃんと法律を読んでみると、そこまでのことは書かれていないことがわかるかと思います。ここでは管轄官庁である国土交通省Webサイトにある図版を使いながら、ご紹介していきたいと思います。

img_event_cpplus201602_31.jpg

まず、航空法なんですが、注意すべき点は大きく二つあります。一つは飛行する「場所」、そして「方法」です。まずは「場所」に関することから見ていくことにしましょう。これについては3つのポイントがあります。図版を見てください。

img_event_cpplus201602_32.jpg 場所に関しては「空港の周辺」「150メートル以上の上空」「人家の密集する地域」の3つがポイントとなる。

「150メートル以上の上空」というのはわかりやすいのではないかと思います。地表面から150メートル以上はダメ、ということです。山などの斜面でも地表面が基準になります。これは主に飛行機との関係での規制ですね。

難しいのが「空港の周辺」に関する規制です。国土交通省のサイトには詳細を記した図版があるのですが、これを見ても判断するのはとても難しい。少しでも疑問がある場合は、空港に連絡を取るのが一番です。この場所でこういう風にドローンを飛ばしたいと説明をすれば、ていねいに教えてくれるのではないかと思います。勝手に判断するのは厳禁です。

img_event_cpplus201602_33.jpg 空港の周辺規制に関しては細かな項目があるが、判断が難しい場合も多い。空港に問い合わせるのがいいだろう。

もう一つの「人家の密集する地域」ですが、実は「人家の密集」という概念についてはすでに定義があります。「人口集中地区(DID)」というもので、すでに全国にわたって細かく決められています。どこがそれにあたるのかは「jSTATMAP」で確認ができるようになっています。ここでチェックをすれば、すぐにそこが密集しているエリアなのかどうかがわかるというわけです。

img_event_cpplus201602_34.jpg img_event_cpplus201602_35.jpg 「人家の密集する地域」にあたるかどうかは、「地図による小地域分析(jSTAT MAP)」:独立行政法人統計センター」で確認できる。
https://jstatmap.e-stat.go.jp/gis/nstac/

こういったデータはすでにさまざまな場所で確認できるようになっています。たとえばDJIというドローンメーカーのサイトからもそのデータが確認できますし、確認用のアプリなども存在しています。それを使ってチェックするといいでしょう。

飛行方法についての規制とは

ドローンを飛ばす「場所」については、ここまで紹介してきた3つに当てはまる場所以外であれば特に制限はないのですが、「飛行する方法」に関しては制限があります。今度はそれを見ていくことにしましょう。こちらもまずは図版を見ながら説明していくことにしましょう。

img_event_cpplus201602_36.jpg 飛行する方法については6つの点での制約がかけられている。

まず「日中での飛行」ですが、ドローンを飛ばしていいのは日中だけということを言っています。では日中とはいつのことだ、というと「気象庁が発表する日の出から日没までの時間」という決まりになっています。これも調べるとすぐにわかります。

次に「目視の範囲内」ですが、こちらは操縦をしている人が、肉眼で見えるところまでという決まりになります。最近話題のドローンレースではモニターで確認しながら、目視できないところを飛ばすこともありますが、200グラム以上の機種を使うと引っかかるということになります。

「距離の確保」ですが、人や建物、車から30メートル以上離れなさいという決まりです。ただしこれは第三者についての決まりであり、撮影する対象に関しては30メートル以内に近づいても特に制約はありません。ただしこの場合、建築物には電柱やガードレールも含まれますので、そこそこの広さのある場所で飛ばす必要があると言えます。

さらにはコンサートやイベントのように人の多いところはダメ(「催し場所での飛行禁止」)、危険なものを積んでの飛行は禁止(「危険物輸送の禁止」)といった規制、液体なども含む「物件投下の禁止」も定められています。たとえば農薬散布なども規制の対象になっているというわけです。

またここにはないのですが、私有地に関しては許可を取る必要があります。もし民家の上を飛ばすなら、すべての家の確認を取る必要がありますし、公園の場合は管理組合の許可を取る必要が出てきます。

ちなみに、先ほど紹介した『真田丸』は撮影自体は法律の施行前でしたが、航空法に引っかかるのは門をくぐるシーンだけでした。都市部でなければそれほど引っかかることはないのかなという印象です。また、届出をすれば大丈夫な場所も結構ありますので、撮影をしてみたいと考えた場合には、まず、国土交通省に尋ねて見るのがいいでしょう。一番危ないのが、自分で勝手に判断してしまうこと。気づかぬうちに法律違反をしてしまうということもありますので注意してください。

img_event_cpplus201602_37.jpg 疑問点などがあれば国土交通省の窓口に確認してみると良いだろう。

ちなみにairvisionでは過去の実績が認められ、人がいる場所、夜間、30メートル以内への接近、イベントでの飛行の4点で国土交通省に包括的な許諾をいただいています。実質、法律施行前と変わらずに飛行ができる状況ではあります。ただし、我々としては厳しく自主規制をしておりまして、安全に鑑み、ビル街や人の多いところなどはお断りをするケースもあります。

最近のドローンについて

さて、今回は実機を持ってきましたので、これを見ながら普段の作業などを紹介していきたいと思います。これが私たちがairvisionで主力として使っているFREEFLY社の「CINESTER 8」です。普段は二人でこれを操縦しています。たとえば僕が操縦をして、もう一人が操作をするというわけです。

img_event_cpplus201602_38.jpg img_event_cpplus201602_39.jpg airvisionの主力機であるFREEFLY社の「CINESTER 8」。ジンバルには同じくFREEFLY社の「Movi M15」、カメラはARRI社の「ALEXA MINI」が搭載されている。

機体の下部にはジンバル、いわゆるスタビライザー装置が付いていまして、下の部分は下の部分で独立して操作できます。あとは映像送信装置が付いています。操縦者の元にカメラの操作を行なうための映像を飛ばす装置です。ただし飛ばせる映像はSDのアナログに限定されます。これは電波法の関連で規制されているためです。

そしてカメラは今回ナックイメージテクノロジーさんからお借りした、ARRI社のシネマカメラ「ALEXA MINI」です。空撮用としては大型の部類に入ると言えるかと思います。

これ以外の装備で大事なのはインカムです。操作は二人で行ないますので、コミュニケーションツールが必要となるんですね。バイク用のインカムが使えますが、相互に通信ができるものがいいでしょう。タイミングがずれることもなくお互いに指示を出すことができます。

なお、カメラ操作側だけでなく、操縦側の手元にも映像を受信し、表示できるようにしています。狭くて目を離せないところを飛ばす場合もそうですが、何かあった場合に備えてやはりあったほうがいいと思います。

もう一つ、飛ばしている際に大事なのがバッテリーの確認です。操縦者としては「あとどれくらい飛んでいられるのか」を把握するのはとても重要です。テレメトリーという装置を付けて、バッテリーの減りをリアルタイムに確認しています。

ドローンの人気機種

続きまして、どんなドローンがあるのかを説明していきたいと思います。すでにかなり多くの機種が出ていまして、把握しきれないものもありますので、可能な範囲でということになります点をご容赦ください。

FREEFRY 「CINESTER 8」
img_event_cpplus201602_40.jpg img_event_cpplus201602_41.jpg

先ほども紹介しました通り、我々airvisionの主力機である「CINESTER 8」です。こちらは8枚羽ですが、6枚羽の「CINESTER 6」という機種もあります。シンプルな構造で堅牢、私も大変気に入っているドローンです。組み立てが必要で、カメラはもとよりジンバル、プロペラ、映像送信装置などを選択して組み上げていく必要があります。機材の相性問題などもあるのですが、用途に合致したドローンにできるというメリットがあります。ただし、残念なことに生産が終わってしまいました。

FREEFRY「ALTA」
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「CINESTER8」の後継として「ALTA」という機種が登場しました。こちらはすでに組み立てて済みの機種で、ジンバルとカメラ、送信機を用意すればすぐに使用することができます。先日、実際に飛んでいるところを見せていただいたのですが、安定性の高さに驚かされました。興味津々といったところです。

DJI「Phantom3」「Inspire1」
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「ドローンといえばDJI」といわれるほどによく知られたメーカーです。現在の代表的な機種が「Phantom3」と「Inspire1」でしょう。特にPhantom3は知られている機種だと思います。これも組み立て済みなのですが、先ほどの「ALTA」とは異なり、ジンバルはもちろん、4K映像が撮影できるカメラまで組み込まれています。ただPhantom3は一人で扱う機種なんですね。

二人での操作を可能にしたのが「Inspire1」です。一人では難しいカメラの振りやチルトアップ・ダウンが可能になります。また、映像送信機器も含んでいますので、本当の意味ですぐに使える機器ということになります。ジンバルの精度も高く、スーッとした画が撮れます。ただし付いているカメラのレンズが20ミリと広角な点をどう考えるか、用途によっては考えるポイントかと思います。

DJI「Spreading Wings S1000+」「Spreading Wings S900」
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「Spreading Wings」は先ほどのカメラ同様、組み立ての済んだドローンです。ただしジンバルとカメラは別売りとなります。カメラはたとえば、PANASONIC LUMIX DMC-GH4、SONY α7、Blackmagic DesignのCinema Camera、CANON EOS 5D Mark IIIなどが付けられるようになっています。写真を撮りたいと考えている方はこちらがいいかもしれませんね。なお、「Zenmuse Z15」は360度連続回転ができる3軸のジンバルです。

ところで先ほど、操作時の映像はアナログでしか送れないという話をしたんですが、ドローンでの撮影では、今どんな映像が撮れているのかを確認するというのはとても大事です。もっと綺麗な映像で見たいという人も多いかと思います。DJIは「Lightbridge」という日本国内でも使用可能な映像送信の機器を製造しています。これはデジタル送信が可能で、映像も綺麗です。現在のところ、アナログの機器かこれを選ぶしかないというわけです。

Parrot「Bebop」
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「Bebop」はちょっとおもちゃっぽい機器なのですが、タブレットから操縦できる点が特長です。操縦電波がWi-Fiなので、電波の飛ぶ距離に制限があり、急に切れたりすることもある、といった問題があるんですが、とにかく手軽です。ジンバルはデジタルジンバルしか付いていませんが、比較的安定した映像が撮れます。

この他にも今回のCP+では「Yuneec」という会社がドローンの展示を行なっており、近い将来、日本で使えるようになる予定とのことでした。今後ますます選択肢が増えていきそうです。

空撮に適したカメラは?

次は搭載カメラについて紹介をします。まずはCMや映画でも使えるクオリティの映像が撮れるシネマカメラですが、本日ナックさんからお借りしたARRI社の「ALEXA MINI」の他にも、Blackmagic Design社の「Cinema Camera」、RED社の「EPIC」といったあたりがあげられるでしょうか。どれもそこそこ重いので、それなりの大型の本体が必要になりますし、そしてなんといっても高価です。ただし、その映像はやはり素晴らしいと思います。

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また映像の撮影で多くの現場で使われているムービーカメラ、SONY「FS7」、CANON「EOS C100」「C300 Mark II」などもよく使われます。特にFS7はハイスピードが取れるので人気がありますね。空撮でハイスピードというのは魅力的です。

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続いてデジタル一眼カメラですが、最近は4Kで撮れるものが増えていますね。例えばパナソニックの「LUMIX DMC-GH4」。軽くて、マイクロフォーサーズですのでレンズも多彩です。あとはソニーの「α7s II」。αシリーズの4K内部収録ができる機種は大変重宝しています。また最近登場したα6300もちょっと面白そうだなと感じています。ただ、GH4やα7シリーズはバッテリーの持ちが問題になることがありますので、こまめな交換が必要です。

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変り種もいくつか紹介しておきましょう。たとえばDJI「OSMO」は空撮用を地上用にしたものです。4Kで綺麗に撮れて、手で持ってもブレないカメラです。次がZenmuse「X5」。これはマイクロフォーサーズ規格のカメラで空撮にも使えそうなカメラです。まだ制限があるので、どんなレンズでも使えるわけではないのですが、小型の電動ズームが載せられる点はポイントです。さらに同社からは「X5R」というよりスペックの高いカメラも出るようです。

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空撮の課題

最後にまとめ的に、現在の空撮が抱えている課題について、4つほどのテーマをあげてみることにしようと思います

img_event_cpplus201602_51.jpg

まずあげられるのが「安全性」です。空撮の最大のリスクはというと、なんといっても落下です。事故をどう防ぐかは何にも増して大きな課題だといえるでしょう。ここは我々のみならず、撮影を依頼する方や、場所を提供する方も気にされている部分です。

まずできることは、人がいるところでの撮影を避けること、そしてその危険性が少しでも予見できるならば飛ばさないということだと思います。そのうえで将来的にはエアバッグやパラシュートのような装備、そしてシステムの冗長化も考えないといけません。バックアップが常に働くようにしておくといったことですね。

そして次が「正確性」。今の動きをもう一度やってくれと言われることがあるんですが、腕でカバーすればいいのでしょうが、たとえば飛んだルートを記憶し、再現するような機能があるといいのにな、と思います。GPSの精度向上にも期待したいところです。

次に「飛行性能」ですが、撮影では時々、「もっとスピードが出ないのか」と聞かれることがあります。今のドローンはせいぜい時速30〜40キロといったところです。視認距離などの問題もありますから、速いとコントロールも大変なのですが、いずれは解決をしてほしいなと期待しています。

「電波」についても課題は多いですね。先ほど紹介した、確認用の映像送信の問題や、ケースによって電波帯を利用するのに免許や放送局への申請が必要だったりすることもあります。もちろん、操縦用の電波帯が他の電波帯と被ってしまうことがあってもいけません。新しい電波帯などが活用できるといいのにな、と感じることもありますね。

このあたりの問題がそれぞれ改善されれば、空にドローンを巡る環境は良くなり、気軽に使えるようになるだろうと考えています。

質問コーナー

さて、少し時間がありますので、みなさんからの質問をお受けしたいと思います。何かありましたら気軽にどうぞ。では最初の方からお願いします。

Q. 動画と静止画でそれぞれ価格設定の仕方は?

A. 静止画は動画と比べても難易度が低いということを踏まえ、拘束時間と回数などを鑑みて設定をしています。

Q. 航空法の改正に関して、「包括の許諾」という話がありましたが、もう少し詳しく教えていただけませんか?

A. 住宅密集地など含めて、許可は日本全国で取っています。これまでの実績などもあって、許可をいただたけたと理解しています。ただし法律上問題がないということと、お仕事を受けるというのはまた違う話です。安全性などのことを十分に吟味してから飛ばせるかどうかを判断をしています。

Q. 『真田丸』の撮影でGPSが使えないケースがあったという話がありましたが、よく起きることでしょうか。

A. 頻繁ではないのですが、ないとは言えません。GPSに頼らない操作の練習も大事かなと思います。やはり緊張感が違いますので。

Q. Phantomを使っており、操縦とカメラの操作を一人でやっているのですがなかなか難しいです。やはり練習するしかないのでしょうか。

A. はい。Phantomを一人で飛ばすのには練習が必要だなと感じています。ただそれにも限界があると思います。二人用の機種を使って対応する方が、結果的にはいいものになるのでは、という気もします。

Q. 先ほどのモーターボートを撮影しているシーンがありましたが、あれはどこからドローンを離陸させているのでしょうか。また、旋回シーンの撮影の仕方は?

A. モーターボートのシーンは陸から離陸させました。旋回シーンでは一人がカメラ位置を調整して、もう一人が操縦をしています。正直なところ一人では難しいと思います。

Q. 外洋でヨットの撮影をしているシーンがありましたが、それの離陸地は?

A. ヨットの上から離陸をさせました。風向きによっては陸から離れないと撮影ができないといった事情を説明されていましたので、あらかじめ準備をし、ヨットの上に広い甲板を作ってそこから離発着をさせました。特に着陸についてはヨットが動くのでタイミングが取りづらく、かなり難しかったですね。ただし、ヨットマンの方々に風向きなどを読んでいただいて、なんとか調整できたという感じです。

Q. カメラの機能・性能・操作性で実現してほしいことは?

A. もっと小さくて高画質、さらにレンズが選べるカメラがあるといいですね。キリがありませんが。あと最近、Blackmagic Design社から、ラジコンの操作系をそのまま採用したカメラが出たのですが、そういった、ドローンに最適化された操作性などもさらに進化するといいなと思っています。

Q. 小林さんは、大型機をすぐに飛ばせたんですか?

A. いえ、パソコン上のシミュレーターに始まり、小さなおもちゃから順を追って練習しました。大型機の前には練習機も使って練習をしました。

Q. CINESTERについてですが、向きや方向の確認とかはどうしているんでしょうか。

A. 難しいですよね。カメラの背面にあるLEDを見ながら調整をしています。

Q. CINESTER 8が生産終了になって、今後はどうするんでしょうか。

A. 悩ましい問題です。簡単に判断はできないので、慎重に吟味しつつ時間をかけて調べてみたいと思っています。

Q. 風圧による波紋の話がありましたが、影についてはどう防いでいるのでしょうか。クライアントの要望でCG処理をすることもあるのでしょうか。

A. 影はクライアントとあらかじめ話をしておき、避けるようにしています。ただし、どうしてもという場合、CG処理をすることもあります。

Q. 耐用時間やメンテナンスについては?

A. モーターやコントローラーは1年程度、バッテリーも使用回数を数えつつ、およそ1年程度で変えるようにしています。

Q. 今までヒヤリとした経験はありますか? それを避ける方法は?

A. ドローンの足が木の枝に引っかかりそうになった経験があります。障害物に近づきすぎないよう、注意するしかないと思います。

Q. 電波が混信したり、途切れるといったことはありますか?

A. 何らかの理由で電波状況が悪いなという時には、最初から飛ばさない、という判断をします。

そろそろ時間となったようです。みなさま、今日は長い時間、ご静聴ありがとうございました。

取材:小泉森弥


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