デジタルフォト&デザインセミナー2008

Photo Session : 写真を楽しくする高性能デジタル一眼レフ NIKON D3 & D300

講師:望月宏信

僕はいろんなメーカーのデジタルカメラを使って広告の仕事をしていますが、昨年11月にニコンD3が発売されからは、D3を手にすることが圧倒的に多くなっています。いろんなカメラを使うのには理由があって、進化の激しいデジタルカメラの中で、その時々でいちばん良いカメラを選びたいからです。去年までは別のカメラが一番だと思っていたのですが、今年に限っては断然ニコンD3です。

仕事ではリゾートホテルを撮影することが多いのですが、光の条件がよくないことが多い。そんなときでもD3は簡単に、きれいな写真を仕上げてくれます。いまLightroomのスライドショーを使って、D3やD300で撮った写真をお見せしていますが、どの写真も補助光を使っていません。つまりストロボも、レフ板も使っていない。でも、どの写真も白飛びしてないし、黒ツブレもない。補助光を当ててないのに中間調がちゃんと出ているでしょう?

いままでだったら大勢のスタッフを連れて、大型ストロボを何台も用意して、数時間かけてライティングをしてというケースでも、D3だったらカメラ1台あればいい。パシャッと撮影して、あとはPhotoshop LightroomやCapture NXで仕上げれば、狙い通りの写真ができ上がってしまう。プロだったらストロボを使うのが当たり前だろうと言われるかもしれませんが、なにも手を抜いているわけではなく、無駄なことに神経を使わないですむならそれに越したことはない。そのぶんより多くのショットを撮ったり、絵づくりに時間をかけたり、他のお客さんに迷惑をかけないで短時間で撮影をすませるほうが、むしろ仕事のやり方としては正しいのではないでしょうか。フィルムの時代から20年以上写真を撮っていますが、こんなに写真を楽しんで撮れるようになったことに、僕自身たいへん驚いています。

撮っている時は、取り立ててすごいカメラだとは思いません。でも事務所に帰ってきて、Lightroomのスライダを動かしてイメージを仕上げようとした瞬間に、これはすごいカメラだなというのを実感します。今お見せしているのはすべてRAWデータです。1カット何時間もかけてレタッチしたり、レイヤーを何枚も使ったような写真ではなく、Lightroomのスライダを動かして調整しただけの写真です。ホワイトバランスや明るさを変えても階調は豊かだし、ノイズは少ないし、白飛びも黒ツブレもないし、広角レンズで撮っても周辺が流れないし、暗いところで手持ちで撮っても被写体ぶれがありません。本当にびっくりします。

ニコンD3、D300の特長については皆さんもご存知だと思いますが、画素数はどちらもほぼ同じで約1200万画素です。連続撮影コマ数もほぼ同じで、D3が1秒9コマ、D300も専用バッテリーパックを装着すると1秒8コマ。AFシステムも同じものを搭載していて、どちらも51点のフォーカスポイントを持っています。D300クラスでこれだけのAFシステムを搭載しているものは他にはないので、そういう意味ではD300はお買い得なカメラだと思います。

両者のいちばん大きな違いは撮像素子のサイズで、D3のほうはニコン初のFXフォーマット、いわゆる35mmフルサイズのフォーマット。D300のほうは従来からのDXフォーマットで、APS-Cサイズです。撮像素子の面積比でいうとD3はD300の2倍くらいあります。画素数が同じなのに、撮像素子のサイズがこれだけ違うということは、D3の方が一つ一つの画素のサイズが大きいということです。動物もそうですが、目が大きいほうが暗いところまでよく見える。D3のISO感度は最大でISO6400。増感によってISO25600の高感度撮影も可能となっています。

一つ一つの画素のサイズが大きいということは、暗いところでも十分な光を受け取れる、豊かな情報量を受け取れるということです。ダイナミックレンジが非常に広くて、明るいところから暗いところまで階調が豊かで、後処理をしても階調飛びなどの破綻が生じない、しっかりとした腰のある画像を得られます。技術的には2400万画素のフルサイズのカメラを出すこともできたと思いますが、ニコンはあえて1200万画素のカメラを作った。ここがとても重要だと思います。写真にとって一番大事な要素は何かというと、多くの人は画素数と言うでしょう。しかしニコンの回答は、いたずらに画素数を追求することではなくて、豊かな階調表現を実現することだったのです。僕も、画素数より階調の方が遥かに重要だと思います。

さきほど感度の話をしましたが、D3のすごいところは単に高感度というだけでなく、ノイズが圧倒的にすくないところ。僕がこれまでメインで使っていたカメラと比べても、2段分くらいの違いがある。つまり、これまでのメインカメラのISO1600と、D3のISO6400は、ほぼ同じレベルの画質だということです。D3だったらISO6400でもA4見開きは行けると思います。実際に、とある国の観光局のポスターをD3で撮ったんですが、ちょうどその時は天気が悪くてISO1600で撮らざるをえませんでした。でも、画質的には全く問題はなかった。ISO1600でポスターというのはこれまでの常識からするとありえないでしょう。

それからもう一つ重要な話をすると、D3と一緒に発売された広角レンズが本当に素晴らしい。個人的に広角レンズが好きなので、これまでいろんな広角レンズを使ってきましたが、ニコンの新しい14-24mmレンズ(AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G ED)は、これまでに見たことがないくらいすごい。絞り開放で使っても周辺部が流れないし、点光源が画面の中に入ってもフレアはほとんどない。フルサイズのD3との相性は最高で、14mmを14mmのままで使えるので、これまでにない表現が可能になります。

では実際にLightroomを使いながら、D3の画質を検証していきます。たとえばこの写真は、水族館でスナップ的に撮ったものです。ちょうど天井のプロジェクターから、魚の映像が床に投影されているところを写したものですが、プロジェクターの映像のところが適正露出になっていて、周りは真っ暗です。この画像に対して、Lightroomの「補助光効果」というスライダを動かしてみますね。すると、真っ暗だったところが、ほら、こんなに明るくなっていきます。しかもノイズがあまりない。実はこの写真はISO6400で撮っています。ISO6400で撮った写真で、暗い部分を持ち上げても、この画質です。

ニコンの最近のカメラにはアクティブD-ライティングという機能があって、この機能をオンにしておくことで輝度比が高い画像でもうまくデータを取り込んでくれるのですが、このアクティブD-ライティングとLightroomを組み合わせると、こんなことができてしまうんです。これじゃあプロのフォトグラファーはいらないよ、というくらいすごい実力で、これには僕自身も驚かされました。

Lightroomの「補助光効果」のスライダを動かすと…


暗くて見えなかった部分が浮き上がってくる

それからたとえば、インテリアの写真。外光の入る窓や照明器具などは周囲と比べて輝度が高いので、補助光なしで撮影したりすると、まちがいなく白く飛んでしまいます。これまでだったら、大型ストロボが2灯必要となるような撮影です。しかしD3ではストロボが不要です。D3の画像は非常に腰が強いので、思い切ってアンダーめで撮って、後からLightroomで持ち上げることができます。暗いところを持ち上げると通常、家具の部分などは思いっきりノイジーになってしまいますが、D3ではそんなこともないし、照明器具などハイライトに近い部分の階調もきれいに出すことができます。

こんな感じで、D3の後処理というのは、RAWで撮ってLightroomのスライダを動かせばだいたい事足りるんですが、Lightroomでは特定の部分だけ明るさを変えることができないので、そういうときはニコン Capture NXを使うのがよいでしょう。Capture NXの最大の特長はコントロールポイントという機能で、これによってRAWデータの部分調整ができるようになっています。コントロールポイントを画像の上に置くと、スライダが4つ現れて、その部分の明るさや彩度、コントラストなどを変えることができます。効果を適用する範囲の大きさも変更できます。Capture NXをPhotoshopと比べる人もいますが、Capture NXはPhotoshopに対抗するようなソフトではないし、価格もずっと安いので、もっと気軽に使うとよいと思います。

このようにD3で撮ってLightroomやCapture NXで少し調整するだけで、撮影が変わるし、作品が変わるし、すべてが変わります。時代の変化は本当にすごいものです。私は、日々の仕事でその恩恵にあずかっています。D3が去年11月に発売されて以来、たった半年しか経っていませんが、すでに延べ二十数カ国をまわってロケをしてきました。短期間にこれだけ多くの仕事をこなすことができたのも、簡単にきれいな写真を仕上げられるD3というカメラがあったからこそだと思っています。

写真:望月宏信

望月宏信 Hironobu Mochizuki

1961年東京生まれ。1991年株式会社イリュージョンを設立。広告写真家・フォトディレクターとして、大手企業各社の広告活動に参画。雑誌等で作品を発表し、日本写真学会や各メーカーのデジタルセミナー等の講演も行う。アジアやオセアニアでの撮影を円滑に行うため、2005年海外に撮影会社を設立し拠点としている。 個展「7107 Islands」(2006年キヤノンギャラリー)。社団法人日本広告写真家協会会員、日本写真学会会員、日本芸術写真学会会員、カメラグランプリ選考委員 http://web.mac.com/ipi/

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