集中連載 一眼ムービーのための音録講座 ─OTODORI KOUZA─

一眼ムービーのための音録講座 #3 ライブ収録

解説:VideographersOnline(小島真也・安友康博)

光と影を駆使して絵作りしてきたフォトグラファーにとって、目に見えないサウンドは未知の領域。リニアPCMレコーダー「TASCAM DR-701D」をメイン機材に使い、一眼ムービー撮影時に失敗しない、サウンド収録のノウハウを見ていこう。

img_products_dslr_otodori01_07.jpg TASCAM DR-701D


ライン音声と内蔵マイクでリアルなライブサウンド

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DR-701Dはライブ会場後方にセット。PAからのラインアウトをXLRケーブル2本(L/R)で受け取る。
さらに内蔵ステレオマイクで観客の声や拍手も含めた会場内で鳴り響く全ての音声を収録。最終的にライン音声と会場音声をミックスして、クリアかつ臨場感のあるライブ音を作る。
下の写真が今回のセッティング。カメラは他に2台使用。DR-701Dの設置場所がエアコン吹き出し口に近かったため、内蔵マイクにはウィンドジャマーをつけている。
DR-701D収録の音声は、同期用としてカメラ側に返している。

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ステージや演台などPA(パブリック・アドレス=電気的に音声を拡大して多くの人々に聞かせる)設備がある現場での音声収録には「ライン録り」という方法があり、これはライブや講演会、発表会、披露宴などに広く応用が効く。今回はライブハウスでの収録を例に紹介しよう。

協力してくれた「世田谷ボーイズ」は、ボーカルとドラムスの2人に、ギターとベースのサポートメンバーを加えた4人編成。通常バンド楽曲の場合は演奏者とPA技術者の共同作業によって音響を管理している。ライブハウス内で快適に演奏が聴けるように、各パート(ボーカルやコーラス、それぞれの楽器)の出力をミキサーで調整し、スピーカーから最適な音を提供する。「ライン録り」とは、簡単に言うとそのミキサー、PA装置のメインアウトやそれに類する出力を、直接レコーダーで記録する方法だ。この出力信号はアンプを通して会場のPAスピーカーに送られるものと基本的には同じで、余分な現場音などは入っていない。

今回の収録カメラは3台。ライブハウス後方中央にニコン D810+17-55mm/2.8を三脚に設置。ステージ前面のマイクスタンド脚元に据え置きのGoPro HERO4、3台目はクローズアップ狙いで手持ち移動するニコンD800+24-70 mm/2.8。移動用のD800とステージ上のHERO 4でも音声を録っているが、編集アプリでのクリップ同期用で、音声としては使用しない。高音質よりも、破綻していないきれいな波形の収録を優先するために、オートレベルで録音している。

後方のD810横には別スタンドに取り付けたDR-701Dを配置。PAミキサーとの直線距離は4mほど。ミキサー・アウトから10mのXLRケーブル2本(ステレオL・R)を使って、床、壁面を引き回し、DR-701Dに入力する。

ちなみにミキサーアウトの接続端子は、機種やPA設備(結婚式場や宴会場、会議ホールなど)によって様々あり、ライブハウスや大きめのイベントホールの設備ではXLR端子が多く使われている。他には録音用アウトのRCAピンプラグや楽器用に多い標準プラグの場合もある。最低限この3種類は準備した方が良いだろう。さらに、それぞれの変換コネクターがあれば、ケーブル類を減らせて、かさ張らず便利だ。

たとえばPA装置がRCAアウトでも、ノイズの乗りにくいXLRに変換してレコーダーまでケーブルを引き回せば、S/Nの良い収録が可能。なお標準プラグにはステレオタイプと似た形状のバランス方式(TRS)もあるので、注意が必要だ。

PAミキサーと変換コネクター

写真下はミキサーとそのラインアウト端子。今回はXLR端子(+4dB)だったが、会場設備によって違うので、変換コネクターは常備しておくと良い。


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img_products_dslr_otodori03_06.jpg 変換コネクターとXLRケーブル

ケーブルをDR-701Dに接続する前に、入出力レベルの基本知識を少々。業務用のラインレベルは+4dB(プラヨン)や0dB(ゼロデシ)で出力される。民生用(DVDプレイヤーやアンプ、カムコーダーなど)は-10〜-20dBを採用。マイクレベル(アンプを通さないマイクからの直接出力)は-60dBである。どのラインレベルで入力するかにより、レコーダーの入力ゲインをあらかじめ設定しておく必要がある。

入力ゲインを設定したら各チャンネルへの割振りだ。DR-701Dは同時に4チャンネルの収録が可能なので、チャンネル1と2にはPAミキサーからラインでもらったL(左)チャンネルとR(右)チャンネルを接続。チャンネル3と4には、内蔵マイクのL、Rを割り当てる。

最後に入力レベルの調整。音響スタッフに「1kHz基準信号」を出してもらい、ピークレベルメーターでチャンネル1、2ともに「-20dB」になるよう調整する。さらに内蔵マイクのチャンネル3、4は、リハーサル中の実際の音声が「-12dB付近」になるように調整している。

ライブ会場での録音

ライン音声+会場現場音のミックスなので、DR-701Dのゲイン(入力信号のプリアンプ増幅率)設定で、ライン入力(チャンネル1、2)は「LINE」に、会場音は大音響のため内蔵マイク(チャンネル3、4)は「LOW」に設定(写真右)。その上で各チャンネルのレベルを調整。


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ライン入力と内蔵マイクを同時収録するのには訳がある。収録された2つのソース(音源)は、音質の傾向が随分と異なっている。ラインソースはボーカルとギターがクリアだが、ドラムは鳴っているのがわかる程度で、全体的に音質が硬い。一方内蔵マイクの方はドラムやベースの重低音を含め、まるで会場にいるかのような臨場感がある。ただしボーカルやギターにキレがないのが難点だ。

それならば、編集アプリ上で各ソースをバランス良くミックスすれば良い。ボーカルのクローズアップ場面ではラインソースのレベルを上げて歌声をしっかり聴かせ、観客を含めたロングの場面では内蔵マイクの臨場感を優先する。つまり視覚の印象をサウンドにも反映させるのだ。

迫力あるライブ音声を録る


DR-701Dの内蔵ステレオマイクの音源はドラムやベースの重低音に迫力があるがボーカルとギターがひっこみ気味。ミキサーからライン音源はクリアだがやや弱い。二つの音をミックスして迫力あるクリアな音を映像に載せる。
曲:世田谷ボーイズ SHAKE DYNAMITE〜俺たちに足はある〜

VideographersOnline ビデオグラファーズ・オンライン

2011年に安友康博と小島真也で結成したビデオグラファー・ユニット。豊富な写真家のキャリアを背景に、主にWebコンテンツのリクエストに動画と写真の両面から応え、現在も進化中。
http://www.thevideographersonline.com

取材協力

世田谷ボーイズ
ボーカル+ドラムスをメインメンバーに、ギター+ベースのサポートを適時投入する“昭和歌謡オルタナティブロックバンド”。2007年インディーズデビュー
https://setagayaboys.jimdo.com

ライブハウス 下北沢WAVER
音楽あふれる下北沢にて、熱くリアルにアットホームに。日々、楽しいライブを繰り広げる。
http://waverwaver.net

CP+2017 プロ向け動画セミナー「一眼ムービーのための音録講座」
講師:小島真也(フォトグラファー)/安友康博(フォトグラファー)

日時:2月23日(木) 13:15〜14:45(入場無料)
詳細/事前登録:www.cpplus.jp/visitor/event03.html#day23

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