2007年08月09日
広告制作の最前線もすっかりデジタル化されている。ポスターや新聞・雑誌広告などを制作する過程において、かつてはフォトグラファーあるいは印刷会社の製版担当者などが行なっていた写真のレタッチも、今はパソコンを使ってデジタルで処理されることが多い。その時になぜペンタブレットを使うのかをIntuos3でデジタルレタッチを行なうプロ集団「こびとのくつ」のメンバーに話を聞いた。
精度に信頼が置けるので微妙な作業をするのに最適
―この会社では、全員がIntuos3のA3ワイドを使っているそうですね?
工藤 初めはA4とA3ワイドが混在していた時期もありました。でも、それだと、各スタッフ間で席を移動したり、臨時で他の人のMacを使わなければならない時に、体感がまったく違うんです。だから同じ使用感のA3ワイドで揃える必要があった。またプロフェッショナルな仕事をする上で、いい道具を使えるのは気分的にもいいですよ。
―ペンタブレットを使う理由は?
加藤 作業の精度がとっても優れています。マウスに比べてストロークが正確。
内藤 それに使い良さ。ペンの形は子供の頃から使い慣れているので、マウスよりも断然使いやすいです。
矢部 僕は筆圧で強弱がつけられることと、直感的に操作できること。マウスやトラックボールなど、他のデバイスではできない表現がペンにはたくさんあります。
― A3ワイドならではの操作感とは?
河部 カーソルがゆっくり動く、という印象です。その分、ストロークが大きくとれているわけで、細かい作業に、とても向いていると思います。
内藤 A3ワイドは作業スペースが広いので、少しの動作で敏感に反応するA4よりも繊細に作業ができます。細かいシミひとつを消す肌修整のような作業だと、作業スペースが小さい場合は少し動かしただけでも過剰に動いてしまう。A3ワイドのほうがより自然な動きで作業ができて、仕上がりの満足度が違います。
王子ネピア 鼻セレブ(ポスターB0判)
企画制作=電通 CD=菊池晶 AD=山本成信・榊 良祐 CPr=小澤卓男 P=HIDEO OIDA ST=INU BERNHARDT C=佐藤仁・桃林豊 画像処理=こびとのくつ
工藤 直線をハンドで引く時は、手首や肘ではなく肩から動かすのですが、広いとその作業がとてもラクにできます。それと、初代Intuosはタブレットの上をペンが滑るような感じでしたが、今のは吸い付く感じのペンタッチで、私はとても使いやすいです。
河部 A3ワイドのシートは透明なので、下絵をトレースする時などには便利ですね。
―具体的に、ペンタブレットはどんな作業に向いていますか?
内藤 グラデーションのあるマスクを作ったり、髪の毛を描くなど、とにかく強弱をつけたり、微妙な作業をする時です。
工藤 ブラシの筆先の形を変えたり、筆圧をカスタマイズして使っています。そうすることで、より自然な描線が表現できるからです。
―マウスはまったく使わないのですか?
内藤 ペンタブレットを使い始めた頃はフワフワしてどこにいるか分からないような感じですけど、自転車と同じで慣れたらもう大丈夫。もう戻れないです。ただ、場合によってはマウスもショートカットも使いますよ。
―最後に、要望があればひとつだけお聞かせ下さい。
工藤 サブモニターを使っているので、サブモニターの分、今のワイドよりもさらにワイドなタブレットが発売されると嬉しいです。
大塚製薬 カロリーメイト(ポスターB0判3連・ほか)
企画制作=電通+TUGBOAT+コモンデザイン室 CD=角田誠 AD=宮坂佳克・相川一明 C=麻生哲朗・中村直史 D=青山京子・小楠泰大 P= KEI OGATA 画像処理=こびとのくつ
工藤美樹(こびとのくつ) Miki Kudo
7歳より油画・水彩・陶芸・書道を学ぶ。株式会社アマナを経て、こびとのくつ株式会社を設立。精密さと早さを重視した職人集団、こびとのくつの現代表取締役。
http://www.kobito.co.jp/
主な仕事:花王『AUBE』『GRACE SOFINA』、NTT DoCoMo『Anser』、サントリー『DAKARA』『角』、東京ディズニーランド『20周年記念』、TOYOTA『LEXUS』『COROLLA ALTIS』など。