Canon RF LENS Impression 10

RF35mm F1.4 L VCM × 佐々木 俊

キヤノン EOS Rシステムの中核として開発された「RFレンズシリーズ」。
大口径マウント、ショートバックフォーカス、12点の電子接点などが特徴で、
そのポテンシャルを活かす、ラインナップが続々と発売されている。
そんな「RFレンズシリーズ」の中から、今回は7月上旬に発売された
大口径・広角単焦点Lレンズ「RF35mm F1.4 L VCM」を使用して
ファッションポートレイト撮影を行なった佐々木 俊氏にその魅力を語ってもらった。

1/60秒 f8 ISO100
1/60秒 f5.6 ISO100
1/60秒 f1.4 ISO125

ST:YOSHI MIYAMASU(SIGNO) Hair:TETSU(SIGNO) Make-up: AKIKO SAKAMOTO(SIGNO)
Model:MONA KAWASAKI(TOMORROW TOKYO)
Flower:Maiko Nishizawa Dog:Massimo 衣装協力:HEōS・ZIN KATO・NOBORU SHIONOYA

INTERVIEW 佐々木 俊

F1.4でもクリアでシャープな
画質をキープしてくれるレンズ

─現実と非現実を行き来するような世界観でのファッションポートレイトを撮り下ろしていただきました。

佐々木 今回狙ったのは、RF35mm F1.4 L VCMのボケを使ってリアルとアンリアル、2つの世界を1枚の中で表現することです。1カット目は、被写体にピントをバッチリ合わせて撮影したカットと、フォーカス固定のままスタジオ奥に再度、被写体を立たせて撮影した2枚を組み合わせています。2カット目と3カット目は、ボケの中でのアンリアルな世界が拡張し朽ちた後、新たに再生していく…そんなイメージで世界を作りました。
バストアップと全身カットを組み合わせて、広角レンズらしい奥行き感や立体感、ボケによって手前と奥で見え方の違いやレンズの解像感も表現できたと思います。
奥行きのスペースが限られているスタジオ撮影だったので、風景写真や屋外スナップほどにはボケ感は出せていませんが、僕が頭の中で描いていたイメージを充分に実現してくれました。

─使用した印象を教えてください。

佐々木 撮影中に感じたのは解像力の高さです。僕が想像していたよりずっときれいでシャープでしたね。今回撮影した3つのカットはそれぞれF8、F5.6、F1.4とF値を変えていますが、F1.4の開放でも解像力が落ちていないんですよ。テザリング撮影中シャッターを押す度、モニタには驚くほどクリアに髪の毛一本一本まで映し出してくれたのがとても印象的でした。3カット目のF1.4でのポートレイトカットは被写体をクリアに浮き立たせてくれました。
普段はビューティなどスキントーン描写の際にキヤノンを使っています。キヤノンを選ぶのは、画質やテザリング撮影でのPC転送の速さや安定性など、いろんな理由もありますが、スキントーンの描写が自然で美しいんですよね。このRF35mm F1.4 L VCMでも、期待以上の画質で応えてくれました。

─2カット目と3カット目は手持ちで撮影されていました。

佐々木 EFレンズに比べるとかなり軽いですね。もっと大きくずっしりとしたレンズを想像していましたが、手持ち撮影でも負担がありません。F1.4でこれほど軽くコンパクトで、開放時も解像感を維持できている。フォーカシングも速く静かなので、様々なシーンで対応できる使い勝手が良さそうなレンズですよね。今回はスチールのみのトライでしたが、動画撮影でもこの画質やボケ感を活かせるのは心強い存在だと思います。

ボディはEOS R5を使用した。紗幕で囲い、ストロボとLEDのミックス光で撮影。佐々木さんの愛犬Massimoとのコラボカットでは、カメラ目線になった瞬間を逃さずシャッターを切った。

佐々木 俊(ささき・しゅん)
岩手県生まれ。Southern Illinois University, Cinema and Photography卒業。10年にわたるNYでの活動後、拠点を東京に移し、Beauty・Fashionを中心に雑誌・広告等で活躍中。近年は映像分野にも注力し、監督としても活動。国内外で活躍の場を広げている。

Pick Up Lens

RF35mm F1.4 L VCM
対応マウント:RFマウント
焦点距離:35mm
明るさ:f1.4
レンズ構成:11群14枚
最大撮影倍率:0.18倍
寸法:約76.5×99.3mm
質量:約555g
詳細:https://personal.canon.jp/product/camera/rf/rf35-f14lv

コマーシャル・フォト 2024年10月号

■特集「令和の時代に、フィルムで写真を撮るということ。」
写真家・石田真澄がフィルムを使い、ハウススタジオやフェリー、海辺で自然体の齋藤飛鳥を11Pにわたって撮り下ろした。また、これまで石田が積み重ねてきた仕事の数々から一部を抜粋して紹介する。

また、中森 真、大野隼男、木村和平、竹中祥平、三部正博という5人のフォトグラファーがフィルムを使って撮影した仕事例、作品を紹介。フィルム撮影に関する考え、使用機材やよく利用する現像所などを伺った。

■連載「撮影を楽しむスペシャリストたち」
写真業界には数多くの撮影ジャンルがあり、それぞれの分野で活躍するスペシャリストたちがいる。この連載では、フォトグラファー中野敬久氏が毎回気になるスペシャリストにインタビューを行ない、その分野ならでは魅力や、撮影への向き合い方を聞くことで、“撮影を楽しむ”ためのヒントを探っていく。今回のゲストは新津保建秀氏。

■連載「GLAY CREATIVE COLLECTION 2024- VOL.03」
GLAY 30年間のクリエイティブを網羅した書籍「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」が好評につき連載化!今回紹介するのは9月18日発売の「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 in BELLUNA DOME Blu-ray & DVD」のアートワーク。アートディレクターの吉野晋弥氏、フォトグラファーの岡田祐介・田辺佳子氏に取材した。