Canon RF LENS Impression04

RF50mm F1.2 L USM × 土井文雄

キヤノン EOS Rシステムの中核として開発された「RFレンズシリーズ」。大口径マウント、ショートバックフォーカス、12点の電子接点などが特徴で、そのポテンシャルを活かす、ラインナップが続々と発売されている。そんな「RFレンズシリーズ」の中から、今回は「RF50mm F1.2 L USM」を使用して、ポートレイト撮影を行なった土井文雄氏に、その魅力を語ってもらった。

1/50秒 f1.2 ISO100
1/50秒 f1.2 ISO100
1/50秒 f1.2 ISO100

HM:奥平正芳 ST:吉岡ちさと Pr:永井美奈子 Model:Maya(Instagram:maya_o526)

INTERVIEW 土井文雄

奥行き感をもたらす描写力

──ハウススタジオでのポートレイト撮影でしたが、テーマは何でしょうか。

土井 「RF50mm F1.2 L USM」が持つ、開放F値1.2という明るさを活かして、普段の撮影で一番大切にしている「光」をテーマに撮影しました。ボケ味の表現についても検証しています。

──1番目のカットは、かなり近づいて撮影していましたね。

土井 今回キャスティングしたモデルは、佇まいの静けさと繊細さが魅力だったので、その表情にグッとよることで、迫力を持たせてみました。最短撮影距離の40cmギリギリまで寄ることで、浅い被写界深度によるやわらかいボケ味を、前ボケでたっぷりと入れています。

──ズームレンズは普段どんな撮影で使われますか?

松木 ロケ撮影で使うことが多いです。特に70-200mmは、ロケ撮影に必ず持って行く長さですね。僕が今回「RF70-200mm F2.8 L IS USM」を手にして、まず驚いたのは軽さとサイズ感でした。「EF70-200mm F2.8L IS III USM」よりもレンズ自体の長さがかなり短く軽いので、取り回しがとても良かったです。ロケでは撮影内容によっては、僕自身も動きながら撮ることが多いので、レンズの長さや軽さはとても重要です。
50mmの単焦点レンズは、僕の常用レンズのひとつでもありますが、ここまで寄れるものは持っていないので、同じような画角を狙うときは、85mmや100mmのレンズを選択することが多いです。そうなると前ボケが溶けていって、迫力が失われてしまうのです。その点、この画角とボケ味を両立できる「RF50mm F1.2 L USM」は、とても魅力的なレンズだと感じました。

──レンズを構えてみたときの印象はどうでしたか?

土井 口径が大きく感じますが、人物撮影においては、良い面でもあります。被写体からしたら、口径はフォトグラファーの目であり、その大きさは適度な緊張感や圧迫感をもたらせてくれます。

──今回のライティングは、自然光とLED、さらにタングステンの光といったミックス光での撮影ですね。

土井 少し前までは、コントロールされた美しい光の中で撮られた写真が心地良いと評価されていましたが、最近は雑味を残しているようなラフな光が好まれていると感じています。なので、今回は複雑なミックス光で撮影してみました。

結果的に、光が混ざった部分の発色はとてもバランスが良く、開放で撮りましたがディテールもシャープな印象です。3番目のカットでは、鏡を使用して逆光も入れてみましたが、ハレーション部のグラデーションも美しいです。

──描写力に対する期待にも応えてくれましたね。

土井 明部から暗部にかけての階調だけでなく、ピントを合わせたシャープな部分からボケやハイライトといった部分までの間をしっかりと描写してくれることで、写真に奥行き感を持たせてくれています。まさに“写真的”な描写をしてくれるレンズでした。

ハウススタジオでの撮影。天窓からの自然光、LED、タングステン(手前のスポットライト)を使用したミックス光でライティングしている。
3番目のカットは、手鏡でタングステンの光をカメラ側に反射させている。