2017年03月15日
Interview スミス(映像演出家)
2000年に演出家デビューし、MVを中心に活躍。機材、ロケ地、照明、ダンスなど様々な実験的な手法を駆使して、見る者を惹きつける映像を作ってきたスミス監督。カメラに関してもハイスペックなものも含めて様々な機材を使ってきたが、一眼カメラの機動性の良さに着目してメイン機、またはサブ機として様々な作品作りに取り入れてきた。そんなスミス監督はソニーαシリーズと出会ったことで、今までにない撮影のアイデアを思いついたようだ。
YAVAY
hy4_4yh「ONE NIGHT CARNIVAL ~ティッケー・ティーンズロード」
Dir=スミス P=ちょんまげ PM=石井克明
高感度の強さとディテール表現力の両立が、演出の幅を広げた
──スミス監督の考えるソニーαの面白さはどんなところでしょうか。
スミス 既にいろんな監督が話していると思いますが、カラーグレーディングを含めた色の表現とハイスピード(HS)ですね。機動性もあって、狭いところに入って行って撮れるというのもいいですね。
今はα7S IIをMoVI(3軸カメラジンバル)に付けて使うことが多いんですけど、αはAFの性能がいいので臨場感のあるいい画が撮れます。グループのアーティストのMVを作ることが多いので、メインだけではなくて撮影現場でBカメ、Cカメが欲しいということがあるのですが、そういう場面ではαを選ぶことが多いです。
──NeggiccoのMV「愛、かましたいの」はα7S IIとMoVIで撮っているのですね。
スミス そうですね。アイドルのMVは大げさにしちゃうと撮れないものがあるというか、特にドキュメンタリーテイストにしたいという時は、アーティストと仲良くなって、会話しながらの方がいい表情が撮れます。「今だ」と思った時に回せるし、演出しやすいですね。「こうしてこうしてじゃあ本番行きます」というよりは活き活きしたものになるし、スナップのように撮れます。この作品はシーンが多かったので前日スタンドインでカメラテストを行ないました。ほかのカメラと比較してもαは明るいし、暗いところの撮影に最適ですね。「夕日が綺麗だな」という時とか、月とか空にしても「いいな」と思ったらムービーで撮っておいて、何かのシーンで使えるようにアーカイブしています。
T-Palette Records neggicco「愛、かましたいの」
MoVIを使った動きのあるショット、暗い映画館の中でのライブ、中華料理店での決闘など様々なシチュエーションを撮影した。
──hy4_4yhのMV「ONE NIGHT CARNIVAL ~ティッケー・ティーンズロード」は衣装も黒いし、背景も暗いので色の表現が難しそうですね。
スミス 夜景の撮影などビルの明かりはコントロールできないので、背景に絞りを合わせて人物の明るさを決める必要があります。そういう時に高感度に強いαと明るいレンズがあることが役に立っています。
ロケ現場の明かりも作れなくはないんですけど、ちゃんとやろうと思ったらとんでもなく製作費がかかってしまうので諦めていた。そこで仕方なく、現場にある蛍光灯で撮っていました。また人物だけ光を当てても背景は暗く落ちてしまいます。でもαの場合はカメラ自体が高感度に強くて明るく撮れるので照明を組まなくても撮れます。しかもただ高感度に強いというのではなく、ディテールまでしっかり表現できている。αが出てきたことで夜の町で気軽に撮影できるという選択肢が生まれました。これだけで演出の幅も広がりますしね。
──スミス監督がαを使うのは色の表現だけではなく、機動性とか手軽さという要素も大きいのですね。
スミス この手軽さは8ミリフィルムで撮っていた頃の感覚に近いのかもしれませんね。αで撮れば誰でもある程度はいい感じの映像が撮れてしまう。それだけに何をどう撮るのか。作り手のアイデアが求められるのではないかと思います。
最高ISO409600を誇る高感度性能、4K出力を実現したフルサイズ一眼。
※インタビューの続きはソニー スペシャルサイト「α Universe」で公開中。
協力:ソニーマーケティング(株)
ソニーα Universe http://www.sony.jp/ichigan/a-universe/
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