2017年01月27日
約14コマ/秒の高速連続撮影機能を搭載したキヤノン EOS-1D X Mark II。このカメラでバレエ独特のしなやかな動きを撮影した皆川聡氏に使用感を聞いた。
約14コマ/秒の高速連続撮影機能でさらなるリアルを追求できるカメラ
HM=佐藤富太(太田事務所) ST=Toshio Takeda(MILD) Pr=今村亮(asobot) M=織田梨沙(FLYING BOX)・柄本弾(東京バレエ団) 撮影協力=イメージスタジオ109
──EOS-1D X Mark IIを使ってみて印象はいかがでしたか?
皆川 約14コマ/秒の高速連写で決定的瞬間を撮れるチャンスがすごく増えましたよね。普段からスポーツを撮影することが多いんですが、アスリートの動きを撮るには最適なカメラだと思いました。
──今回の撮影テーマにはバレエを選ばれましたね。
皆川 男女2人の動きが絡むようなパフォーマンスものでいこうと決めてました。
単に綺麗なシルエットを撮るんじゃなく、エモーショナルな男女の関係性を出したかったんです。このテーマでは2人の表情がポイントになっているんですが、EOS-1D X Mark IIのオートフォーカス機能で2人の繊細な表情を逃さず撮れたと思います。
──オートフォーカス機能はいかがでしたか?
皆川 他のカメラと比べられないくらい良いですね。フォーカスが迷わないし、とにかく速い。別の撮影でテストしたら、AIサーボAFⅢ+のおかげでこちらに、高速で接近してくる被写体もきちんと追ってくれました。
──約14コマ/秒の高速連続撮影機能が特に話題になっています。
皆川 ついに、ここまで来たかと驚きました。別格だと思います。特に報道スポーツを撮る人にとっては、無敵なカメラじゃないかな。
それと同時に、撮られる側の負担を軽くしてくれるカメラとも言えるかな。動きを撮る時、普通は閃光速度の速いストロボを使ってワンアクションワンショットじゃないですか。僕にとってはその緊張感が面白いんだけど、撮られる方にしたらストロボよりも定常光の方が断然動きやすいんですよね。
この撮影で言えば、バレエダンサーに何度もジャンプさせられないわけですよ。それは当然、他のアスリートにも同じことが言える。他のカメラでは撮影用にゆっくり動いてもらったり数回トライが必要でしたが、EOS-1D X Mark IIはアスリートの本気の動きを短時間で狙いやすくなります。
ライティングは5キロのタングステン4灯を使用。ISO3200、シャッタースピード1/2700、f4.5で撮影した。
転送がスムーズで広告撮影にも使える
──画質はいかがでしたか?
皆川 今回の撮影のように高感度が必要な撮影で、どのくらいノイズが出るのか気になっていましたが、ISO3200であれだけ綺麗に出ていたら、広告の仕事で使っても全く問題ないと思います。現像はDigital Photo Professional4を使っています。純正だけあってPhotoshopより色も綺麗に出ましたね。
──広告の現場でも使ってみたいですか?
皆川 高感度でしかも連写も撮れるカメラなら仕事でも心強いと思います。
データサイズはデジタルバックに比べると小さいですが、今って広告媒体がポスターからWebに変化していて、それほど大きなサイズが必要なくなってきてるから、気にならないんじゃないかな。
それより、広告の仕事で使えるかどうかの基準になるのは、パソコンへスムーズに転送できるかどうか。プロならみんな実感していると思いますが、広告の仕事で転送がうまくいかなければ、どんなに良いカメラでも話にならなくなっている。今回はこれほど連写しても、転送が詰まることなくスムーズだったので素晴らしいと思いました。
──これからEOS-1D X Mark IIで撮っていきたいテーマはありますか?
皆川 やっぱり“動き”ですよね。この撮影をきっかけにダンサーを撮り続けたいと思っています。
EOS-1D X Mark IIはリアルを追求できるカメラだと思います。高速連続機能とオートフォーカス機能で、アスリートの本気の動きや決定的瞬間の表情や筋肉の動きまで逃さない。作り物じゃないダイナミックな動きを表現してくれる。このカメラなら、これまでとは全く違ったアプローチで写真を撮れると思います。
東京都生まれ。1990年に渡米し、The Art Institute of Colorado写真学科を卒業。1999年に帰国し独立。2005年から渡英し、広告を中心にヨーロッパで活動後、2012年に帰国。現在は東京を拠点にヨーロッパ、中国など国内外で活動中。
※この記事はコマーシャル・フォト2016年7月号から転載しています。