2017年02月03日
約14コマ/秒の高速連続撮影機能と高感度画質を両立させたキヤノン EOS-1D X Mark II。都市を背景にトランポリンを駆使したパフォーマンスを撮りおろした富取正明氏に使用感を聞いた。
曇天の悪条件化でも高い再現性を発揮
P=富取正明(OUTNUMBER inc.) ST=山本隆司 HM=内田香織 L=村上節郎(10BANスタジオ) CRD=押尾隼人(7SENSES) 画像処理=江口唱一郎(JAGUCHI) M=木幡美登里 撮影協力=10BANスタジオ・THE SOHO・エアーライド
──今回の撮影テーマを教えてください。
富取 東京の空を自由に飛びまわる鳥が都会の街を見下ろしているイメージで撮っています。タイトルは「東京乱舞」。近未来的な建物を背景にビルの屋上に設置したトランポリンでパフォーマーに跳んでもらい、誰も見たことない画を狙いました。
──EOS-1D X Mark IIでの撮影はいかがでしたか?
富取 一番驚いたのは、再現性の高さです。ビル群のグレートーンが非常に綺麗に出ていました。カメラを選ぶ時に色調やどういうボケが出せるのかを重視するので、そういった面でも満足がいくカメラです。液晶モニターのドットが増えて、実際のデータに近い画が見られるようになり、PCモニターの接続が必須の広告撮影でも使いやすくなったと思います。
──背景のボケが綺麗に出ていますね。
富取 今回はプロフォトB1を使ってハイスピードシンクロで撮影しています。ボケにこだわりたいので、屋外撮影でもポートレイト撮影でシンクロさせることが多いんですが、EOS-1D X Mark IIでも問題なく撮影できました。
──撮影設定を教えて下さい。
富取 シャッタースピード1/500、ISO640です。普段の撮影ではISO400以上は上げないんですよ。経験上、それ以上の感度になるとシャドーの描写が甘くなって立体感がなくなってしまう。このカメラは薄曇りで光量が少ない条件でもざらつきもなく、立体感も損なわず、トーンが綺麗に出ていて驚いています。
背景ビルのそれぞれのトーンの違いがはっきりと表現できている。
トランポリンからジャンプする様子を下から狙った一枚。
許容範囲が広く、どんな条件でも安心できるカメラ
──仕事で一眼レフを使いますか?
富取 以前は中判カメラをメインにしていましたが、EOS 5Dsを使う機会が一気に増えました。35mmはレンズのラインナップが豊富なので、どこにフォーカスを合わせてどこからぼかすかのコントロールがしやすいのが魅力です。色の深さでは中判カメラも魅力的ですが、機材量や重さを考えると仕事でも便利なんです。
昔は、広告の仕事と言えば中判以上のカメラでしたが、解像度の面でいえば5Dsで解像度が格段に上がり、大判出力にも充分耐えられますからね。表現力の面でもフォーカスが浅く階調が綺麗に出ていて、4×5や8×10に近い表現が可能になったのは大きいです。EOS-1D X Mark IIもEOS 5DsにしてもこれからEOSシリーズの登場シーンが増えていくと思います。
──具体的にどんな場面でEOS-1D X Mark IIを使っていきたいですか?
富取 今回撮影したテーマを継続して、作品としてシリーズ化していきたいです。
仕事では、特にロケ撮影で活躍しそうです。今まで外で動きがある撮影には中判カメラを使っていましたが、これからはEOS-1D X Mark IIの出番が増えるんじゃないかな。ロケ撮影は天候によって色んな要素の調整が必要になります。
僕の場合、屋外撮影でもストロボを入れるので、その分さらに調整が必要になってくる。中判カメラだとその要素を考慮して計算しないと狙ったブレやボケが出にくいですが、EOS-1D X Mark IIは感度を上げられるし許容範囲が広いので、プロフォトグラファー向けのカメラだと思います。少ない光での高感度撮影にも耐えられるし、ライブ撮影なんかでもこの機能は活きてくるんじゃないかな。
EOS-1D X Mark IIは“スポーツを撮るカメラ”というイメージを持っていましたが、この撮影で作り込む画を撮る時にも使えることを実感できました。
1976年3月東京生まれ横浜育ち。電通スタジオを経て2003年独立。2012年PHOTOGRAPHERカンパニー OUTNUMBER inc. 設立。広告、雑誌、CDジャケット等、ポートレイト撮影を中心に活動。2016年香港を皮切りにアジア各国で写真展「女優顔」を開催。2017年の東京開催を目指す。
tomitorimasaaki.com
※この記事はコマーシャル・フォト2016年9月号から転載しています。