2017年01月20日
約14コマ/秒の高速連続撮影機能を搭載したキヤノン EOS-1D X Mark II。このカメラを使ってパルクールパフォーマーZEN氏の縦横無尽な動きを撮りおろしたMUNETAKA TOKUYAMA氏に使用感を聞いた。
14コマの世界にはこれまで撮ったことがない新鮮な表現があった
HM=三栗葉子 衣装協力=COTEMER 撮影協力=10BANスタジオ
──撮影テーマを教えて下さい。
TOKUYAMA EOS-1D X Mark IIで撮影と聞いて、ZENさんを撮影しようと決めました。パルクールの動きは他のスポーツ競技に比べて、次の動きが予測しにくくスピードも早い。EOS-1D X Mark IIの高速連続撮影機能でZENさんの動きを追ったら面白いんじゃないかと思いました。
──連続撮影機能はいかがでしたか?
TOKUYAMA 普段使わない機能なので面白かったです。シャッターを押した瞬間から、いつも広告の仕事で使っているカメラとは別物だと思いました。普段動きを撮る時は、閃光速度の高いストロボを使ってチャンスの一瞬に合わせてシャッターを切りますよね。動きの中から一瞬を切り取るのが広告フォトグラファーの仕事だし、どう撮るかが各々の持ち味になる。基本的に僕は“連写では撮らないし、撮れない”というスタンスでしたが、14コマの世界を体験したら新しい発見があった。今まで見ようとしていなかった動きをカメラが捉えていたんです。PCモニタのサムネイルを確認すると、1秒の間に全く違う動きをしている。撮ってみて初めて“1秒は意外と長い”と感じました。今まではなかった感覚ですね。普段は撮らないシャッターチャンス前後の動きや、自分の意識外の瞬間が撮れていた。
──撮影の設定を教えてください。
TOKUYAMA 1/500秒・ISO1600で、絞り値はF8です。ライティングは6キロのHMI1灯です。始めはISO400で撮りはじめて、もっといけそうだなと感度を上げていきましたが、ISO1600でもノイズは全く気になりませんでした。
──どんな撮影に向いていると思いますか?
TOKUYAMA 報道系のスポーツ写真はもちろんですが、最近は広告でもスポーツ選手が登場するケースが増えているので、広告フォトグラファーも活用できると思います。スポーツ選手に撮影現場で競技の動きを何回もトライさせたり無理はさせられない。撮影で怪我でもしたら競技に影響が出ますから。
でもこのカメラなら、同じ動きを何回も繰り返さなくても、狙った動きを写真に収められます。ほかには撮りたい絵に合わせて動いてくれない動物や子どもの撮影にも重宝するはず。撮影状況によって機能でカメラを選ぶのも「あり」ですね。
演出感やよけいな情報を入れず、シンプルに被写体の動きを表現するため敢えて色を排除した。
追従性が高いオートフォーカス機能
──前機種のEOS-1D X からさらにオートフォーカスの追従性能が上がっています。
TOKUYAMA 良かったです。撮影中、フォーカスを気にすることがなかった。自分でフォーカスを合わせるのは限界があるので、こういう機能には助けられます。
特にムービーのオートフォーカスの追従機能は驚きました。今回フルHD動画120Pハイスピード撮影を試してみたのですが、手持ちでも被写体を追ってくれるので、カメラ任せで撮影できました。ムービーに慣れていないフォトグラファーもこれなら気負わず撮れるんじゃないかな。
機動性の面では、ボディサイズの割に重さを感じず持ちやすかったです。僕は手が小さいほうなのでEOS-1D X Mark IIのグリップが日本人の手に合わせて改良されたのはありがたい。それからボディが大きいので、長いレンズをつけてもカメラの重心が安定していました。瞬間を捉える撮影では大事なプラス要素です。
EOS-1D X Mark IIはガチッと構えて撮るより、もっとカジュアルに使えるカメラだと思います。プロ仕様なのにカジュアルって矛盾するようですが、自分の撮影設定を活かしつつ、経験したことがない撮り方で表現を広げられるカメラです。
1999年よりN.Yに移住。米、仏、独、日、中のエージェントと契約し、ナイキ、リーボックキャンペーンなどを手掛ける。2013年より、日本に拠点を移し、活動。
www.munetakatokuyama.com
パルクールパフォーマーの名で様々なメディアやステージを通じて、シーンの魅力や本質を伝える活動をワールドワイドで続ける、日本人初のプロトレーサー。4月にラスベガスで開催された世界大会では第3位を獲得。ドラマHiGH&LOWの出演でも注目を集めた。
※この記事はコマーシャル・フォト2016年6月号から転載しています。