Nikon デジタル一眼レフ プロの現場

笹口悦民が撮るニコンD850

9月上旬、発売されたニコン D850。前機種D810から画素数、高感度性能、連写などあらゆる面で、進化し話題を集めている。今回はフォトグラファー笹口悦民氏にこのニコン D850の使用感を語ってもらった。

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ニコン D850
解像度4575万画素と最高ISO25600の高感度性能を併せ持つ。裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、ノイズを抑制。高速連写機能では7コマ/秒での撮影が可能だ。


INTERVIEW

高感度性能と優れたノイズ耐性

──撮影前にまず解像度テストから行なったそうですが、ニコンD850の4575万画素はいかがでしたか?

笹口 35mmデジタル、中判デジタル、ニコンD850を同じ被写体、条件で比較してみたところ、広告でも充分に使えるサイズだとわかりました。描写もクリアだし細かな表現も表現できていて解像度、解像感的にも広告写真を撮る上でプロフォトグラファーの実用機として全く問題ないですね。

img_products_nikond850_01_01a.jpg レンズ:AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G 1/100秒 f5 ISO6400
ST:Sohei Yoshida(signo)
Hair:Takayuki Shibata(signo)
Make:Mariko Tagayashi(signo)
M:Yue Ning(unknownmodel)
衣装協力:AEVES+Gianvito Rossi Japan

──今回はファッション・ポートレイトを撮っていただきました。

笹口 「赤色の世界」のモーテルで女性が一人…というイメージで撮影しています。ムードがある写真にしたかったので、モデリングライトのみであえて薄暗い、厳しい条件下で撮影しました。

私達プロにとって、高感度性能と高解像度を持つカメラはとても魅力的なんです。メインの撮影では、主に高感度時に高画質を試したかった。

私の撮影手法として、今回撮った写真のようにムードのあるカットを狙う時は、あえて厳しい条件で撮ることも多いんです。ニコンD850は、そんな時に重宝するカメラだと思いました。

──どんな設定で撮られましたか?

笹口 メインカット(上の写真)は、モデリングライト1灯でISO6400、1/100秒で撮影しています。同じ条件の撮影で、今までのカメラなら感度を上げたとしても800~1000くらいまで。

でも、ニコンD850はもっと感度を上げても全く問題なかったです。ノイズを出さずに綺麗に撮るなら、ISO1600くらいまでなのだと思いますが、今回テストをした時の感覚ではISO6400でもそれほど問題はなかったです。もちろん、多少ノイズは出ますが、デジタル特有のノイズというよりはアナログ写真的なノイズに近いので僕としてはアリですね。むしろ、好きなノイズです。

35mmの機動性を活かして、薄暗い洋館でファッションを撮るのもいいですね。そういった撮影では、絵作りの上で窓から差し込んでくる光やランプなど、撮影場所が持っているムードライトがとても大事なんです。

ここまで感度が上げられるなら、最低限補助的なライトさえあれば、ムードを活かしたまま撮れる。こんなに感度を上げているのに、これしかノイズが出ないのが不思議なくらいです。

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レンズ:AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G 1/100秒 f4.5 ISO6400

──ニコンD850ではニコンのデジタル一眼で初めて、裏面照射型CMOSセンサーを搭載しています。

笹口 そのおかげなんでしょうね、これほど高感度で撮れるのは、革命的だと思います。照明に対する考え方が変わりますね。以前は光をイチから作っていましたが、「いかに、今ある光を活かすか」という考え方もできる。

厳密に言えば、感度を上げれば、当然ノイズやディテール描写など犠牲になる部分もありますが、それを補って余りあるメリットを持つカメラだと思います。

──シズルの写真では、連写機能で撮っていただきました。

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レンズ:AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G 1/5000秒 f8 ISO16000

笹口 ここで撮りたかったのは「動き」です。デイライトのみで、光量が少ない状態で撮影しました。感度は16000くらいまで上げてシャッタースピードは1/5000秒。連続撮影機能で、ピタッと止まりました。連写ができると、よりチャンスが増えるし、シズルの動きを追えるのがいい。

機動性、高感度性能、連写機能、高解像度など併せ持っているのも魅力的です。仕事で重宝するカメラだと思います。

笹口悦民(ささぐち・よしひと)
SIGNO所属。1970年北海道生まれ。写真家安部英知氏に師事後95年独立。「双蝶のうたたね」展を開催。
www.sasaguchi.com/


※この記事はコマーシャル・フォト2017年11月号から転載しています。


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