印刷の品質を支えるプリプレスの現場から

第7回 モニターの色がすべてを物語る

解説:小島勉

この連載も7回目を迎え終盤にさしかかってきました。これまでお話したとおり、ColorEdgeのような信頼に足るモニターをきちんと運用すれば、モニターを中心にした非常にスマートなワークフローが実現できるようになってきています。

さて、印刷物を制作するには色校正というプロセスを通らなければなりません(一部、速報性を重視するために特に週刊誌などの雑誌系では、原稿校了または原稿責了といった、はじめから校正のやりとりを行わないものもあります)。現在の校正方法は、平台校正機からDDCP、インクジェット、レーザープリンターなどへ徐々にシフトされていることはご存じの通りです。

紙に刷られたもので確認する色校正は、実際の仕上がりをリアルに見る上でとても重要なものですが、従来の平台校正機を使ったものは校正機の不安定さゆえの問題があり、実質的な修正内容以上に何度も校正を繰り返してしまうことがありました。初校で良好な色(部分的)が再校時に変化してしまうことは日常茶飯事ですので、必然的にプリンティングディレクター(現場監督)の関与が欠かせませんでした。このように動いてはいけない部分が動いてしまうなど、様々な印刷条件における苦労は印刷の難しさであり、逆に職人技が光る部分でもありました。

しかしそのような時代は過ぎ、デジタルワークフローで制作される今日では、印刷会社の使命として、クライアントに対してコストメリット、時間的メリットを提供し続けていかなければなりません。このようなソリューションを印刷会社では数多く持っています。モニタープルーフで完結できるもの、実際の印刷物(平台、本機校正)で確認を取るもの、DDCPや他のプルーファーでOKなものなど、クライアントのニーズに合わせたものを提供しています。その上で大前提となるのは「繰り返し精度の高さ」です。

ColorEdgeを共通の物差しとして、きちんとした基準に則って環境を構築していけば、印刷のシミュレーションをいつでも高精度に表示できます。デジタルワークフローにおいて画像データを正確に表示してくれるモニターの存在は、何はなくとも欠かすことができません。逆に言えば、制作から印刷までの工程がColorEdgeを媒介にしてつながることで、今までブラックボックス的であった製版・印刷の部分が明らかになったわけですから、画像調整の技術(=オペレータの能力)が問われることになったのも事実ですね。

現在のように、DDCPで繰り返し精度の高い校正物がいつでも作れる環境は、アナログからデジタルへの変革期を経験してきた自分にとっても夢のようです。先人たちの苦労と弛まない努力により、私たちはこれらの技術を享受しているのです。そして私たちもさらにこの技術に磨きをかけて次の世代にバトンタッチしていかなければならないと思います。次回は私が所属するトッパングループが取り組んでいる、ColorEdgeとDDCPを使った画像制作ソリューション「画像工房」をご紹介します。

写真:小島勉

小島勉 Tsutomu Kojima

株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ所属。インクジェットによるアートプリント制作(プリマグラフィ)のチーフディレクター。1987年、旧・株式会社トッパンプロセスGA部入社。サイテックス社の画像処理システムを使った商業印刷物をメインとしたレタッチに従事。1998年よりインクジェットによるアート製作(プリマグラフィ)を担当し現在に至る。イラスト、写真、CGなど、様々なジャンルのアート表現に携わっている。

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