Blackmagic Cinema Camera

Blackmagic Production Camera 4Kをフォトグラファー目線で使いこなす!①

リポート:茂手木秀行

「Blackmagic Production Camera 4K」は、RAWおよびProRes収録に対応したデジタルムービーカメラ。RAWデータの豊富な色深度に馴染んできたフォトグラファーの1人として、このカメラに注目してきた茂手木秀行氏が、その使用感や運用のための工夫など、2回にわたりリポートする。

写真画質がやって来た。秒30コマの連写が可能な4Kカメラ

img_special_bmpc01_01.jpg Blackmagic Design Blackmagic Production Camera 4K 税抜き価格363,800円

一眼動画が日常のものになってきた現在、フォトグラファーといえど動画を全く無視して過ごすわけにはいかなくなった。ことに動画のトレンドが4Kになり、その高精細な映像を見るにつけ興味は深まるばかりである。

しかし一部の業務用機はともかく、一般的なムービーのファイル形式は不可逆圧縮である。RAWデータの豊富な色深度に馴染み積極的な色作りをしてきたフォトグラファーには、ムービーファイルの色情報の少なさは不満を残すばかりであった。

ムービーの1フレームを抜き出してプリントを作りたいと思っても、MOVなどのファイル形式では色情報が少ないため、プリントや印刷に望む滑らかな階調表現を保ちながら、より心象を表現する色合いをつくることができないと考えてきたのだ。

このようなニーズを満たすには、RAWデータを記録できるリーズナブルな機器が欲しくなる。そこで筆者が最も注目したのが、今回取り上げるBlackmagic Production Camera 4K(以下Production 4K)だ。リリースがあってから実際に販売されるまで1年近くの時を要したが、その間にさらに期待は高まった。

img_special_bmpc01_02.jpg 4×5用のかぶり布をかぶってモニターをのぞく。この方法なら日中でもサブモニターを必要としない。

スーパー35センサーを搭載するProduction 4K は、スチルカメラで考えれば約860万画素相当のカメラである。2000万画素以上が当たり前になったDSLRからすると画素数は少ない。しかし、RAWデータの取扱いに馴れたフォトグラファーなら、画素数=画質ではないことを知っている。またローパスレス仕様ならではの解像感は画素数以上の先鋭感をもたらしてくれるだろう。だからこそこのカメラでどのような世界が広がるのか、それを知りたくていち早くこのカメラを手に入れたのだ。

筆者はProduction 4KをRAWデータで秒30コマの連写ができるデジタルスチルカメラと考えているのである。

運用のための工夫〜筆者の場合

img_special_bmpc01_03.jpg レンズマウントはキヤノンEFマウント。アダプターを別途用意してニコンレンズを使う。NDフィルターは必須だ。
img_special_bmpc01_04.jpg アルカスイスタイプのL 字プレートを装着し、縦位置と横位置が即座に変換できるようにしている。
img_special_bmpc01_05.jpg キヤノンEFレンズでは、オートフォーカス、自動露出ができるほか、IMAGE STABILIZERも使える。
img_special_bmpc01_06.jpg DCジャックと12V〜30Vという幅広い対応電圧で電源を選ばない。汎用のモバイル電源やシガーアダプターも使える。
img_special_bmpc01_07.jpg トップには3つの1/4雌ねじがある。ここでもアルカスイスタイプのプレートを取り付けてハンドル代わりとした。
img_special_bmpc01_08.jpg メディアは2.5インチSSDを使う。240GBで約15〜20分のRAWデータ記録が可能だ(30P記録時)。最低2枚はあった方がいい。
img_special_bmpc01_09.jpg PCにコピーするためのアダプターも必要。こちらはSeaGateのGoFlex。本来は専用ケースに入れて使うもの。

常にシンプルな運用をこころがける

チームで動くムービー制作者と違い、フォトグラファーのワークスタイルは概ね少人数で動く。自分1人、あるいはアシスタントと2人で行動するのがほとんどだろう。

少人数で運搬し運用できる機材の数はたかが知れている。それゆえ筆者は、ムービー撮影の場合でも、まずは1人で運用することを常に考えている。たとえば現場ではPCも使わない。機器が増えるということは電池と充電器が増えることを意味し、あっという間に機材がふくれあがってしまうからだ。

Production 4Kを少人数で運用するための工夫を上に掲げておいた。参考にしてもらえれば幸いである。

まずはメニュー設定、フォトグラファーには見慣れぬメニューも

img_special_bmpc01_10.jpg Cameraメニューでは撮影の基本設定を行なう。感度は200、400、800の3段階。「ASA」はISOと同義だ。「Shutter Angle」がシャッタースピードに相当する。
img_special_bmpc01_11.jpg 内蔵マイクはモノラルだが、外部2チャンネルのオーディオ入力が可能。接続は1/4インチ標準プラグなので、DSLR用マイクを使用する場合は変換アダプターを用意しよう。
img_special_bmpc01_12.jpg Recordingメニューでは記録品質を決める。RAWのほかにProResも選べる。「DynamicRanege」はFilm(広い)とVideo(狭い)だが、RAWの場合はFilmのみだ。
img_special_bmpc01_13.jpg Displayメニューで大事なのは「Zebra」の設定だ。Zebraはハイライト側のクリッピングポイント、つまり白トビ部分を表示するので、露出の目安とすることができる。

Production Camera 4Kの操作系はいたって簡単

img_special_bmpc01_14.jpg カメラのソフトウェアアップデートにより、2014年6月25日にはProduction Camera 4KでRAWデータ収録が可能になり、7月24日にはヒストグラム、ピークオーディオメーター、残り収録時間がスクリーンで確認できるようになった。
img_special_bmpc01_15.jpg セコニックの露出計L-478Dでは、シャッターアングルでの露光を表示できる。カラーチャートと共に必須のものだ。フレームレートが30fpsの時、シャッターアングルが360°なら1/30秒相当のシャッタースピード。180°に設定したら、開角度は半分なので、1/60秒相当。フレームレートによって変わることに注意だ。フォトグラファーには馴れない換算である。露出計に頼った方が楽だ。

Production 4Kの操作系は至ってシンプルだ。初めて手にしてもすぐに使いこなせるだろう。シャッターボタンはフロント側の赤いボタンと裏側左下のRECボタン。巻き戻しボタンは絞りを開ける、早送りボタンは絞る。IRISボタンは自動露出だが、RAW撮影の時は最大限白トビしない設定になるので、アンダーめの画像となることが多い。IRISボタンを一度押して一旦露出を決めてから、Zebraを確認しつつ手動で調整するとよい。上写真ではモデルの奥の明るいところがZebra表示されている。

Focusボタンは一度押すとオートフォーカス。中央に白枠が表示され、ピントが合うと固定される。録画中にも動作可能だが、DSLRよりも遅いフォーカスだ。Focusボタンを2回押すとピーキングが表示される。写真はモデルにピントが合っている状態だが、肌など滑らかな部分では検出できないので、目の部分などをよく確認する。画面をダブルタップすると表示が拡大される。以上で使い方を説明しきってしまった。それぐらいシンプルなのである。

画素数だけが画質ではない

img_special_bmpc01_16.jpg 真夏の日差しを浴びた積乱雲の雲頂と木陰のシャドウのディテールは、通常の8bitデータでは同時に表現することは難しい。RAWデータの豊富な階調を活かしてこそ表現できる被写体だ。

img_special_bmpc01_18.jpg

Photoshop Camera Rawのプレビュー画面

img_special_bmpc01_17.jpg 撮影はRAW形式で行ない、Zebraを90%に設定し、表示を見ながら雲が白トビしないよう露出を決定したので、データは1段ほどアンダーめになっている。左の図は、それをPhotoshop Camera Rawで現像した際の設定だ。露光量を+にするだけでなく、シャドウと黒レベルを大きく+にして、木陰のシャドウ部を出し、スチルフォトとして適正なトーンを作った。シャドウのディテールは十分であるがややノイズが目立つ。ムービーでは問題ないが、スチルでは気になるところだ。

画素数はプリントサイズを決める重要な指標である。しかし、スチルフォトとしての画質に寄与する要素のすべてではない。大切なのはノイズが少ないことと、階調が豊かであることだ。RAWデータを扱う多くのフォトグラファーがこのことを知っているだろう。

ノイズが少なければ、シャドウの深いディテールを表現できるし、豊かな階調数は魅力的な色作りを積極的に行なうことを可能にする。

色作り、つまりカラーコレクションを行なうことは即ち、データを破壊してしまうことであり、滑らかな階調の変化を阻害する。トーンジャンプを生んでしまうだけでなく、ディテール感にも影響する。物体のディテールは、隣り合うレベル値の変化によって生まれるので、階調が少ない場合やノイズリダクションを強めた場合にもディテールは失われる。特に空間周波数の高い部分で目立つため、先鋭感を失ってしまうのだ。

Production 4Kでは、RAW記録により、豊富な階調数を確保しているので、自由な色補正を行なえることが最大の強みである。一方、シャドウ部に残るノイズは補正するとディテール感を失ってしまう。ダイナミックレンジはf/stop12となっているが、スチル用途ではもう少し狭く見積もった方がよいだろう。


撮影協力:ワイドトレード/セコニック

※この記事はコマーシャル・フォト2014年9月号から転載しています。

写真:茂手木秀行

茂手木秀行 Hideyuki Motegi

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、マガジンハウス入社。24年間フォトグラファーとして雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」を経て、2010年フリーランスとなる。1990年頃よりデジタル加工を始め、1997年頃からは撮影もデジタル化し、編集・デザイン・印刷現場との折衝・調整業務を経験。ポストプロダクションから「撮影」を見るという視点も持つ。2004年/2008年雑誌写真記者会優秀賞。2007年よりモノクロフォトを軸に活動し、写真展&セミナーイベント「Hello,Monochrome!」をプロデュース。その他写真雑誌に多数執筆、セミナー講師も手がけるなど精力的に活動中。
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/photographer/20120807_551753.html

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