2008年03月10日
最近はレンタルスタジオでも、PCとカラーマネージメントモニターを置くところが増えてきました。もちろん、ColorEdgeを置いているところが多いようです。
PCはMacBook Proを持ち歩いていますが、スタジオにColorEdgeが置いてあれば迷わずレンタルしています。ColorEdgeはハードウェアキャリブレーション対応であり、誰が行なっても高精度にキャリブレーションできるのが特長です。当然そのスタジオでもキャリブレーションを行なっているでしょうから、そのままでも大よそ色が合っていると思います。しかし僕の場合は、いつでもどこでも厳密に色が合わせられるように常にi1を持ち歩いていますので、スタジオに着いたらまずモニターキャリブレーションをしてしまいます。ColorEdge専用キャリブレーションソフトウェアであるColorNavigatorなら、3〜4分でキャリブレーションが終わってしまうのですから、キャリブレーションをしないという手はありません。これでレンタルスタジオでも安心して色を確認できるようになりますね。
さらに最近は、これ以外にも便利なものを使うようになりました。それは、プロジェクターです。僕はエプソンのEMP1705という機種を使っていますが、無線LAN対応なので、電源ケーブル1本で運用できるところも気に入っています。で、プロジェクターの何が便利かと? 実はプロジェクターを巨大なモニター代わりに使っているのです。僕はいつもトレーシングペーパーをスクリーン代わりにして、画像を投影します。スタジオではデジタルカメラをPCにケーブル接続しての撮影がほとんどですので、撮影画像を投影するわけです。
撮影現場の模式図、モデルとクライアントはトレーシングペーパーに投影された画像を確認できる。
トレーシングペーパーですから裏面からも画像が見えます。モデル撮影では、モデルから見えるようにトレーシングペーパーを設置してあげると、モデル自身がポージングを確認できるようになります。さらに表側(プロジェクターの光が当たっている側)では、クライアントやスタッフが画像を確認できるというわけです。色のチェックはColorEdgeで、全体チェックはプロジェクターでという役割分担を行なっています。
最近はニコンD3 や Leaf Aptusのように、高度なライブビュー機能を備えたデジタルカメラが多くなってきました。ライブビューをプロジェクションしながらの物撮りは便利この上なしですよ。スタッフ全員で商品位置やライティングを共有しながら、快適に撮影を進めることが出来るのです。ここでも、便利なのはトレーシングペーパー。商品の置き位置を考えたり、印刷の判型ぎりぎりで絵柄を合わせ込んだり、過去画像に位置を合わせるようなとき、トレーシングペーパーにそれらを直接書き込んでしまうのです。そう、まるでカメラオブスキュラみたい。デジタル全盛であっても、直接書くというアナログな行為の方が効率いいですよね。面白いものです。
商品撮影では、置き位置や判型などをトレーシングペーパーにマジックでかき込みながら、
スタッフと画をつめていく。
荷物は一つ増えますが、クライアントやスタッフにとても好評です。しかし、先日プロジェクターを忘れたら、クライアントからお叱りを受けてしまいました。ああ、一度知ってしまうと戻れない。皆さんも、プロジェクターを撮影現場に導入するなら、いついかなるときも持ち歩くという覚悟が必要ですよ。これが最大の欠点でしょうか。しかし、撮影現場もエンタテインメント。プロジェクターは撮影現場を楽しくするいい道具です。それでも色の確認はColorEdgeで、ね!
茂手木秀行 Hideyuki Motegi
1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」の撮影を担当。2010年フリーランスとなる。1990年頃よりデジタル加工を始め、1997年頃からは撮影もデジタル化。デジタルフォトの黎明期を過ごす。2004年/2008年雑誌写真記者会優秀賞。レタッチ、プリントに造詣が深く、著書に「Photoshop Camera Raw レタッチワークフロー」、「美しいプリントを作るための教科書」がある。
個展
05年「トーキョー湾岸」
07年「Scenic Miles 道の行方」
08年「RM California」
09年「海に名前をつけるとき」
10年「海に名前をつけるとき D」「沈まぬ空に眠るとき」
12年「空のかけら」
14年「美しいプリントを作るための教科書〜オリジナルプリント展」
17年「星天航路」
デジカメWatch インタビュー記事
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/photographer/