Nikon デジタル一眼レフ プロの現場

俳優・綾野剛が母なる大地と向き合う様をニコンD4で撮影した写真集「胎響」

ニコンのフルサイズ デジタル一眼レフのフラッグシップ機であるD4。ヘビーデューティを要求される撮影現場で、プロのフォトグラファーたちはどのように使いこなしているのか。最新の事例とともに紹介しよう。

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ニコン D4
有効画素数1620万画素の35mmフルサイズセンサーを搭載したニコンのフラッグシップ機。マグネシウム合金採用の高剛性、高耐久性ボディはフラッグシップ機ならでは。今回紹介する事例の撮影では、このD4が使用されている。

綾野剛写真集「胎響」

img_products_nikond4_01_02.jpg 綾野剛写真集「胎響」スタッフ
P=平間至 Pアシスタント=木下亜樹 Retoucher=漆畑成通 AD&D=山本剛 ST=澤田石和寛 HM=須田理恵 Interview&Text=鈴木貴視 Printing Director=甲州博行(凸版印刷) Crd=宮本卓・安藤佳津夫(すぺーす百貨) 編集=船田恵

img_products_nikond4_01_03.jpg 綾野剛写真集「胎響」 撮影 平間至
映画、ドラマ、舞台に引っ張りだこの俳優・綾野剛の本格写真集。写真家・平間至が撮り下ろしている。発売:ワニブックス 定価:2,625円(税込)。

美しくも厳しい自然と
人間の命が響き合う写真集

風、水、草、木、土、空…。美しく清らかな日本の大地は、見る人を魅了する一方で、人を寄せ付けないほど厳しい顔を見せることもある。そんな母なる大地の懐に、俳優・綾野剛がたった1人で飛び込んでいった。この写真集は、自然の中で彼が感じた様々な感情や表情を捉えていく。そこにあるのは俳優として演じている姿ではなく、1人の人間の魂そのもの。命の息吹が聴こえてくるような写真集だ。

ロケ地は冷たい水が涌き出す清流。撮影した平間至氏によると「水がとても澄んでいて、常に水が湧いているので動き回っても濁らない。そして、10分と入っていられないぐらい冷たい。本当にピュアなものって、人間を跳ね返すような強さがあるんだと感じました」。

このハードなロケで平間氏が選んだカメラはニコンD4。厳しい大自然の中で、綾野剛と平間至のセッションがどのように行なわれたのか、写真集の撮影の舞台裏を詳しく見ていこう。

フォトグラファー平間至に聞く

タフで頑丈なD4だからこそ
沼の冷たい水や日没後の撮影など過酷な環境にも耐えられた

最近ではデジタルカメラも使うようになったという平間氏。ニコンD4で撮影した「胎響」の舞台裏について聞いた。

img_products_nikond4_01_04.jpg 一週間前に引越しをしたばかりの新しい事務所にて。ニコンD4は2台所有しているという。  撮影:坂上俊彦

撮影の条件が悪いときはデジタルカメラが頼りになる

──平間さんというとフィルムのイメージが強いんですが、デジタルカメラも使われているんですね。

平間 初めて仕事で使ったのは2010年です。その日はかなり天気が悪かったんですが、デジタルでは感度を自由に変えられるし、感度を上げてもあまり荒れないので助かりました。それ以来、仕事の内容によってフィルムとデジタルを使い分けながら撮影しています。

──どんな時にデジタルを使いますか?

平間 やはり撮影の条件が厳しい時ですね。たとえば音楽ライブだと、会場が暗い上にカラフルな色のライトがたくさんあって難しいんですが、デジタルだとすごく鮮やかに出る。それから合成が前提になる広告の撮影や、その日のうちにセレクトして渡さないといけないような場合もデジタル。

ただ、昔からずっとシリーズで撮っているものは、引き続きフィルムです。

──デジタルでの仕事の流れは?

平間 僕にとって専属のようなレタッチャーの方がいて、自分で写真をセレクトした後は、彼にRAW現像や簡単なレタッチをお願いしています。今回の「胎響」もその方と一緒にやっています。

──その写真集の話に移りますが、カメラはD4ですね。今回D4を選んだ理由を教えてください。

平間 この写真集は青森のグダリ沼という、ものすごくきれいな水が湧いている清流で撮影しました。あまりにも水がきれいすぎて、軽々しく人が立ち入れない感じがするような場所でしたね。綾野剛さんと一緒にその水に浸かりながら撮影したんですが、10月だったので、水がものすごく冷たくて大変でした。

僕にとってのニコンのカメラというのは、とてもタフなイメージがあります。ちょっとぐらい乱暴に扱っても壊れないし、頼りになる相棒のような感じ。で、この撮影はどう考えてもタフな撮影じゃないですか。ちょっとぐらいカメラに水がかかっても気にせず、水の中にじゃぶじゃぶ突っ込んでいくような現場ですから、ヘビーデューティなカメラが必要でした。

D4はギリギリの状況でも性能を発揮できるカメラ

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平間 話がちょっとズレますが、僕はクルマで言ったらポルシェのような、機械の性能をギリギリまで引き出せるものが好きなんです。実際にサーキットで走ったりしますし、ギリギリの状況での信頼性を機械に求めます。

カメラもやはりそうで、今回のように攻めていくような写真を撮るときは、華奢なカメラは使えません。D4はもともと報道寄りの設計だからすごくタフだと思うし、自分にとって一番しっくり来るデジタルカメラです。

写真集の最後のあたりは、日が落ちて真っ暗な中で撮っています(上の写真参照)。そういう悪条件でもD4はしっかりした絵が撮れるので、信頼が置けるカメラだと思います。

──現場ではどんな風に撮影が進んでいったのですか。

平間 ロケは3日続いたんですが、宿に帰ってから、パソコンのスライドショーで写真を見られたのは良かったですね。1日の撮影の流れをすべて追体験できたので、撮影中に感じていたことを綾野さんと語り合って、今日はこうだったから明日はこうしようとか。

──それによって、だんだん綾野さんとのセッションも変わっていった。

平間 そうですね。1日目が一番激しくて、いきなり冷たい水に突っ込んでいった。2人で大自然に挑んだけれど、跳ね返されて敗北した。綾野さんが全身ずぶ濡れで寝そべっている写真がありますが(ページ上の写真参照)、これは打ちのめされているんです。

img_products_nikond4_01_06.jpg ページを繰りながら、写真集について語る平間氏。

1日目でこの沼がどういう場所なのかが理解できたので、翌日からは自然とどういう関係を結べばいいのかを模索していった感じです。写真集の最初の方に、草むらの中で遊んでいるような写真がありますが、3日目ぐらいになるとそういう余裕がちょっと出てきたりしましたね。

──出来上がった写真はシャープで、ある意味デジタルらしい特長が出ていますが、フィルムのトーンとは違いますね。そのあたりはどう捉えていますか。

平間 フィルムでもデジタルでも、その性能をフルに使い切りたいという気持ちが強いので、あえてフィルムっぽくすることはしていません。そうしたいんだったら最初からフィルムを使えばいいわけですから。デジタルカメラを使うのであれば、やはりデジタルの性能を引き出した方が、見る人に伝わるんじゃないかと思います。


協力:株式会社ニコンイメージングジャパン
D4 ホームページ http://www.nikon-image.com/products/camera/slr/digital/d4/


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