プリント制作のためのハードウェア

プリント制作のためのプリンタ選び キヤノン篇

解説:小島勉

キヤノンの大判プリンタImagePROGRAFは、エプソンに先駆けて、2006年から10色以上のモデルがラインナップされている。それに加えて2010年からは新開発のLUCIA EXインクで、さらに色域の拡大をはかっている。

キヤノン imagePROGRAFシリーズ LUCIA EX12色モデル

CMYに対して補色となるRGBインクを搭載

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iPF8300(B0ノビ)
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iPF6300(A1ノビ)
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iPF6350(A1ノビ)
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シアン、マゼンタ、イエローの他に、レッド、グリーン、ブルーのインクを搭載し、2006年からいち早くオーバー10色を実現しているキヤノン。

2010年に新たに開発されたLUCIA EX12色インクは、従来のLUCIA12色インクよりも、さらに20%ほど色域が広がっている。

LUCIA EXインクで筆者が特に注目しているのは、色域もさることながら、黒インクの改良である。黒インク自体の色材の調整を行なうことで、プリント表面の乱反射を少なくして、高濃度の黒を表現した。

従来の顔料インクでのブラックは、1枚ベールをかけたような印象で、黒の締まりに不満を持っているユーザーが多かった。今回のLUCIA EXインクでは、そうしたユーザーからの評価も高い。

LUCIA EX12色インクのラインナップとしては、B0サイズのiPF8300、A1サイズのiPF6300、同じくA1サイズでハードディスクを搭載したiPF6350の3モデルがある。

最廉価モデル・A1サイズプリンタiPF6300

12色機として標準価格30万円台前半を実現したiPF6300。同サイズの上位モデルであるiPF6350は80GBの内蔵ハードディスクを搭載している。

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iPF6300(A1ノビ) 328,000円(標準価格)

プリンタに内蔵されるハードディスクは、業務で使う場合はプリントデータのストックやPCの解放の早さなど、それなりにメリットがあるが、作品制作でじっくり使う場合には必ずしも必要ない。iPF6300はハードディスクを搭載していない分だけ価格が抑えられており、コストパフォーマンスに優れた機種と言える。画質を犠牲にすることのない、A1サイズの最廉価モデルは、個人レベルでも導入しやすいのではないだろうか。

作品をプリントする際、通常はPhotoshopのメニューからプリント指示することが多いが、キヤノンは専用のPhotoshop用プラグインソフト(Print Plug-In for Photoshop)を提供している。通常はPhotoshopとドライバ双方での設定があるため、場合によってはミスをしてしまうが、このプラグインを使うと、実際の印刷プレビューも確認できるため失敗プリントが少なくすむ。設定を一度に行なえるユーザビリティの高さと作業効率の良さは、大判プリントには特に重要だ。

専用スタンドに取り付けられた本体の高さが少し低いように感じるが、キヤノンによると車いすの方でも操作ができるようにユニバーサルアクセスを考慮したのだと言う。細やかな設計思想はさすがと思わせるエピソードだ。

そのほかのimagePROGRAFシリーズ

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LUCIA12色インク搭載のiPF5100(A2ノビ)

キヤノンの大判プリンタimagePROGRAFは、5色から12色まで様々な用途に合わせた機種がラインナップされている。シリーズ全体として19機種あるが、エプソンのように白インクや溶剤(ソルベント)系はない。キヤノンの代名詞といえる高速性重視の機種から、グラフィック寄りの機種まで実用性のある構成だと思う。ただ、12色のLUCIA EXインクモデルは今のところA1とB0の2サイズで、比較的に導入しやすいA2サイズは従来のLUCIAインクのままになっている。是非ともA2機にもLUCIA EXを搭載してほしいところだ。

写真:小島勉

小島勉 Tsutomu Kojima

株式会社トッパングラフィックコミュニケーションズ所属。インクジェットによるアートプリント制作(プリマグラフィ)のチーフディレクター。1987年、旧・株式会社トッパンプロセスGA部入社。サイテックス社の画像処理システムを使った商業印刷物をメインとしたレタッチに従事。1998年よりインクジェットによるアート製作(プリマグラフィ)を担当し現在に至る。イラスト、写真、CGなど、様々なジャンルのアート表現に携わっている。

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