Lightroom 私はこう使う

[基礎編]Lightroom CCはクラウドベースのRAW現像ソフト

解説:桐生彩希

クラウドベースのLightroom CCを、プロはどのように使っているのかを見ていく新連載「Lightroom CC 私はこう使う」。連載を読む上で押さえておきたい基礎知識として、Lightroom CCが何なのかをここで改めてまとめます。

マルチデバイスで使えるLightroom

newproduct_20171019_adobeCC_01.jpg モバイル版、デスクトップ版、Web版が用意されているLightroom CC

Lightroomシリーズには、従来どおりにパソコンで写真の管理や編集を行なう“フルスペック”のLightroom Classic CC(以下、Classic CC)と、パソコンやスマホ、タブレット、Web上のアプリと連携して使えるLightroom CCがあります。

どちらもほぼ同じことができますが、大きな違いは写真の保存場所です。写真を「パソコン内のHDD」に保存するClassic CCに対して、Lightroom CCは「インターネット上にあるクラウドストレージ」に保存しています。その仕組みのおかげで、Lightroom CCはどのデバイスでも「同じ写真が同じ管理、編集の状態で表示」できます。

様々なデバイスや場所で写真が活用できるLightroom CCには、以下に示すように大きく3つの機能が搭載されています。順を追って確認してみましょう。

【写真編集機能】モバイル環境でもRAW現像

Lightroom CCは、Classic CCの性能をモバイル端末でも使いやすいように凝縮したアプリです。そのため、パソコンをはじめ、スマホやタブレットなどのモバイル端末でもClassic CCと同等の写真編集(RAW現像)が行なえます。

露出の補正はもちろん、色温度や鮮やかさの調整、そしてClassic CCでも人気の機能「かすみの除去」を使った透明感のある仕上がりなど、両社の機能に大きな違いはありません。上級者なら、部分補正や色別の補正、トーンカーブにシャープネス、ゆがみの補正や変形といった様々な機能を駆使して作品が仕上げられます。

内部的にはCamera Raw(Photoshop CCのRAW現像機能)と同等といえば、Classic CCやPhotoshop CCのユーザーにはスペックが理解しやすいと思います。

img_soft_lrcc01_12.jpg モバイル版Classic CCの編集画面。スマホでもClassic CCと同じ機能、同じクオリティでRAW現像が行なえる

【カメラ機能】スマホでRAWが撮れる

Lightroom CCには、パソコン版、スマホで使えるモバイル版、タブレット版、そして、Webブラウザで使えるWeb版が用意されています。ひとつのアカウントで、これらすべてのLightroom CCが使えます。

中でもモバイル版は特徴的な存在で、カメラ機能を搭載し、RAW(DNG)形式の高品位な写真が撮影できます(スマホにより異なる)。カメラ機能のスペックは使用するスマホによりますが、例えばiPhone 8なら、全自動のAUTOモードのほか、プロフェッショナル(マニュアル撮影)や長時間露光、HDR、奥行きの情報も記録する深度撮影などのモードが搭載されています。

ちなみに「深度撮影」とは、背景だけを明るくするような「距離に応じた補正」が行なえる写真を写す機能です。

img_soft_lrcc01_13.jpg モバイル版のカメラ機能は、RAWで撮影できたり、マニュアル撮影の「プロフェッショナル」モードなどを搭載している

【管理機能】どのデバイスも同じ管理状況になる

Lightroom CCには管理機能も搭載されています。「アルバム」を使った分類や、「キーワード」や「レーティング」の設定、そして人物の自動検索と分類など、シンプルで使い勝手のよいものです。

設定した管理情報は各デバイス間で共有され、自動的に同じ状態に揃います。つまり、パソコンで「アルバム」に分類すれば、スマホでも同じように「アルバム」が作られているというわけです。

注意したいのは、「カタログ」機能(Classic CCの管理機能のひとつ)とプリント機能が搭載されていない点です。Classic CCからの移行を考える時は、まずはこの2点を考慮する必要があります。

img_soft_lrcc01_14.jpg 「アルバム」による分類をベースとした管理機能。「レーティング」「フラグ」「キーワード」などの標準的な機能を使い写真が管理できる

桐生彩希 Saiki Kiryu

レタッチャー/ライター。レタッチ系の記事や書籍を多数執筆。なかでもAdobe Photoshopに関しては、Adobe Photoshop 3.0の頃から20冊以上の書籍やムックを制作。個人的な活動としては、「売れる」「飾れる」デジタルプリントを目指し、自作の用紙で作品を制作している。

関連記事

powered by weblio