2020年09月07日
自然で美しい人物レタッチができるようになる濱中メソッドはついに最終回。顔に始まり手足や全体のバランスまで、これですべてのチェックポイントが明らかになる。すべてのポイントをしっかり抑えて美しいポートレイトを仕上げよう。
今回は第4弾、人物レタッチをする上でチェックするべきポイント・濱中メソッドの12〜16。最後に、首・脇・腕&肩・手・足といったボディまわりをチェックして、人物レタッチを仕上げましょう。

人物レタッチを正しいゴールに導く 濱中メソッド 16

さらに今回は時短テクニックも交えながら解説します。「16項目のチェックポイント」x「時短のテクニック」が合体したら怖いものなしです!最短距離でゴールを目指します。
時短テクニックの部分には「」をつけておきますので注目してください!
ではさっそく・・・首から見て行きましょう。
濱中メソッド⑫ 首のチェックポイントは5つ
12/a…
シワ、シミ、ホクロ、毛穴はキレイにしてすっきり!
12/b…
色ムラ、トーンムラは目立たなく。
12/c…
首の色が顔色と違っていたら自然に合わせます。
12/d…
コツは「横のシワを抑えて縦のシワは整える」
12/e…
首や肩口にかかる髪の毛、整理してすっきり!
before & after
サンプルで見ていきましょう。

★12/a.
シワ、シミ、ホクロなどは必要なければ消します!毛穴もキレイに!
12/b.
色ムラは目立たなく



12/c.
首の色が顔色と違っていたら合わせます
12/e.
首の髪の毛、消しましょう!



12/d.
鎖骨、胸鎖乳突筋はキープしつつキレイに!特に横のシワはなじませます
12/d.
僧帽筋上部が盛り上がらないように!


★12/a「シワ、シミ、毛穴などをキレイに!」に使用したツール
画像操作(減算)を使用します。
1) 大きめのホクロやシミは、あらかじめ修復ブラシで消しておきます。
2) ベースとなるレイヤーを2つコピーします。(合計3つ必要です)

3) コピーした2つのレイヤーの内、下のレイヤーをぼかします(今回はガウスぼかし半径4pixで使用)。
レイヤー名は「blur」にしておきます。
4) コピーした2つのレイヤーの上の方を選択して、イメージ→画像操作 と進み、以下のように設定します。

・レイヤー:プルダウンで「blur」を選択
・描画モード:減算
・スケール:2
・オフセット:128

5) レイヤー名を「画像操作(減算)」としたら、このレイヤーの描画モードを「リニアライト」にします。
6) シワや毛穴が気になる部分をさらにぼかしていきます。「blur」レイヤーを選択した状態で、ショートカット「Q」(クイックマスクモードになります)→ブラシツールで気になる部分を塗ります。
もう一度ショートカット「Q」を押すと、塗った部分が選択範囲になるので、シワや毛穴をぼかします(今回はガウスぼかし半径4〜7pixを使用)。


※この時、クイックマスクオプション(ツールバー下方の「クイックマスクモードで編集」をダブルクリックして表示)の「選択範囲に色をつける」がチェックされていることを確認してください。
7) 一気に全部やらず、肌の面ごとに細かく選択しつつ、ぼかしの強弱も場所ごとに調整します。


濱中メソッド⑬ 脇のチェックポイントは3つ
13/a…
脇のラインは基本まっすぐ1本!
13/b…
毛穴、黒ずみ、色ムラ、トーンムラはなじませます。やりすぎNGです。
13/c…
複雑な形状はなるべくシンプルに!
before & after
サンプルで見ていきましょう。

★13a.
脇のラインは基本まっすぐ1本!(何本かあったら1つにまとめる)



13b.
黒ズミ、色ムラ、トーンムラはなじませる!



13c.
複雑な形状はシンプルに!



13c.
複雑な形状はシンプルに!


★13/a「脇のラインはまっすぐな1本線!」に使用したツール
最強になったワープの変形を使用します。

グリッドやアンカーポイントが好きな部分に増やせるようになったので、繊細で緻密な変形が一発で可能になりました!

ちなみにカスタマイズでこんなに増やせます!
髪の毛そよそよ&布ヒラヒラ、ちょっと変形したいという時に簡単!
ちょっとブレイク 全身のフォルムバランスの話

バストアップや顔アップだったら気にならない色々なバランスが、全身トリミングになった際に突然、微妙にアンバランスに見える時ってありませんか?
そんな時は…ほんのわずかに顔のサイズ、肩、腕、手、太もも、ふくらはぎのフォルムを調整する場合があります。
女性らしさを強調したい時は、ウエストや足首を微妙にほっそりさせる場合もあります。
また服に関しても、モデルさんの動きによって、よれたり折れたりしてフォルムが複雑になってしまった場合、シンプルな見た目にするのも良いでしょう。
全体のバランスをどうしたいか、オリジナルのままのが良いのか、レタッチャーのセンスが問われる所なのでいろいろ試してみてください。
濱中メソッド⑭ 腕&肩のチェックポイントは5つ
14/a…
シワ、シミ、ホクロ、ウブ毛はキレイにしてすっきり!
14/b…
色ムラ、トーンムラも目立たなく!
14/c…
関節などがカサついていたら滑らかに。
14/d…
女性の場合は女性らしいフォルムに!
14/e…
顔とのバランス&全体のバランスをチェック!
衣装によっては腕や肩を少しほっそりさせたり、場合によっては逆に顔を少し小さくする場合もあります
before & after
サンプルで見ていきましょう。

14/a.
シワ、シミ、ホクロ、ウブ毛などはキレイに!
14/d.
少しフォルムをほっそりと!



14/d.
肩のフォルム、少しだけ筋肉のたくましさを抑える!
14/d.
陰影、少しだけ柔らかい印象に。



★14/c.
関節のカサつき、なめらかに!


★14/c「関節のカサつき、なめらかに!」に使用したツール
画像操作(減算)を使用してなめらかにします。
1) 大きめのホクロやシミは、あらかじめ修復ブラシで消しておきます。
2) ベースとなるレイヤーを2つコピーします。(合計3つ必要です)

3) コピーした2つのレイヤーのうち、下のレイヤーをぼかします。(今回はガウスぼかし半径5.5pixで使用)
レイヤー名は「blur」にしておきます。
4) コピーした2つのレイヤーの上の方を選択して、イメージ→画像操作から以下のように設定します。

・レイヤー:プルダウンで「blur」を選択
・描画モード:減算
・スケール:2
・オフセット:128

5) 画像操作したレイヤーの描画モードを「リニアライト」にします。
6) ヒジのシワシワ部分をキレイにしていくのですが、今回はリニアライトにしたレイヤーをレタッチして仕上げます。

リニアライトのレイヤーに直接スタンプツールや修復ブラシでシワを修正していくのですが、その際1つ注意点があります。スタンプツールのオプションバーにある「サンプル」は、「現在のレイヤー」にしておきます。
濱中メソッド⑮ 手のチェックポイントは5つ
15/a…
不要なシワ、シミ、ホクロ、ウブ毛、キズはキレイにしてすっきり!
15/b…
指先は特に清潔感を第一優先!
15/c…
指の関節の黒ズミ、血管浮き、手首のシワ、なじませましょう。
15/d…
顔や首の色と違っていたら合わせます!
15/e…
顔とのバランス&全体のバランスをチェック!
手が顔や腕に比べてバランス的に大きかったら少し小さくする場合があります
before & after
サンプルで見ていきましょう。

15/a.
不要なシワ、シミ、血管浮き、キレイに!
★15/e.
顔とのバランスチェック!少しほっそりさせます。
15/c.
血管浮き!なじませます。
15/d.
首、手、顔の色が違っていたら近づけます!



15/c.
関節の黒ズミ、血管ウキ、手首のシワは目立たなく!
15/b.
指先は清潔感第一!



15/c.
手首のシワ、目立たなく!


★15/e「顔とのバランスを見て手を少しほっそりさせる」に使用したツール
時短機能のオブジェクト選択ツール&
進化したコンテンツに応じた塗りつぶしで、超簡単指ほっそりを実現します!

1) 手と腕を オブジェクト選択ツールで囲います。↓下のようにざっくり囲うだけで・・・

一瞬で手の選択範囲が取れます! とっても時短!

2) 選択範囲ができたら、Command(WinはControl)+Jで、手のレイヤーを作成しておきます。

3) 手や指を細くするので、細くした手の下から、元のサイズの手が見えてしまうのを防ぐため、 進化したコンテンツに応じた塗りつぶしツールを使用します。
2)で作成した選択範囲を、メニューバーの選択範囲→選択範囲を変更→拡張 で、拡張量を10〜15pixにしたら、メニューバーの編集から コンテンツに応じた塗りつぶしを選んで、プレビューを見ながら調整します。


ほとんど一瞬で手が消えます! ホントに便利ですねー。

手のレイヤーが乗ってくるので、これで十分!
4) 1)で作成した手のレイヤーをゆがみツールで調整して終わり。3ステップで終了です!

濱中メソッド⑯ 足のチェックポイントは4つ
16/a…
毛穴はキレイに!
16/b…
ヒザの黒ズミ、血管の色ムラ、トーンムラ、なじませます。
16/c…
ヒザ、くるぶしなどの関節がゴツゴツしていたら少し滑らかに!
16/d…
顔とのバランス&全体のバランスをチェック!
部分的に細くしたり長くしたりする場合があります
before & after
サンプルで見ていきましょう。

16/b.
ヒザの黒ズミ、シワなどもキレイにしましょう。
16/b.
靴と足が合っていなかったらフィットさせます!



16/b.
ヒザの黒ズミ、キレイにします。
16/c.
くるぶしゴツゴツ、滑らかに。
16/b.
血管ウキなじませます!


ちょっとブレイク 肌色の話

肌の色って、部分によって違って見えたりしませんか。
顔はファンデーションを塗ったりテカらないようにしているので、手や足と違った見え方をしている場合があります。
首と顔は繋がっているのに、ファンデーションをつけていない首の色味と合っていない時ありますよね?自然に合わせましょう。
手や足も心臓から離れていくほど血色が悪く見える可能性があるので、健康的な色味に調整する必要があります!
ちょっとブレイク spin off
最新のレンズぼかしを使って奥の方をぼかしてみました。ガウスぼかしでは出せない自然な仕上がりです!






人物レタッチの全貌は今回までとなります。
この連載で取り上げたボディ周りのレタッチは、顔などに比べ地味な部分ですが、特に大きいサイズのグラフィックでは重要なポイントになります。手を抜かずにチェックしましょう。
Art Director:石川翼(VONS Pictures)
Photographer:片岡竜一(VONS Pictures)
Stylist:廣田美保子
Hair & Make-Up:宮澤結弦
Retoucher:濱中英華(VONS Pictures)
Producer:高橋永利香(VONS Pictures)
出演:喜野ベリ・初音ナチ
ヴォンズ・ピクチャーズ VONS pictures
撮影、画像処理、3DCG、動画など、異なる技術を融合して広告ビジュアルを提供する制作会社。
https://www.vons.co.jp/