2013年02月04日
超高解像度・マルチレゾリューションで高精細拡大
こんな用途に:建造物や町並みなどの紹介写真/絵画、壁画などの学術的アーカイブ使用機材:Nikon D5100(スチル撮影)/GigaPan EPIC Pro
ソフトウェア:Autopano giga
www.nippon.com/ja/images/k00007/
デジタル写真の世界は、基本的に銀塩写真がその170年あまりの歴史の中で築き、到達した高い品質を手本に進歩してきた。しかし、その一方でデジタルでなければ成し得ない表現や、クオリティーも生まれている。そのひとつがギガピクセルイメージである。ギガピクセルイメージは、望遠レンズでクローズアップ画像を数百枚、数千枚と撮影し、それを1枚のパノラマ写真にステッチしたもの。ワンショットの画像では、いくらデジタルカメラの解像度が上がったと言っても、拡大していけばやがてモザイク(ピクセル)になってしまうが、複数の画像を繋ぎ合わせて作った1ギガピクセル(10億画素)を越えるようなイメージであれば、ズームして細部のディテールまで鮮明に見せることができる。まるで、望遠鏡で覗いているかのように。
超高解像度になるに伴い当然データ量は重くなるが、マルチレゾリューション(マルチレイヤー)という、タイル化した画像を必要なサイズに応じて読み込む方式によって、インターネットでもストレスの少ないプレビューが可能だ。
全体像と細部のディテールを共存させることが可能なため、ランドスケープはもとより、遺跡のアーカイブ、美術、建築、エンターテインメントなど、デジタル写真ならではの特性が活きるジャンルとして注目されている。オリンピックや野球のスタジアムなどで撮影すれば、競技している選手のユニフォームや、観客の表情までが遠景からはっきりと拡大できるし、絵画作品や壁画などの複写でも、全体から細部のタッチまで鮮明に記録できる。
あまりに高画素になればマシンへの負担もかかりハンドリングしにくくなるが、私が先日、来日中に会った世界有数のパノラマ投稿サイト「360cities」の創立者Jeffrey Martinは、2010年9月の時点で世界最大の800億ピクセルのイメージをロンドンの高所から撮影している。
特殊雲台で分割撮影した写真を1枚の写真に統合
染瀬直人 Naoto Somese
映像作家、写真家、VRコンテンツ・クリエイター
2014年、ソニーイメージングギャラリー銀座にて、VRコンテンツの作品展「TOKYO VIRTUAL REALITY」を開催。YouTube Space Tokyo 360ビデオインストラクター。Google × YouTube × VR SCOUTの世界的プロジェクト"VR CREATOR LAB”でメンターを、また、デジタルハリウッド大学オンラインスクール「実写VR講座」で講師を勤める。「4K・VR徳島映画祭2019」では、アドバイザーを担う。著書に「360度VR動画メイキングワークフロー」(玄光社)など。VRの勉強会「VR未来塾」を主宰。
naotosomese.com