2013年05月17日
インタラクティブに空間をグリグリ回せ
こんな用途に:インテリアの広告、店舗紹介使用機材:Nikon D5100(スチル撮影)/MK Panohead2
ソフトウェア:PTGui Pro/Panotour Pro
www.nippon.com/ja/images/k00006/
360°パノラマVRは、90年代前半にApple社のQuick Timeの技術から生まれ、当初はQuick Time Virtual Realityと呼ばれていた。
その後、CubicVRとして水平だけでなく天地左右の全方向を球体内部から眺めるような感覚で、PCのディスプレイ上でブラウズできるようになった。画像をインタラクティブに回転させたり、ズームしたりすることもできるため、画面上で、あたかもその場にいるような疑似体験が得られるのが特徴だ。
作り方は魚眼レンズで水平・天地と複数の画像を撮影し、ソフトでステッチ・オーサリングする方法、あるいはワンショット・ミラーで一発撮影をしてパノラマに展開する方法などがある。
昨今ではPCのスペックが上がり、またマルチレゾリューションの技術により、ネット上でもストレスなく快適に閲覧できるようになってきている。
さらに、これまではQuickTime、Flashが一般的だったが、HTML 5+CSS 3に書き出すことでiPhone、iPadにも対応。スワイプやピンチ&ズームなどで操るスマホやタブレット端末とはとても相性のよい表現で、ジャイロにも対応する。
パノラマ画像に音をつけたり、動画をはめ込んだり、またxmlの記述次第では、より高度な動きをつけてムービーのように見せることも可能だ。
観光スポットなどを複数のパノラマを組み合わせて紹介することをバーチャルツアーと呼ぶが、パノラマ画面上にホットスポットを設けて、他のパノラマや情報とリンクさせたり、Mapを配置することで更に実用性も高まる。
不動産やホテルの部屋の紹介、Googleの「おみせフォト」などのような店舗紹介などが代表的な使用例であるが、美術展の展示記録や、新聞社のWebサイト、電子書籍などでも注目されている。
360°パノラマの画像は、実はこんな構造
魚眼レンズで撮影した複数の画像を、ステッチ・ブレンドして上の写真のような1枚の絵を作る。360°パノラマ画像には様々な投影変換の図法があるが、一般的には2:1の比率のequirectangular(正距円筒図法)が用いられる。
染瀬直人 Naoto Somese
映像作家、写真家、VRコンテンツ・クリエイター
2014年、ソニーイメージングギャラリー銀座にて、VRコンテンツの作品展「TOKYO VIRTUAL REALITY」を開催。YouTube Space Tokyo 360ビデオインストラクター。Google × YouTube × VR SCOUTの世界的プロジェクト"VR CREATOR LAB”でメンターを、また、デジタルハリウッド大学オンラインスクール「実写VR講座」で講師を勤める。「4K・VR徳島映画祭2019」では、アドバイザーを担う。著書に「360度VR動画メイキングワークフロー」(玄光社)など。VRの勉強会「VR未来塾」を主宰。
naotosomese.com