2020年03月31日
パナソニック初のフルサイズミラーレス「LUMIX S1R・S1」がプロの広告撮影にチャレンジする連載。第6回目は、フォトグラファー有泉伸一郎氏によるスナップ撮影。曇りの夕暮れ、夜の歩道といったロケ撮影にありがちな悪環境下での撮影に挑む。動きのあるシーンの中で、モデルの魅力が際立つ一瞬を切り取った。
IMPRESSION 有泉伸一郎 × LUMIX S1
M:Hazuki Onishi(image) HM:Masayoshi Okudaira ST:Yukihiro Teshima 衣装協力:MIDDLA、anript、Kenta Endo
撮影データ:LUMIX S1+LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S./1/1000s f4 ISO400
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撮影に入り込めるEVF性能
今回使用したS1は、高感度耐性のある汎用性が高いモデルということでしたので、手持ちでスナップ撮影に挑戦してみました。
実際に構えてみて驚いたのは、EVFの見え方です。とてもきれいです。正直、ミラーレスのEVFには、あまり良い印象を持っていませんでした。ムービーやロケハンのときは、液晶モニターの方が便利なので良いのですが、本番のスチル撮影時は、やはりファインダーを覗かないと、撮影に入り込めません。その点、S1のEVFのクオリティであれば不満なくファインダーを覗けますね。
素直な絵=最高の個性
仕上がりの絵は、個人的に好きな絵でした。素直って言葉が一番しっくりきますね。メーカーによって絵の出方は個性が出ますけど、素直な絵は個性がないということではなくて、ナチュラルな絵を出せるという最高の個性です。いらない個性はそれを消す作業が手間になります。フォトグラファーにとっての個性は、フラットな状態から調整していくことで生まれるものです。
それと、データの階調が広いと感じました。とくに黒。暗部がいきなり潰れるのではなく、その中に表情があるような印象を受けました。
データの大きさも個人的には丁度いいですね。普段の仕事ですと、そこまで大きなサイズが要求されることは少ないので、取り回し重視で考えます。高解像度が好きって人もいますが、それは好みの問題です。僕の場合は、大きいサイズが必要なら中判を選択します。
信頼できる高感度耐性
推しているだけあって、高感度耐性は信頼できますね。今回のようなシチュエーションの中、ライトも使わず、手持ち撮影となると撮れる絵は限られてきますが、感度で稼げる分ストレスなく撮影できます。
ロケ撮影において、太陽の動きを読んだ香盤づくりはとても大切なことですが、撮影が押してしまったり、アクシデントが起こったりと、イレギュラーな環境に突入してしまうこともあります。そういったとき心強いですよね。実際に今回の撮影も夕暮れだけの予定でしたが、バリエーションが欲しかったので、急遽夜まで待って撮影を行なっています。
安心して使えるカメラ
手ブレ補正の性能も良かったです。セレクトのときスクロールで確認しましたけど、使えないレベルの画像はほとんど見当たらなかったです。AF性能の良さも影響していますが、ミラーレスの強みを活かしきれていると感じました。やっぱり、撮れ高がいいのは嬉しいです。仕事でも安心して撮影できますからね。
LUMIX S1の動画性能も確認すべく、スチル撮影の合間にムービー撮影も行なった。悪環境下での手持ち撮影だったが申し分ない仕上がりとなった。
Panasonic
LUMIX S1
ISO100~51200の常用感度域を持つ高感度モデル。ボディ内手ブレ補正(B.I.S.)と、レンズ内手ブレ補正(O.I.S.)を連動させる「Dual I.S. 2」によって6.5段分の補正が可能(ファームウェアVer.1.2以降のアップデートが必要)。
ありいずみ・しんいちろう
1978年生まれ。2005年より北島 明氏に師事。2009年独立。音楽、ファッション、広告などで活動中。
※この記事はコマーシャル・フォト2020年4月号から転載しています。