2009年08月06日
考えられる機能はすべて入っているハイエンドジェネレーター
最大出力3200WsのA4S(左)、1600WsのA2S(右)と2タイプがある。幅広い調光範囲11EV(A4S)/10EV(A2S)と、高速のリサイクリングタイム(A2S=1.1〜0.02秒、A4S=2.2〜0.02秒)でほとんどストレスのない撮影が可能。SCORO A2S 〈1600Ws/Bi-v/RFS内蔵〉 850,000円(税別) SCORO A4S〈3200Ws/Bi-v/RFS内蔵〉 1,100,000円
bronclolor(スイス)の最新機種SCORO(スコロ)は、3回路独立調光の多機能ジェネレーターである。現在ストロボライティングを行なう上で、考えられるほとんどのコントロール機能を備えているといっても過言ではないほどの多機能な製品。
出力は、最大出力から最小3Ws まで1/10EVステップで調光可能。3灯のヘッドを独立して10EVの範囲でコントロール。
リサイクリングタイムも最短0.02秒という驚異的なスペックを誇る。発光の色温度を調節できるほか、閃光時間の調節も可能である。LCDパネル上で、色温度、あるいは閃光時間を優先的に設定することで、高速閃光からスロー閃光まで設定できる。そのほか発光機能では、ディレイ、マルチ発光、インターバル発光、2灯を交互に光らせるピンポンレリーズなどの機能を持ち、サイエンスフォトの分野まで対応している。
あまり注目されていない機能だが、メモリー機能を持っておりコンピュータ制御ジェネとしてよく考えられている。設定のメモリーは4パターン、このほかにユーザー設定も利用すると最大8パターンを登録しておける。
入力電圧は100V〜240Vに自動対応している。ただしモデリングランプは対応する電圧タイプを用意する。モデリング回路のコントロールはフル点灯、出力比例、Low設定のほか、出力の異なるジェネレーターとの併用時用の比例モードも搭載している。
ストロボ出力表示はWs、WV(EV値のような10進表示)ほか%表示も可能で、各灯のバランスを把握しやすい。出力調整はアップダウンキーで行なうが、各灯の出力設定後、マスターバリエーターで全体光量のアップダウンが可能。
ワイヤレスリモコン機能は、RFS 受信機を内蔵しており、全機能をRFS トランスミッターからも操作ができる。
またUSBインターフェースのRFSトランシーバーを用いてMacintoshあるいはWindowsPCからのコントロールも可能だ。
そのためには専用コントロールソフト「bron studio」をbroncolorのサイトからダウンロードする必要がある(ダウンロードは無料)。
現在可能とされるストロボライティングのすべてを網羅するライティングワークステーションともいうべきSCOROシリーズは、bronclolor社が考えているストロボのひとつの到達点・完成型であるといえるだろう。(玉内公一)
シバサキフミト
SONIA RYKIEL 広告
D =福井隆介・岩城沙絵子
プロップスタイリスト=三ツ泉貴幸( ART BREAKERS)
画像処理=小旗かおる( unICoRn)
Sinar p2 + PHASE ONE P30 レンズ:シュナイダー スーパーアンギュロンXL MC 72 mm F5.6
商品のストライプ、ハイライト部分、砂の波紋などの6素材をSCORO A2S を2台6灯で撮影し、合成。小さな商品のため、弱い光での繊細なライティングが必要だった。グリッドやスポットアタッチメントなどアクセサリーも多用している。
ユーザーからひとこと
事務所内のスタジオで、小さな物撮りをするために購入。出力が3Wsまで下げられ、弱い光を打てるので、繊細なスチルライフを撮影するのに適していると思っている。1台で3灯を個別にコントロールできるので、省スペースで多灯ライティングにも対応できるので便利。当初は、レンタルで使い慣れていたブロンカラー「グラフィットA」を購入する予定だったが、ヘッドやアクセサリーがそのまま使えることもあり「SCORO」に切り替えた。「グラフィットA」の操作性を継承し、閃光時間や色温度も変更できる点が気に入っている。また操作パネルも日本語表示が可能になって、より使いやすくなった。
ジェネレーターはもう充分なくらいに進化したが、これからはヘッドのコンパクト化や形状などの進化にも期待したい。 (シバサキフミト)
基礎から始める、プロのためのスチルライフライティング
スチルライフのジャンルでも、特にプロの世界で「ブツ撮り」と呼ばれるスタジオでの商品撮影をメインに、ライティングの基礎から実践までを解説していきます。
定価2,730円(税込)
玉内公一 Kohichi Tamauchi
ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。