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Photona Freeze Flash テイク

解説:玉内公一

ジェネレーターにつなげて閃光時間をコントロール

img_tech_lightingguide02_01.jpgフォトナHEROα(左)とFreeze Flash(中央)を連結して使う。W28.5×D16.5×H26.5cm、重量約4kg。税込価格 367,500円。小型クリップオンタイプストロボの最小発光でも高速閃光が得られるのだが、本来の出力エネルギーが小さく、わずか数ワットというものになり、被写体にかなり接近させた使用しかできない。仮にFreeze Flashと同等の光量を得ようとすると100個近いクリップオンストロボを並べないとならない。

PhotonaのFreeze Flash(フリーズフラッシュ)はHEROαや武蔵24などのデジタル制御ジェネレーターに接続するシリーズカットアダプターである。発光電流を設定した時間でカットでき、1/10,000秒以上の高速閃光も得られる。

シリーズカットとは、クリップオン型オートストロボなどに採用されている技術で、「直列制御」と訳されている。電流をある時間でカットして、放電管へ流さず回路へ戻すという仕組みだ。スタジオ用ストロボの発光エネルギーは小型のクリップオンタイプとは比較にならないくらい大きく、使用する電気素子も大型の大電流用となるため、どうしても装置全体もジェネレーターと同じようなサイズになってしまう。

装置のセットは、Freeze Flashの入力ケーブルをジェネレーターの出力コネクターへ接続し、ヘッドはFreeze FlashのP-OUTコネクターへ接続する。ついでシンクロケーブル(フォーンジャック・オスーオス)をジェネレーターと接続する。(Freeze Flashには高感度のフォトセルが内蔵されているため、シンクロケーブルは使用しなくてもOK)。

Freeze Flashパネル上の出力(時間)設定バリエーターで希望する閃光時間をセットすればよい。閃光時間セレクトは、9ポジションあり、1が最短で1/13,000秒、9が最長で1/400秒となっている。

ライティングの注意点としては、閃光時間を設定した時間でカットしているため、得られる光量はかなり落ちてしまうこと。一般的に2400Wsの出力は1/300秒前後であり、しかもこの数値はピークの1/2に当たる時間で、実際の発光はこの3倍くらい光っている。

Freeze Flashのシリーズカットは前述のように、設定した時間によって発光を強制的に止めてしまう。仮に1/10,000秒に設定すると、ストロボ側で設定した出力が1/10,000秒の間に集中して光るというわけではなく、1/10,000秒で閃光したところで発光を止めてしまうという意味である。従ってジェネレーターを2400Wsに設定しても、Freeze Flashが1/10,000秒になっている場合は、400Ws程度の光量しか利用できない。この部分を理解して使用する必要がある。(玉内公一)

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伊田淑乃+STUDIO M2

撮影時は周囲を暗くして、Bond No.9の「セント・オブ・ピース」のボトルを水中に落下させた瞬間を捉えた。カメラ側からではなく、落下担当者が発光させてタイミングを合わせた
CONTAX 645+PHASE ONE P25 レンズ:Carl Zeiss Apo-Makro-Planar 120mm f11 シャッタースピード:4秒 ISO50 Freeze Flash発光時間:1/10,000秒

img_tech_lightingguide02_03.jpg 左サイドからビニールディフューザー越しに3灯、逆側にはマットの銀レフをセット。その後ろ側から1灯。Freeze Flashを使ったPhotona HEROαを4台使用。

ユーザーからひとこと

大型ストロボの発光時間は案外長いので、フォトナユーザーであれば、手持ちのジェネレーターに接続するだけで、簡単にハイスピード設定ができるのは便利。表現の幅が広がる。今回のテスト撮影でも「動きを静止させられた水」という小道具を得て、次々と興味深いショットが撮影できた。発光時間選択バリエーターを9から1にすると3段ぐらいは光量が落ちてしまうが、ジェネレーターのバリエーターを上げても出力は稼げないので、短い発光時間では灯数を増やす必要がある。(伊田淑乃+STUDIO M2)

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玉内公一 Kohichi Tamauchi

ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。

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