ストロボ光源の基礎知識

第4回 高機能タイプ/モバイルタイプのジェネレーター

解説:玉内公一

「ストロボ光源の基礎知識」は今回で最終回です。最後にハイエンドジェネレーターとモバイルタイプのジェネレータの具体的な機種を紹介します。

多機能/高精度なハイエンドジェネレーター

ストロボジェネレーターもカメラ機材などと同様に、普及機、中級機、高級機が用意されていて、いずれもプロ仕様なのですが、特にハイエンドモデルは、デジタル技術を取り入れるなど、普及機にはない機能や、使い勝手のよさを実現しています。ハイエンド機の特徴を紹介しましょう。

複数チャンネル独立調光

複数の出力コネクターがある場合、普及タイプではコネクターごとの出力調節のできない機種も多いのですが(1つのバリエイターで複数のコネクターを一括操作)、ハイエンド機は個別の調光回路を割り当てることで、出力コネクターごとに調節が可能。よ自由度の高いライティングコントロールを実現します。

リニアリティのよい1/10ステップ調光

多くのハイエンド機は、1/10EVきざみでの光量調整ができ、またその調光精度も高いものです。現在、フラッシュメーターが1/10EV表示のため、ライティングを組んでいく際に便利です。

色温度変化が少ない

ストロボの色温度は、電圧と、コンデンサー容量、そしてXe放電管との相関関係で決まるため、出力を変えると色温度も変わりますが、その変化をできるだけ少なく抑える設計がされています。

閃光時間のコントロール

機種によっては、閃光時間を調整できるものもあります。

コンピュータリンク機能

コンピュータを使ったジェネレーターコントロールも、最近、注目される機能です。複数のジェネレーター設定をメモリーしたり、全体の光量バランスをコンピュータで一括管理するなど、セッティングの効率化ができます。その他、出力回路別に時間差で発光させたり、マルチストロボのような繰り返し発光の特殊機能を持つ機種もあります。ハイエンド機は安定した発光、正確な発光をベースにして、効率化への対応を考慮した機能を持つ高級ジェネレーターと言えるでしょう。

ブロンカラー

グラフィットA2プラス/A4プラス

スイス、ブロンカラー社の高機能シリーズ。

パソコンリンク機能を持つタイプがプラスと名付けられている。A2は最大出力1600W、sA4は3200Ws。出力数は3灯で、1/10EVステップの不均等独立調光。いずれの出力においても色温度を5500Kに保つ色温度調整機能を搭載している。パネル上の液晶インターフェース画面で、閃光時間優先発光、色温度優先発光のほか、ディレイタイム発光、マルチ発光機能などを設定できる。ブロンカラー・スタジオソフトによってパソコンからコントロール。

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プロフォト

D4 1200Ws/2400Ws/4800Ws

スウェーデン、プロフォト社のパソコンリンク機能を持つ最新鋭機。人間工学デザイ ンに基づいた明快な操作性を持ち、対塵、耐衝撃性に配慮したボディ構造となってい る。1200Wsから4800Wsのラインナップを揃える。出力数は4灯で1/10EVステップ の不均等独立調光。複数灯使用時や低出力時も1/100EV以内の出力変動、色温度変化 は±150K以内と高精度な安定性を誇っている。パソコンから、最大128台のジェネ レーターをコントロールできる。

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コメット

CW-2400Tc

コメットのパソコンリンク機能を持つ多機能ジェネレーターで、シリーズカット調光 と電圧調光を併用して、発光の色温度と閃光時間を調節可能としている。最大出力は 2400Ws。出力数は3灯、1/10EVステップの不均等独立調光。発光の色温度安定性は±100Kと高精度である。色温度の設定範囲は±300Kで100Kずつのステップで行なう。閃光時間のLongとShortを切り替え可能。

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モバイルタイプのジェネレーター

屋外でも、スタジオと同じようにライティングをしたいという要望に応えるため、メーカー各社は、1200Ws以上の大容量ストロボに対応するバッテリー駆動のジェネレーターを開発しています。ガソリン発電機などを積んだロケ専用車など、大掛かりな準備をしなくとも、数百回の発光が可能なストロボジェネレーターです。

AC電源の取れないロケ先や、屋外の撮影でも、スタジオで用いるフラッシュヘッドやライトアクセサリーがそのまま利用でき、クリップオンやモノブロックストロボとは比較にならない大光量が得られるため、ファッション撮影から商品撮影まで幅広く利用されていて、レンタルショップでも人気アイテムと言えます。

たとえば、屋外で使用する場合、太陽光がない夜間の撮影はもちろん、日中の太陽光下でも、太陽光をメインに、フィルインライトとしてストロボ光を利用したり、逆にストロボをメインに組み立てるといったライティングのバリエーションも考えられます。

メーカーによって、設計思想、スペックの違いはありますが、いずれも一回の充電で相当数の発光が可能。またACアダプターを用意している機種では、屋外、スタジオのどちらでも使用できるため、ひとつの機材でさまざまな撮影に、対応できて便利です。

ブロンカラー

ベルソA2/A4

2回路独立調光、3灯出力の高速リサイクリングタイムを持つジェネレーターだが、パワードックと呼ばれるインテリジェント・バッテリーアダプターを使えば電池型のス トロボとなる。グラフィットシリーズと同様に、色温度を5500Kに保つ閃光時間自動 調整機能搭載。調光は1/10EVステップ。発光回数は、バッテリーフルチャージで約 350回(ファーストチャージ・フル発光)、A4は約180回(同条件)。A2の重量ジェネ本体7.5Kg、A4は10.4Kg、パワードックの重量は12.3Kg。

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プロフォト

Pro-B2

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スタジオ用ジェネと同様のシンプルな操作性と高機能を、耐久性の高い小型ボディに組み込んだ、電池内蔵型ジェネレーター。最大出力は1200Wsで2灯出力。均等/不均等の切り替えを持ち、調光範囲は1/2ステップと1/10EVステップの組み合わせ。出 力変動は1/100EV以内。繰り返し発光間隔は最大1.8秒、空だき不要のオートダンピ ング回路を内蔵している。バッテリーはフル充電で約200回の発光が可能。バッテリ ーを含む重量は11.5Kg。

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玉内公一 Kohichi Tamauchi

ドイテクニカルフォト、コメットストロボを経て、2000年に独立。銀塩写真、デジタルフォト、ライティングに関する執筆、セミナーなどを行なっている。日本写真映像専門学校非常勤講師、日本写真学会、日本写真芸術学会会員、電塾運営委員。

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