フォトグラファーのColorEdge実践術

第5回 写真の大敵「バンディング」を消すには

解説:茂手木秀行

以前Webで私の写真を見た友人が、「いやー、茂手木さんの写真きれいだね。あんな空になることがあるんだね。虹みたいですごいね」。彼は、その写真を見た驚きを語ってくれたのですが、私自身は「?」

「え? 虹みたい? そんな写真、撮ってないけどなあ」。その場はそんなこともそこそこに他の用件を話し、その後、彼のところに行って驚き & 納得でした。彼が見ていた状態をシミュレーションした画像が写真1です。すごいです。確かに虹みたいですね。「こんな空があるんだね」と私を信用してくれるのはとてもありがたいのですけれど。


写真1(クリックで拡大)

写真2(クリックで拡大)

それに対してオリジナルは写真2です。もうお分かりですよね。友人が見ていたのは低価格のモニターで、だったのです。自営業の彼は、写真はもちろんPCに関しても全く興味はありません。Webを見ているのは、業務用に買ったいわゆる激安パソコンです。これは、激安パソコンが悪いのではなく「用途が違う」ということですね。

低価格のモニターでは6ビット程度しか表示できないものも多いようですし、低価格のPCに搭載されているビデオカードもまたそれなりのものです。こうしたモニターでは、i1などのモニターキャリブレーターを使ってキャリブレーションしても、写真を見るには厳しいものがあります。もう少し高価格のモニターやビデオカードを使用しても、AD変換の性能が良くなかったりルックアップテーブルが良くなければ、やはりキャリブレーションしても満足な結果にはなりません。写真1ほど極端ではないにせよ、画像にバンディングや色のネジレがあるはずです。EIZOのサイトに「よくわかるカラーマネージメント」という記事があるので、こちらも参照してみてくださいね。

ここで注意しなければならないのは、「表示がバンディングしているからといって、画像データそのものがバンディングしているとは限らない」ということです。さらなる注意点は「限らない」のであって、画像データはバンディングしているかもしれないのです。つまり、モニターにバンディングや色のネジレがあると、画像データの良否を判断できないということになってしまうのです。

そのようなモニターで画像加工したら、かえってデータを悪化させてしまった、なんてことも意外に多いものなのです。キャリブレーションをしたから安心というわけではないのです。Webも含めて、モニターで写真を見る、見せるということは意外と大変なことなんですよね。ああ、みんながColorEdgeだったらいいのに。

さて、今回はバンディングをテーマにPhotoshop CS3での画像加工にも触れてみましょう。ColorEdgeで見ているし、丁寧な調整をしているのに、バンディングが出てしまうという経験はありませんか? 結論を先に言ってしまうと、それはマスクがバンディングしているからなのです。今回のオリジナル写真2を素材に手順を追ってみたいと思います。


写真3(クリックで拡大)
クイックマスクでグラデを引く

写真4(クリックで拡大)
クイックマスクを選択範囲に変換

空のトーンを調整してみることにしましょう。空の上部を少し明るく調整するために、クイックマスクでグラデーションを引きます(写真3)。次に選択範囲に変換し(写真4)、調整レイヤー「トーンカーブ」で空のトーンを少し明るくしてみました(写真5)。すると微小ながらバンディングが起きて空に縞状の模様が出てしまいました(写真6 バンディング部分を拡大すると同時に少し強調処理しています)。


写真5(クリックで拡大)
トーンカーブで空のトーンを明るくする

写真6(クリックで拡大)
バンディングが起きた状態

風景写真で空のなだらかなトーンを、マスクを使って調整すると、まずこうしたバンディングが生まれます。この時のマスクの様子をキャプチャしたのが写真7(部分拡大)です。マスクのトーンが変化する中間調が、バンディングしているのがわかりますね。このマスクのバンディングが結果として、画像そのもののバンディングになってしまうのです。


写真7(クリックで拡大)
バンディングが起きたときのマスク

写真8(クリックで拡大)
バンディングが消えた状態

さらにここで、今回のTipsを。このバンディングを回避するにはどうしたらいいのでしょう。画像は8ビットで作業し、調整レイヤーおよびマスクが乗った状態ですね。これを画像統合しないまま16ビットモードに変換した後、画像を統合してみてください。するとバンディングが消えるのです(写真8)。この方法で解決できる場合が大半ですが、それでも消えない時はあります。その場合の対策方法は、また別の機会にお話しましょう。

Photoshop CS3では、16ビットモードにするとマスクも16ビット化され、より細かい階調で扱われることになります。統合前は8ビットで見えていますが、統合することで結果が反映されるのです。それなら、最初から16ビットモードで? はい、それも悪い選択ではありませんが、ColorEdgeといえども表示は8ビット。16ビットで見えているわけではないことに注意してくださいね。

写真:茂手木秀行

茂手木秀行 Hideyuki Motegi

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」の撮影を担当。2010年フリーランスとなる。1990年頃よりデジタル加工を始め、1997年頃からは撮影もデジタル化。デジタルフォトの黎明期を過ごす。2004年/2008年雑誌写真記者会優秀賞。レタッチ、プリントに造詣が深く、著書に「Photoshop Camera Raw レタッチワークフロー」、「美しいプリントを作るための教科書」がある。

個展
05年「トーキョー湾岸」
07年「Scenic Miles 道の行方」
08年「RM California」
09年「海に名前をつけるとき」
10年「海に名前をつけるとき D」「沈まぬ空に眠るとき」
12年「空のかけら」
14年「美しいプリントを作るための教科書〜オリジナルプリント展」
17年「星天航路」

デジカメWatch インタビュー記事
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/photographer/

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