次世代液晶ディスプレイの世界

DELL UP2715K

文:小島 勉

モニター市場トップのDELLが放つ世界初の4K超えとなる5Kモニター

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モニター部のスペック
表示サイズ 27型
表示方式 IPS方式液晶(LEDバックライト)
表示画素数 5,120×2,880(16:9)
画素密度 218ppi
Adobe RGBカバー率 99%
視野角 左右・上下178度
コントラスト比 2,000,000:1(ダイナミックコントラスト比)
最大輝度 300cd/㎡
カラーマネジメント ハードウェアキャリブレーション対応
ペン入力
タッチ入力
2014年12月12日発売/直販価格:税込199,980円

表面はグレアパネルだが独自の工夫で反射を低減

様々なニーズに合わせた多種なモデルで、モニター市場世界1位のシェアを誇るデル。他社よりも早くから4Kを牽引してきたが、今回ついに、世界初の4K超えとなる5Kモニター「Dell UP2715K」を登場させた。最大解像度5120×2880というフルHDの実に7倍の情報量。しかも、価格はデル直販で税込み20万円を切るというコストパフォーマンスの高さだ。他メーカーの一歩先ゆくUP2715Kを試す機会が得られたので、特徴と筆者の使用感をレポートしていく。

まず液晶パネルはLEDバックライトのIPS方式で、視野角も上下・左右178度。表面はガラス加工されたグレアパネルだが、反射率を従来よりも86%抑えた独自のエッジトゥエッジ加工が施されている。液晶パネルとガラスの間にあった空気層に、反射防止コーティングを独自に施すことで、大幅な反射率の低減を実現した。

実際使用した筆者の感触では、カラーマネジメント推奨環境の500ルクス程度の作業場の明かりのもとでは、映り込みが気にならなかった。もちろん、背景には外光や照明などが入り込まないよう設置するのが前提だが、グレアパネルでも映り込みを意識しなくてもよいというのはこれまでの概念を変えてくれたと思う。

同時発表の34インチ曲面ワイドモニターU3415W
img_special_display04_02.jpg 21:9のウルトラワイド曲面モニターは直販価格で10万円強。写真鑑賞のみならず、映画、ゲームからビジネス用途まで、オールラウンドに使える。

また、本体には32W(16W+16W)のスピーカーが内蔵されている。ムービーを制作する場合の音の確認に充分なスペックだと思う。サポート面も輝点ピクセル1つで無償交換、良品先出しの翌営業日交換と充実している。素早く対応してくれるサポート体制はプロの現場で必須だ。

色域はAdobe RGBカバー率99%。sRGBは100%となっていて、グラフィック用途では十分な性能を実現している。出荷時に1台ずつ色補正が行なわれ、色補正完了証明書も同梱される。そしてハードウェアキャリブレーションにも対応している(対応センサーはX-Riteのi1 Display Proのみ)。

27インチや30インチなど大画面の場合気になるのが面ムラだが、同機にはムラを補正する機能は搭載されていない。わずかながらムラ感はあるものの、作業上支障があるレベルではない。

5K表示を実現するために気をつけるべきポイント

5Kを表示するにはNvidia Quadroカードが必要
img_special_display04_03.jpg 5Kで表示させるには、Nvidia Quadroのグラフィックカード(K2000/K2200/K2200D/K4000/K5000/K5200/K6000)で、DisplayPortを2つ使用する。

現在のところ5K表示にはNvidia QuadroシリーズのグラフィックカードでDisplayPortを2系統接続する必要がある。同社のワークステーションPrecisionシリーズであれば、簡単に接続することができる。将来的にDisplayPortのバージョンが上がれば、1ポートでの接続も可能となるようだ。

実際にPhotoshop CC(2014)とLightroomで確認してみた。高PPIにより立体感、ディテール再現がとても気持ち良い。筆者のような印刷業務ではきれいに見えすぎてしまって、紙上ではこの雰囲気は再現しきれないかもしれない。写真画像が素晴らしいのだが、さすがに5Kの超高精細な表示ではOS、アプリケーションのUIのバランスを超高精細に見合った設定にしなければならないようだ。通常のままだとメニューなどが小さくなりすぎてしまう。

ソフトウェアのユーザーインターフェイスは拡大表示で
Photoshopの「UI 200%拡大表示」ON
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OFF
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img_special_display04_06.jpg 5K表示では広大な表示が行なえる反面、アプリケーションのメニューなどが小さくなってしまう。現在、Photoshopの試験機能として搭載されている「UI 200%拡大表示」(Windows版のみ)のONとOFFで比べてみた。OFFでは実際の作業には難しいようだ。  写真協力:茂手木秀行氏

まずOS(Windows 7)では、小(標準)、中、大と3段階で設定可能だが、筆者は「大(L)-150%」に設定してみた。モニターと目の距離を1mほどに設定している筆者はこの設定が一番見やすかった。

次にPhotoshopでは、Windows版で機能する「高密度ディスプレイ用 UI 200%拡大表示」をONにした。UIを200%拡大表示しても、作業領域を大きく確保できるところは魅力的だ。Lightroomではインタフェイスのパネルのフォントサイズを最大(200%)に設定した。メニュー、サムネイル、対象画像、全てを十分に表示することができる。このような設定を行なうことで、通常と同じような操作感を保ちながら、5Kの圧倒的な情報量を実感することができた。

残念ながら今のところMacでは5K表示ができないため、筆者のワークスタイルでは使うことができないが、Windowsユーザーには一考の価値あるモニターと言えるだろう。

4Kモニター元年と言われた2014年、この先さらなる高精細化が進んでいくのは間違いない。5Kフロンティアのデルが今後どのような展開をしてくるか、マイルストーンとなるモニターが登場したのではないだろうか。


※この記事はコマーシャル・フォト2015年2月号から転載しています。

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