2018年11月26日
キヤノンが満を持して発表し、注目を集めるEOS Rシステム。EOSシリーズの流れを汲んだこの新システムを、長年EOSシリーズを使ってきたMunetaka Tokuyama氏にEOS Rと2本のRFレンズで体験してもらった。
使用レンズ:RF24-105mm F4L IS USM f11 1/200 ISO100
約3030万画素、高性能35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。デュアルピクセルCMOS AFはAF0.05秒と世界最速を誇る。測距可能エリアは、最大で約88%(横)×約100%(縦)の広範囲を実現した。
全長107.3mm 、質量約700gの小型・軽量設計標準ズームレンズ。5段分の光学式手ブレ補正機構を搭載し手持ち撮影をサポートする。また、絞りやシャッタースピード、ISO感度などの機能が割り当てられるコントロールリングが搭載されている。
最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロ撮影が行なえる、広角・単焦点レンズ。開放F1.8の明るさと9枚羽根の円形絞りで、美しいボケ味を実現した。
自由に、カジュアルに楽しめる次世代カメラ
Munetaka Tokuyama
トクヤマ・ムネタカ1999年よりNYへ移住。日、欧、中のエージェントと契約。
日本、米国にて受賞歴多数。現在日本を拠点に活動中。
www.munetakatokuyama.com/
使用レンズ:RF35mm F1.8 マクロ IS STM f11 1/200 ISO100
──Tokuyamaさんは今回ミラーレス初体験でしたが、EOS Rシステムを使ってみていかがでしたか?
Tokuyama 今使っているEOS 5Dsに比べるとボディがとにかく小さく軽いというのが第一印象です。最初は小さくて戸惑ったくらいです。
EOS 5Dsがプロの仕事現場で使うカメラなら、このEOS Rはカジュアルに撮影を楽しめるカメラですね。
──今回の撮影は、ダンサーのAOI YAMADAさんとのセッションでしたね。
Tokuyama 彼女自身の世界観が、すでに出来上がっているので、僕から指示を出すより、曲の流れに乗って彼女は自由に身体を動かして、僕はそれに合わせて一緒に流れていくような感覚。手持ちでダンサーの動きをストレスなく追いかけられた。彼女とのコラボで構図や切り取り方の面で新しい発見があった。このカメラで自由に遊ばせてもらえました。
使用レンズ:RF24-105mm F4L IS USM f11 1/200 ISO100
Model:AOI YAMADA ST:TSUYOSHI TAKAHASHI Make: ITSUKI Hair: CHINATSU Retouch:Ryota Kamimura 衣装協力:TOMO KOIZUMI・Seiran Tsuno
ミラーレスって一体どんなものなんだろうと思っていましたが、画質は普段EOS 5Dsを使っている僕も、綺麗だと感じたし、バッテリーの持ちも問題ありませんでしたね。カメラの進化もここまで来たのかと感じています。
今までの光学ファインダーでは、ファインダーから直接被写体を覗いてシャッターを切っていたけれど、EVFはファインダー内で露出補正後の絵が確認できたり、AF性能が上がったりと、これまでフォトグラファーが撮影中にやってきたことをカメラがやっている。まさに次世代のカメラ、写真を撮るロボットと言ってもいいかもしれない。
さらに進化したデュアルピクセルCMOS AF
──進化したデュアルピクセルCMOS AFはいかがでしたか?
Tokuyama AFの速さには特に驚きました。彼女の動きに合わせて追従してくれて、撮影中はフォーカスを気にすることなく、カメラの画角やAOIさんの動きに合わせて自分がどう動くかに注力できました。
動画撮影では手持ちで自由に動けたので、今回のように動きを追う撮影には合っていたと思います。スチル撮影ではボディが小さすぎるかなとも思っていたけれど、動画撮影では逆にこのサイズと軽さが強みになっていますね。
──EOS Rシステムは最大5段分の手ブレ補正効果を達成しているので、今回のような手持ち撮影では特に威力を発揮します。約369万ドットのEVFも特長です。
Tokuyama EVFの絵は綺麗ですね。ただ、ミラーレスの特性なのでしょうけど、タイムラグが難点かな。シャッターを切った後、撮影カットがファインダーに現れて、撮影のリズムを掴みにくかったです。
──どんな撮影に向いていると思いますか?
Tokuyama 今回はスタジオ撮影でしたが、ロケや自然光で撮るシチュエーションに向いていると思います。
被写体と撮影者の立ち位置がある程度決まっている撮影であれば瞳AF機能も、もっと有効に使えるはず。被写体と会話をしてコミュニケーションをとっていくようなポートレイト撮影では、フォーカスを気にせずAF機能に任せてパシャパシャ撮っていけるし、重宝すると思います。
画質の良さに加えて、軽さやAF機能を求めるフォトグラファーが一度このカメラを使ったら、35mmには戻れなくなるかもしれない。
今回設定していませんが、マルチファンクションバーやRFレンズに実装されたコントロールリングで良く使う機能設定を割り当てられるのは面白そうです。
今は周りを見渡せば、プロフォトグラファーの多くがEOS 5Dシリーズを使っている。その中で、カメラを自分色に染めるという点では、一つの楽しみになるんじゃないかと思います。EOSから生まれた新しいシステムの今後の進化に期待したいです。
撮影の様子
※この記事はコマーシャル・フォト2018年12月号から転載しています。