2018年12月27日
今回はEOSシリーズユーザーである片村文人氏が、発表以来注目を集め続けているEOS Rシステムで朝日が昇りきる前の薄暗い光の中でポートレイト撮影に挑んだ。
使用レンズ:RF50mm F1.2 L USM f/2.0 1/3200 ISO400
約3030万画素、高性能35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載。デュアルピクセルCMOS AFの測距可能エリアは最大約88%(横)×約100%(縦)。測距点が広範囲・高密度に設置されたことで、より自由な構図が可能になった。
開放F1.2からシャープな描写と美しく柔らかいボケ味を両立する大口径・標準単焦点レンズ。デュアルピクセルCMOS AFとレンズ制御の最適化によって高精度なAFが可能だ。
EOS Rシステム専用のマウントアダプター。絞りやシャッタースピードなど、各設定を割り当てられるコントロールリングを搭載し、全く新しい操作を実現した。
低輝度環境でも発揮される高速AF機能
──片村さんには太陽がまだ昇りきる前の光源が少ない状況下でポートレイトを撮影していただきました。
片村 EOS RのAF機能に興味を持っていたので、マジックアワーの薄暗い環境でその機能を試してみたいと思っていました。撮影してみるとAFが素早く被写体の顔を捉えてくれて、サクサクとシャッターを切れました。柔らかい光で、被写体の井桁弘恵さん自身が持つ透明感を表現できたと思います。
使用レンズ:RF50mm F1.2 L USM f/1.6 1/200 ISO250
ST:椎名倉平 HM:津田千昌 Pr:志村悠介 Re:武田佳子 T:井桁弘恵
衣装協力:marlot(ワンピース)+somnium(リング)
──EOS Rは通常では難しい、低輝度環境下でも、より高速・高精度なAF機能が可能になっています。普段からAF機能は使われていますか?
片村 手持ちで動きながら撮る時はAFを機能を使用し、三脚に据える時はライブビューでフォーカスを合わせてMF撮影と使い分けています。僕は単焦点レンズを使って開放気味で撮影することが多く、ピント合わせがとてもシビアなので、AF機能の性能が優れていると、とても助かります。
タッチシャッターでスムーズな撮影が可能に
──液晶モニターで測距エリア選択やフォーカス確認をしていましたね。
片村 今回に限らず普段の撮影でも液晶モニターを使っています。僕にとっては片目でファインダーを覗くより、両目でしっかりと被写体を確認する方がしっくりくるんです。
フォーカス確認以外にも、初めて液晶モニターでのタッチシャッターにチャレンジしました。とても使い勝手が良かったです。普段は、フォーカスポイントを決めて、拡大表示でピントを確認してからシャッターを押していましたが、今回はマルチファンクションバーに拡大縮小設定を割り当て、タッチシャッターを使うことでフォーカス確認からシャッターを切るまでの動作を少ないアクションで行なえました。
──マルチファンクションバーやコントロールリングに設定の割り当てができます。
片村 マウントアダプターに搭載されたコントロールリングに絞り値変更を割り当てましたが、この撮影だけでは上手く使いこなせなかったです。使い続けて慣れていけば、より直感的な操作ができると思います。マルチファンクションバーはタップで簡単に拡大縮小でき、使い勝手が良かったです。一連の動作がスムーズになれば被写体の良い表情を逃したり、画角のズレを防げるので便利ですね。
──RFレンズとEFレンズ、両方を使ってみていかがでしたか?
片村 今回はRF50mm F1.2 L USMとEF100mm F2.8Lマクロ IS USMをセレクトしました。EFレンズはコントロールリングつきのマウントアダプターを装着しています。
RFレンズはEFレンズに比べると、AF速度がずいぶん早いなと感じましたね。画質面では僕の感覚で言うと、RF50mm F1.2 L USMは特にボケ感が美しいと思います。開放で使う僕にとってこれは嬉しいですね。RFレンズは柔らかいレンズという印象、逆にEFレンズは硬い印象です。アダプターをつけてもそのEFレンズの特性を損なうこともなかったです。
使用レンズ:EF100mm F2.8Lマクロ IS USM/コントロールリングマウントアダプター EF-EOS R 使用
f/3.2 1/100 ISO400
──今後、EOS Rをどんな撮影で使ってみたいと思いますか?
片村 持ち運びやすく、感覚的に撮れるので、瞬間的に撮りたい被写体をおさえられるカメラですね。露出補正や素早く動かす機動性の必要な撮影に向いてます。
どちらかというとロケ撮影に向いているのかなと思います。実際、この撮影の前にロケで使ってみたところ、とても重宝しました。撮影状況や媒体によって、今メインで使っているEOS 5D Mark IVやEOS 5Dsと合わせて、プロの現場でも使えるカメラだと思います。
撮影の様子
※この記事はコマーシャル・フォト2019年1月号から転載しています。