2014年01月30日
タブレットを活用しているフォトグラファーの3人目は、フリーランスになって10ヵ月の御園生大地氏。従来の仕事のやり方にとらわれない自由な発想で、撮影、レタッチ、プレゼン、打ち合わせなど、様々な場面でiPadをフルに活用しているという。
仕事する場所を選ばないロケーションフリーの考え方
MacBook Pro Retinaとペンタブレット、そしてiPadがあれば、いつでもどこでも画像編集を快適にこなすことができる。
───どこに行くにもiPadを持ち歩くとか。
御園生大地氏
御園生 はい。僕は建築関係の撮影をやっているのでロケが多いのですが、撮影の時にEye-FiカードからiPadに画像を転送したり、地方ロケのホテルでノートパソコンとiPadを使ってレタッチをやったり、打ち合わせの時でもiPadとスタイラスペンでメモをとっています。
───徹底していますね。
御園生 タブレットもそうですが、デジタル系のガジェットやWebサービスなど、世の中をひっくり返すような新しいツールがどんどん出てきているので、いち早く取り入れて競争力を高めたいというのがまずあります。スマートフォンやWi-Fiのおかげでどこでもインターネットにつながるようになり、仕事をする場所を選ばなくなっているので、そういう働き方にタブレットはぴったりなんです。今は全て自分で決めなくてはいけない立場なので、そういう考え方により傾いているかもしれませんね。
Shutter Snitchでカメラの画像を転送
───撮影の時はどのように。
御園生 Eye-Fiカードをカメラに入れて、Shutter SnitchというアプリでiPadに画像を表示しています。お客様にiPadを渡して画像にレーティングを付けてもらう事もあります。基本的に撮影過程をフルオープンにするというポリシーです。世の中にこういう機材がある以上、撮影過程をブラックボックス化するのは難しいと思っていて、それだったら積極的にオープンにしていこうと。更に撮影中は、今何が起きているのか、言葉でも積極的に説明しますし、お客様が意見を言いやすい雰囲気作りにも気を配ります。
───そこまで意識的にやるのも珍しい。
御園生 失敗したカットも全てお客様に見られてしまうので、普通は嫌がりますよね(笑)。でも過程をフルオープンにしたとしても、こちらは毎日写真に関わっているわけだから、いろんな局面を切り抜ける術は持っているつもりです。全てをオープンにした上で、意見を言い合った方が自分自身が鍛えられると思っています。
Air DisplayでiPadをセカンドディスプレイに
───撮影以外の場面では。
御園生 地方に仕事に行くときは、IPSパネルのMacBook Pro Retinaを持っていって、ホテルの部屋でレタッチをすることがあります。ノートパソコン1台だけだと画面が狭いので、Air Displayというアプリを使ってiPadをセカンドディスプレイにしていますが、Wi-Fi接続によるタイムラグもなくて、まるで有線でつないでいるみたいです。ホテルにW-Fi環境がないときはiPhoneのインターネット共有をオンにして、Wi-FiテザリングでパソコンとiPadをつなぎます。
───たしかに、これなら場所を選ばない。
御園生 場所を選ばないということで言うと、iPadを持ち歩いているので、いつでもどこでも自分の作品を見せることができます。RetinaディスプレイのiPadだと、プリントよりも高精細な画像で見せられるし、スライドショーのアプリを使えばいちいち写真をめくってもらわなくてもいい。
いま、フォトグラファーが動画も撮ったりして、仕事の枠が広がっていますよね。iPadだったら写真も動画も見せられるし、僕の場合は建築のパノラマVRの画像を入れています。それから、Keynoteを使ってレタッチのビフォー・アフターについて説明する資料を作ってあるので、「レタッチって何ですか?」という人にも分かりやすくプレゼンテーションできます。
360°パノラマVRの写真をiPanoを使って動かす
360°パノラマVR写真をiPanoというアプリに入れてiPadを上下左右に動かすと、まるで自分がその場にいて周りを見渡している感覚が味わえる。パノラマVRは、建築写真を撮影する御園生氏にとって、得意としているインタラクティブコンテンツの一つだ。
───本当にiPadをフル活用していますね。
御園生 はい。でもその一方で不満もあって、パソコンのOSが動いてくれたらいいなと思う事はあります。そのために液晶のキャリブレーションができなかったり、Photoshopが動かなかったり 。もしかしたら今後は、パソコンのOSが動くWindows 8 タブレットの方が使い勝手が良くなるかもしれないですね。場所を選ばないロケーションフリーの考え方は今後広がっていくでしょうから、もっとタブレットには進化してほしいと思っています。
取材写真:坂上俊彦
※この記事はコマーシャル・フォト2014年1月号 特集「フォトグラファーのためのタブレットPC活用術」を転載しています。
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