2022年03月30日
「商品写真」の目的は、商品の形、色、材質、さらにはクオリティやイメージを正しく伝えること。その目的に合わせて最適なレンズやライティングが決まります。
この連載では「商品撮影」を基本から考えます。
商品撮影では、その商品の形、色、質感を的確に表現しなくてはなりません。
そのためにはライトの役割を理解しておくことが重要です。
商品撮影で多い艶(ツヤ)のある被写体では、メインライトで商品の色と形を表現し、別のライトでハイライトを入れて、素材感/艶を出していきます。
ポイントは、メインライトはできるだけハイライトを作らずに、全体の形を照らす位置にセットすること。
商品の色の濃さ(露出)はメインライトの出力で調整しますが、メインライトでハイライトまで入れてしまうと、メインライトの強弱でハイライトの強さまで変わってしまいます。
メインライトとハイライトを分けていれば、商品の色味(色の濃さ)の調整、ハイライトの明るさ調整が、写真全体のニュアンスをほぼ変えることなく、自在に可能です。
メインライトとハイライトの役割分担
2灯撮影。メインライトはできるだけハイライトを作らず靴全体を描写。
ハイライトは別のライトで入れていく。
二つのライトの役割を分けることで、
メインの出力を変えて靴の色の明暗の調整をしてもハイライトの状態はほぼ変わらず、
ハイライトもディフューザーなどで弱めればしっとりとした皮の質感表現に、
強くすれば光沢感のある表現になる。
❶メインライト:靴の左斜め上から。爪先の方が明るくなるため、光の芯を爪先中心に向け、靴全体にあてる。
❷ハイライト:靴の右斜め上から靴上面にハイライトを入れる。ハイライトの硬さはライトとディフューザーの距離で変わる。ライトは2灯とも標準リフレクターにトレーシングペーパーを貼ったライト(直トレ)を、アクリルディフューザー越しにあてている。黒ケント紙を入れ、靴上面の黒締めをする。
メインライトとハイライトの調整
メインとハイライトを分けて個別に調整することで最適な表現を探る。
メインライトの強弱
メインライトでハイライトを作らないため、出力を変えても全体の印象は変わらない。
ハイライトの強弱
ハイライトはメインライトと別のライトで作り、強弱で艶、質感を表現する。
メインライト+ハイライト
ハイライトの強弱で艶感が変わる。革の素材感・硬さはライトとディフューザーの距離で変わる。
黒川隆広 くろかわ・たかひろ
amanaにて、30年間、商品撮影を中心に活動。2016年退社後、アライアンス社員として連携。現在は大手ECサイト商品撮影講座講師、写真の学校特別講師他、セミナー、イベントなどで写真の学びの場を提供。プロからアマチュアまで、また企業から個人向けまで、プライベートレッスンも受け付けています。
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